Infostand海外ITトピックス

「Azure Stack」ついに出荷 MicrosoftのAWS追撃戦略

3つの秘密兵器

 Azure Stackは、顧客が自社データセンター内にAzureクラウドを構築できるツールで、Microsoftはハイブリッドクラウド運用プラットフォームと位置付けている。2015年5月に発表したが、今回、出荷開始となって、ようやくユーザーが利用できるようになった。

 「ハイブリッド」という言葉は、同社の既存顧客には魅力的だ。特に「パブリッククラウドプラットフォームにインフラを移行する意思がない、あるいは(規制などの制約で)できない企業にとって重要」(Business Insider)なサービスとなる。Azure Stackは単体ではなく、ハードウェアとセットで提供し、まず、Dell EMC、Hewlett Packard Enterprise、Lenovoなどが扱う。

 Guthrie氏は「開発者は構築した1つのアプリケーションをAzureとAzure Stackの両方で実行可能であり、エッジやディスコネクテッド・ソリューションなど、新しいユースケースを開き、文字通りあらゆる規制要件に対応できる」とその意義を語る。

 2つ目のSQL Server 2017はデータベースの最新版で、発表は2016年3月。今回、10月2日から正式に提供開始することを発表した。

 新機能として、Pythonと統計解析向けプログラミング言語のRのサポート、学習機能によるクエリ処理最適化などがあるが、最大の特徴はLinuxで動作することだ。また、Dockerコンテナの運用形態にも対応する。近年の同社のLinuxへの力の入れ方を象徴するものでもある。

 そして3つ目のDatabase Migration Serviceは、オンプレミスのSQL Serverを「Azure SQL Database」に“リフト&シフト”(システムを刷新せず、そのまま移行して部分的に調整する)で移行できるサービスだ。AWSは同様のサービスを「Amazon Database Migration Service」として提供しており、これを追った形だ。

 今回の発表には、AWSの後追いのものがいくつも見える。ほかに、VM予約インスタンス、Availability Zones、また、ハードディスクに大容量のデータを収めて物理的に運搬する「Azure Data Box」などがある。AWS追撃のためには、模倣でも何でもやるという勢いが感じられる。