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「Azure Stack」ついに出荷 MicrosoftのAWS追撃戦略

「Microsoftはハングリーだ」

 Igniteで打ち出された姿勢を、アナリストらも高く評価していようだ。Constellation Researchのアナリスト、Doug Henschen氏はZDNetへの寄稿で、「(Igniteイベント)全体のテーマは選択肢だ」と分析する。ビジネスユーザーに加えて、データサイエンティスト、開発者、データ管理担当者に、クラウド、オンプレミス、ハイブリッドの幅広い選択肢を提供するとした上で、「とても感銘を受けた」と結んでいる。

 Constellation Researchの別のアナリスト、Holger Mueller氏はFortuneへのコメントで、特にAzure Stackを評価し、「大企業はハイブリッドオプションを望んでおり、Azure Stackはこれを強化するだろう」と述べている。

 Forbesに寄稿したアナリストのPatrick Moorhead氏も、「Microsoftがやること全てがさらに賢明に、合理化に向かっている」と手放しで称賛する。

 また、顧客の望むものは何でも用意するという戦略は、効を奏しているようだ。Business InsiderはAzureを導入した顧客の声も紹介している。

 Azureを導入した企業調査会社Dun and Bradstree(D&B)の担当者は「Microsoftは本当に自社製品を提供したいと思っている(“ハングリーだ”)」と紹介している。同社はAWSと比較検討したが、決め手になったのは、Azureと既存システムとの親和性のほか、協業しやすかったことだったと述べている。

 また、「パイオニアである必要はないし、最先端である必要もない」と語っており、同社が、AWSをいち早く導入したクラウドの“アーリーアダプター”とは違う考え方をすることがうかがえる。

 クラウドが本当に「マス」や「メインストリーム」に進んでゆく段階では、こうした企業が原動力になる。その心をつかむという意味では、今のところ、Microsoftの戦略は合っていると言っていいだろう。