ランキングで振り返る、エンタープライズ/クラウド業界動向(9~12月)


【9月】Windows 8がついにベールを脱ぎ始めた

 連載や特集記事を中心にお届けしたためこのランキングには入っていないが、ついにベールを脱ぎ始めた「Windows 8」(開発コード名)が大きな注目を集めており、ニュースとしては5位に開発者向けプレビュー版登場の記事がランクインしている。Metro Style UIなど、現行のOSとは大きく変わる部分が多いだけに、今のうちから情報を収集しておきたいという方は多いはずだ。

 また、ヤマハのルータは根強いファンがいることでも知られているが、その最新製品「RTX810」が4位に入った。今年は初めてネットワークスイッチを提供するなど、その活動の幅を広げているヤマハの動きからは目が離せない。

順位記事名掲載日
1シトリックス、「XenDesktop 5.5」などで仮想デスクトップソリューションを強化09/09
2ヤマハ、全ポートGbEのVPNルータ「RTX810」~“スマートフォン向け”VPNに対応09/08
3SAS Japan、分析プラットフォーム新版「SAS 9.3」を国内提供09/15
4ニフティクラウド、IaaS基盤のOEM提供を開始~第1弾として「So-net クラウド」で採用09/06
5米Microsoft、Windows 8の開発者向けプレビュー版を公開09/14
6“データ作成時点”で重複排除、シマンテックが新技術を紹介09/22
7デル、4万円台からの15.6型ノートPC「Vostro 1550」~第2世代 Core iプロセッサを搭載可能09/06
8日本オラクル、Oracle Database 11gの無償版「Express Edition」を提供09/02
9ファイルベース出荷容量が、2011年にはブロックベース出荷容量を超える~IDC Japan予測09/01
10静岡県、災害情報の広域連携システムにセールスフォースの「Force.com」を採用09/27

 

【10月】教育機関でのクラウド事例が多数登場

 1位は、ICT基盤をクラウド化した東京電機大のニュース。2011年は教育機関におけるクラウド事例が非常に多かった。このケースでは、電子図書の貸し出しなども実現している点がユニークだった。

 また、米Oracleの本格的なクラウドサービス提供を報じる記事が7位に入った。これまでもOracle CRM On Demandなど一部のサービスは提供していたが、Oracle Fusion ApplicationsのSaaS提供や、PaaSレイヤのサービスであるOracle Public Cloudなど、今後の展開が気になるサービスが多数発表されている。

順位記事名掲載日
1東京電機大学、千住キャンパス開設を機にICT基盤をクラウド化10/21
2不正なSQL文法を理解してDBを保護する「Oracle Database Firewall」10/19
3ファーストサーバ、CPUバーストに対応したクラウドサービス「Z Cloud」を発表10/26
4Azureを活用したクラウドソリューションを積極展開するCSK Win07/04
5米HP、PC事業分離を見送り10/28
6カスペルスキー、Windows向けエンドポイント保護ソリューション10/14
7米Oracleがクラウドサービスに参入、「Fusion Applications」のSaaSなどを提供10/07
8パナソニック、堅牢性を備えた業務用Android 3.2タブレット10/12
9シーゴ、仮想Ethernetリンクで仮想サーバー間をつなぐ「Server Fabric」~I/O仮想化を拡張10/06
10Oracleが「Solaris 11」を発表、11月提供予定10/07

 

【11月】Solaris 11がついに登場、クラウドOSへ進化

 1位はUNIX OSである「Solaris 11」提供開始のニュース。「Oracle Solaris」という響きに違和感を感じるという声も多かったが、7年ぶりとなるメジャーバージョンアップということで大きな関心を集めた。

 4位にはクラウドの思わぬ活用法に関心が集まったのか、クラウド型タクシー配車システムのニュースが。今までになかったサービスが生まれるのも、クラウドのメリットの1つといえるだろう。

順位記事名掲載日
1「Oracle Solaris 11」、提供スタート11/11
2アイ・オー、Windows Home Server 2011搭載のSOHO向けオールインワンNAS11/18
3マイクロソフト、11月の月例パッチは“緊急”1件を含む計4件11/04
4日本ユニシスとkm、クラウド型タクシー配車システム「smartaxi」11/29
5パナソニック、法人向けAndroidタブレット「TOUGHPAD」11/16
6富士通研究所、CPU廃熱を利用した冷却技術を開発~データセンターの空調電力を20%削減可能11/08
7富士通のスパコン「PRIMEHPC FX10」が東京大学情報基盤センターに採用、1.13ペタFLOPSを実現11/14
8法人におけるクライアント仮想化率は2015年に38%超に~IDC予測11/08
9さくらインターネット、外気冷房を利用した石狩データセンターを開所11/16
10米AMD、Bulldozerアーキテクチャのサーバー向けCPU「Opteron 6200/4200」~最大16コアを実現11/15

 

【12月】データを可視化する動きが浸透した1年

 いわゆる“ビッグデータ”が注目されてきたこともあって、今年は、データを分析してビジネスへ活用しようとする動きが加速した。また、スマートフォンなどのモバイルの活用が進んだこともあり、この両者を関連させた話題も多かった印象がある。3位に入ったモバイル対応ビジネスダッシュボード「MotionBoard +Mobile」もこの1つ。こうした製品は来年も継続して登場してくるのではないだろうか。

 一方、7位に入った半導体メモリアレイ「HP VMAシリーズ」のように、半導体メモリの活用もさまざまな分野に広がり、これを活用する製品も増えてきた1年だった。その中でもこの製品は、“最先端”の高速性を“レガシー”なバッチ処理の高速化に使う、という組み合わせが目を引いたのか、高い注目を集めていた。

順位記事名掲載日
1マイクロソフト、12月の月例パッチは“緊急”3件を含む計14件12/09
2バッファロー、ハードウェア暗号化とウイルスチェック機能付きのUSBメモリー12/01
3ウイングアーク、モバイル対応ビジネスダッシュボード「MotionBoard +Mobile」12/01
4シマンテック、2011年のインターネットセキュリティ脅威の動向まとめ12/22
5シャープ、手袋のまま操作可能な業務用携帯端末「HandyBrain」RZ-F300シリーズ12/08
6アリスタ、10GBASE-T対応のボックス型スイッチなど4製品~100%データセンターにフォーカス12/15
7日本HP、最大80TBを搭載可能な“瞬速”半導体メモリアレイ「HP VMAシリーズ」~応答速度はSAS HDDの約50倍高速12/13
8「拾うから選ぶ時代へ」MSと日本交通、クラウドとスマホでタクシー需要を活性化12/14
9セールスフォースとNTT Com、データセンターの稼働開始式開催12/14
10デザイン刷新、ソーシャル連携を図った「Zoho CRM」新版12/12
関連情報
(編集部)
2011/12/27 06:00