“データ作成時点”で重複排除、シマンテックが新技術を紹介
今年投入予定の「Veritas Storage Foundation 6.0」に実装へ
システムエンジニアリング本部 ストレージ&クラスター製品担当 技術部長の星野隆義氏 |
株式会社シマンテックは21日、ストレージ管理ソリューションに関する説明会を開催した。
IDC Japanの調査によると、非構造化データは2015年まで年平均53.5%、複製データは同40.6%の割合で増加する。同時にDASやFC-SANに加えて、NAS、iSCSI、FCoEなどの技術も台頭し、「ビッグデータの流れにおいては非構造化・複製データの管理が重要になるとともに、どのストレージ接続形態を選ぶべきか悩ましい時代になってくる」(システムエンジニアリング本部 ストレージ&クラスター製品担当 技術部長の星野隆義氏)。
こうした状況でストレージには、データ量増大への対応のほか、バックアップの効率化、サーバー仮想化環境での運用性、シン・プロビジョニング機能、外部ストレージの仮想化機能、階層型ストレージといった新技術へのニーズも高まっており、ストレージベンダーの技術革新の中心となっている。
シマンテックはこの分野に「Veritas Storage Foundation」というソフトウェアソリューションで取り組む。特徴はシン・プロビジョニング、ストレージの階層化といった機能を、異種混在したOS・ストレージ環境で利用できる点だ。管理するストレージは、EMC製でもHP製でもNetApp製でもかまわず、無停止でベンダーをまたがったデータ移行が可能となる。また、サーバーOSプラットフォームも種類を問わず、AIX、HP-UX、Solaris、Linux、Windowsのいずれであっても、管理ツールの「Veritas Operations Manager」から共通のコマンドでデータを管理できる。
「例えば、シン・プロビジョニングでは一度割り当てたディスク領域を、データ削除後などに、いかに解放するかが鍵となる。ハードウェアではこれを標準で行うことは難しく、専用のAPIなどを提供していることが多い。Veritas Storage Foundationには簡単に解放できる“シンリクラメーション”という機能があり、ストレージ異種混在であっても、シン・プロビジョニングから解放まで一貫してできるのも特長だ」(同氏)。
説明会では2011年中のリリースを計画している新版「Vertas Storage Foundation 6.0」の新機能も紹介された。特徴的なのは、ファイルシステム(FS)レベルでの重複排除機能だ。従来、重複排除はバックアップのタイミングで実施される。新機能ではデータを作成した時点で重複を排除することが可能で、「例えば、既存のPowerPointファイルをコピーして少し手を加えた場合、重複する部分はデータが排除されるため、新しく作ったファイルの容量を小さく抑えることができる」(同氏)という。
このほか、局所的ではなく業務全体をカバーするHA機能を実装する予定。例えばストレージに障害が起きた際に、それと関連するサービスも含めてあらかじめグループ化しておき、ストレージが復旧した後に自動的にアプリケーションなども再起動してくれる。このため、リアルタイムにアプリケーションを監視する機能も実装する予定だ。
シマンテックでは、データセンターの変革を支援するため、「SOSA(Service Oriented Storage Architecture)」を提供している。その構成要素は「徹底したストレージの最適化」「インフラ機能、管理の標準化」「ビジネス要求に応じた可用性の確保」「Linux移行、サーバー仮想化の促進」。Veritas Storage Foundationは「徹底したストレージの最適化」「インフラ機能、管理の標準化」を確立するソリューションとして訴求していく。