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さくらインターネット、外気冷房を利用した石狩データセンターを開所

 さくらインターネット株式会社は15日、北海道石狩市に建設を進めていた石狩データセンターの開所式を開催し、運用を開始した。

さくらインターネットの石狩データセンター

 石狩データセンターは、クラウドコンピューティングに最適化された郊外型大規模データセンター。北海道の冷涼な気候を活用した外気冷房により、データセンターのエネルギー効率を表す指標であるPUEで1.11を実現。気候的にはほぼ通年でサーバールームの外気冷房が可能としており、開所式も、外ではときおり雪が舞う中行われた。

 データセンターの敷地は東京ドームの約1.1倍(5万1448平方メートル)で、1棟あたり最大500ラックまで対応できる分棟式の建物を8棟建設予定。開所時には2棟分の建物にサーバーラックが200ラック設置される。

空撮写真。画面中央の横長の建物が開所時に建設された建物
敷地内には残り6棟分を建設する空き地が広がる

 15日には、北海道の高橋はるみ知事、石狩市の田岡克介市長らを招き、石狩データセンターの開所式を開催。石狩データセンターに設置したサーバーにより、パブリッククラウド「さくらのクラウド」のサービスも開始した。

 さくらインターネットの田中邦裕代表取締役社長は、郊外型データセンターの建設にあたって全国を視察した結果、「北海道の広大な大地と冷涼な気候が、データセンターに求められる条件を満たしていた」と説明。増え続けるサーバー需要を満たす敷地があり、外気冷房により空調コストは約4割の削減が見込めること、また石狩市は地震や津波、液状化などの災害リスクが低く、海底ケーブルの引き上げ所があることから、当地にデータセンター建設を決定したと語った。

さくらインターネットの田中邦裕社長
北海道の高橋はるみ知事、石狩市の田岡克介市長らを招き、開所式を開催

 敷地も現在は約5ヘクタールを確保しているが、必要とあれば周辺にはまだ確保可能な土地があるため、サーバー需要が増大しても「事実上無制限に拡張できる」と説明。当初の計画では、3年から4年で1棟ずつ増やしていく予定だったが、ソーシャルゲームの事業者などクラウドサービスの需要の増大に加え、震災後にサーバーの分散化需要が高まったことから、ペースはさらに速まるのではないかとした。

 田中氏は、2009年12月に石狩市の視察を行なってから2年足らずで竣工しており、今後も必要に応じてその時点で最新の技術を導入したデータセンターにしていくと説明。現在、データセンターの建物の外では、90%以上の電力効率を実現する高電圧直流(HVDC)給電システムの実験をコンテナで行なっており、実験の結果が良好であればデータセンター内にも導入していくとした。

 一方で、通信回線についてはNTTとKDDIの回線を異なる経路で引き込み、電力会社からも2系統の受電を行うなど、「アグレッシブなアプローチはしながらも、必要なものはすべて揃った信頼性の高いデータセンターになっている」と説明。「これまで、日本のデータセンターは米国の倍のコストがかかると言われてきたが、石狩データセンターで日本のITコストを世界標準へ押し下げる」と語った。

サーバールーム内部。「さくらのクラウド」のサーバーもここに設置される
外のコンテナで行なっている高電圧直流(HVDC)給電システムの実験