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ティントリ、2倍以上の高密度化を実現した仮想環境向けストレージ「VMstore T800」

 ティントリジャパン合同会社(ティントリ)は15日、仮想環境に特化したプライマリストレージ「Tintri VMstore」において、ハイエンドモデル「同 T800シリーズ」を販売開始すると発表した。また、Tintri VMstore向けの最新OS「Tintri OS 3.1」も提供する。

T800シリーズ

 Tintri VMstoreは、SSD(フラッシュメモリ)とHDDを組み合わせたハイブリッド構成のプライマリストレージ。フラッシュメモリを前提として開発されており、アクセスはリードもライトもまずSSDに行われるようになっているため、高速なI/O性能を実現している。また、インラインの重複排除と圧縮によって、実容量以上のフラッシュメモリがあるかのように利用できるのも特徴という。

 さらに、ストレージが仮想マシン(VM)を認識している(VM aware storage)点も大きな特徴で、各VMの状況を可視化できることから、例えばあるVMの性能が極端に落ちてしまった場合に、サーバー、ネットワーク、ストレージといった各レイヤでのレイテンシを把握可能なことから、管理者はどこに原因があるのかを容易に特定できる。

 今回提供されるT800シリーズは、従来の「T600シリーズ」に替わる新ハイエンドモデル。これまでと同様、HDDとSSDのハイブリッド構成を採用しているが、従来はSSDに格納されるデータにのみ行っていた圧縮を、HDDに格納されるデータに対しても適用することで、筐体はT600シリーズと同等の4Uサイズながらも、実効ストレージ容量やサポートするVM数などを向上させた(重複排除はHDDのデータには行わない)。価格も、T600シリーズの同等製品とほぼ同じに設定されているという。

 「従来はSSDレベルで重複排除と圧縮をしていたが、HDDに書き込む時は圧縮を戻していた。今回はHDDに保存する際も容量を圧縮したままで利用しているので、容量単価を40%削減している。既存製品でも、ハイブリッド構成のため、オールフラッシュと比べると容量あたりの単価は安いと言われていたが、これで、HDDのみのストレージと比べても遜色(そんしょく)ない価格になった」(ティントリ マーケティング本部の羽鳥正明氏)。

 具体的なラインアップは以下の通り。

論理実効容量サポートVM数参考価格(税別)
T82023TB7501480万円
T85066TB20002980万円
T880100TB35005060万円

 またTintri OS 3.1では、VMware vCenter Site Recovery Manager(SRM)との連携に対応。SRMのリカバリプランとTintri VMstoreのレプリケーション機能を連携させることにより、DRサイトへの切り替えを自動化できる。さらに、スクリプティングツールがREST APIとの連携に対応した。

 このほか、暗号化機能「SecureVM」が新たに搭載された。この機能を有効にすると、パフォーマンスの劣化や容量の減少は発生せず、AES 256による暗号化処理を行ってデータをディスクに格納できる。利用にあたってはライセンスの購入が必要で、T600シリーズとT800シリーズで利用可能。参考価格は、T820の1ノードあたり64万円(税別)からとなる。

 T800シリーズの出荷は1月下旬より開始される予定で、今回より、ネットワールドが一次代理店に追加される。

富士通とのOEMビジネスも回り始めた

 なお、ティントリでは2014年9月に富士通とOEM契約を締結し、「ETERNUS TR series
」として国内提供が開始されている。これについて、ティントリ 職務執行者社長の河野通明氏は、「ビジネスを大きくしていく上で、富士通に参画していただいたのは大きいこと」と話す。

 Tintri VMstoreはこれまで、その特徴や効果が認められながらも、ティントリというベンチャー企業の提供する“とがった”製品という印象で顧客にとらえられていた。しかし、それが富士通のソリューション提案の中に入り、高い評価を得つつあることで、ティントリに対する業界の目が変わってきたのだという。富士通がOEM販売する製品については、富士通が全国に敷いている保守サポート体制をそのまま活用できるため、その面での安心感もあるだろう。

 実際に、「エンタープライズのお客さまが急速に増えてきたし、(富士通がOEM提供を始めたことで)既存パートナーのビジネスにも良い波及効果が得られた」(河野社長)とのこと。富士通によれば、同社での商談案件はすでに100件を超えたとのことで、市場への認知も進みつつあるようだ。

 さらに、富士通とティントリだけでなく、VMwareもあわせた3社協業なども進みつつあるのが現状で、「これがマイクロソフトやレッドハットとも確立できれば、最終的にエンドユーザーにとってもメリットになることを実現できるのではないか」とした。

 なお、各ベンダーとの協業についてはもともと、Tintri VMstoreがVM aware storageであり、ハイパーバイザーのベンダーを初めとするさまざまなパートナーとの連携が必須ということもあって、積極的に行っている。例えば、当初VMwareだけをサポートしていたハイパーバイザーも、2014年9月にはRed Hat Enterprise Virtualization(RHEV)3.3をサポート。すでに米国ではHyper-Vへの対応が発表されており、各ベンダーとの協業は順調に進んでいるという。

 こうした点について、米本社でアライアンスを担当する上席副社長のアンドリュー・リー氏も、「VMwareはもちろん、Microsoftなどとも本社レベルで強固な関係を築いているので、日本の動きをサポートできるだろう。必要な取り組みがあれば、オープン性を持って取り組んでいくのが当社の姿勢だ。例えばサーバーサイドのメーカーやバックアップソフトベンダーなどとも、広くアライアンスを組んでいる。こうしたパートナーとシステムやソリューションを作り上げていきたい」と述べた。

ティントリ 職務執行者社長の河野通明氏
Tintri アライアンス担当 上席副社長のアンドリュー・リー氏

石井 一志