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【OpenWorld 2013】米Oracle、10個の新たなクラウドサービスを発表
Oracle Cloudのサービスメニューを拡充へ
(2013/9/25 12:37)
米Oracleが、米国サンフランシスコで開催中のOracle OpenWorld San Francisco 2013(以下、OpenWorld 2013)の開催3日目、Oracle Cloudへの取り組みについて、米Oracle 製品開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのトーマス・クリアン氏が基調講演を行った。また、講演後には報道関係者を対象にした質問に答えた。
IaaS、PaaS、SaaSで新たに10のクラウドサービスを提供
クリアン氏は、「Oracle Cloudは、昨年のOracle Open Worldでの発表から約12カ月を経過したが、データベースサービスについては、まだ予告したままである。だが、準備は着実に進んでいる」と、今後のサービス開始について切り出し、今回新たに、Oracle Cloudにおいて10個のクラウドサービスを提供することを発表した。
さらに、SaaSにおいては、米Oracleが昨年12月に買収したEloqua(エロクア)によるマーケティングクラウドサービスなども提供されることになる。
Oracle Cloudでは、ストレージやコンピュートリソースを提供するIaaS型のクラウドサービスとして、「Object Storage Cloud」と「Compute Cloud」を提供。「従量課金によって、必要なものを必要な分だけ調達できる。OpenStackのAPIを活用しているのも大きな特徴である」などとした。
また、PaaS型では、Oracle Database 11g R2および12cのフル機能を利用できる「Oracle Database as a Service」、Javaの開発環境を提供する「Oracle Java as a Service」、Oracle Databaseのバックアップをクラウド上に行える「Database Backup Cloud」、サブスクリプション課金などの機能を提供する「Billing and Revenue Management Cloud」を用意した。
さらにモバイル関連として、モバイルデバイス向けにアプリケーションを開発・提供するための「Mobile Cloud」、モバイル端末とデスクトップ端末とを接続し、セキュアな環境下でドキュメントなどを共有する「Documents Cloud」、モバイルデバイスでもビジュアル性の高いインタラクティブなダッシュボードを利用できる「Business Intelligence Cloud」も提供する。
このほか、ISVが開発したクラウドアプリケーションを広く展開するための「Oracle Cloud Marketplace」を新たに提供。これによってOracle Cloudのユーザーは、Oracleのパートナー企業が開発した100以上のビジネスアプリケーションを簡単に検索、評価、購入することができるという。
「ISVがOracle上で開発したアプリケーションを広く利用してもらうための環境を用意した」とクリアン氏は述べた。
またクリアン氏は、「OracleのPaaSは、すべてをOracleが管理をしていることが特徴である」などとした。
一方、SaaSに関しては、「ERPやHR(Human Resources)、CX(Customer Experience)といったアプリケーションをひとつのクラウドと提供しているのは、Oracle Cloudだけである。フルスイートとして提供できる。特にHRは、Oracleが全世界に展開している実績があり、人事のコアとなる機能のすべてを、クラウドサービスを通じて利用できる」と語った。
また、Customer Experienceという観点では、マーケティング部門、セールス部門、カスタマサービスで活用できる各種機能をクラウドサービスとして提供。Eloquaの買収によって獲得したマーケティングクラウドサービスも提供する。
クリアン氏は、「例えば、ソーシャルを通じて、カスタマが何を求めているのか、どうリーチするのか、ソーシャルによって他社とどう連携するのかといったソリューションを、Sales CloudやSocial Relationship Managementなどのクラウドサービスとして提供することができる。これらは中小規模の企業から、大手企業まで幅広い企業が利用できる」と述べた。
OracleのSaaSは、全世界13カ所のデータセンターで、7000台のサーバーと、200PBのストレージの上で実行されており、「一日900万人のユーザーが、190億のトランザクションがある」(クリアン氏)という。
また、クリアン氏は、販売パートナーであるOracle Partner Network(OPN)において、クラウドに関するリセラープログラムへの登録がこの3カ月で130%増加していることを明らかにした。
ファミリー化したEngineered Systemsがデータセンターを大きく変えている
一方、米Oracle システムズ担当エグゼクティブバイスプレジデントのジョン・ファウラー氏は、Engineered Systemsに関して説明。「Engineered Systemsは、ファミリー化したことで、データベース、基幹業務、BI、ERP、CRM、OLTPといったように、エンタープライズの広範な領域に適用できるようになっている。これによってデータセンターを大きく変えている」などと切り出した。
OpenWorld 2013では、開催初日の米Oracleのラリー・エリソンCEOの基調講演で、Engineered Systemsとして「SuperCluster M6-32」および「Database Backup Logging Recovery Appliance」を新たに発表。さらに、3.6GHz、12コアのSPARC M6プロセッサを搭載した「SPARC M6-32」サーバーのほか、Oracle SuperClusterファミリーの拡張版である「Oracle SuperCluster M6-32」、「BIG MEMORY MACHINE」を発表しており、これらの製品の特徴についてあらためて説明した。
ファウラー氏は、「IBMはシステムが大型化するに従い、価格が高くつくという傾向があるが、OracleのEngineered Systemsは大型化しても価格はリニアである」としたほか、「CPUは世代ごとに2倍の性能向上を図ることを目標にしており、M5からM6にかけてはそれを実現した。いま次世代のM7を研究所でテストを開始しているが、パフォーマンスターゲットの達成に取り組んでいるところである」と述べた。
さらに、米EMCのジョー・トゥッチ会長兼CEOが基調講演に登壇。「ITはモバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルの4つが、IT産業の今後10年をけん引することなる」などとし、同社のストレージ戦略のほか、Software-Defined Data Centerやビッグデータソリューション、セキュリティソリューションなどを説明。さらにEMCおよびVMware、GEが出資するPivotalに関しても言及し、「これはEMCファミリーにとって第3のブランドとなる」と位置づけた。加えて、新たなVBLOCKや、ViPRプラットフォームについても説明した。
また、「EMCとOracleには、8万件にのぼる共通のユーザーがいる。今後もシームレスに協調する」などとし、両社のパートナーシップについて強調してみせた。
Microsoftの役員がOpenWorldに登場
一方、午後1時30分から行われた基調講演では、ラリー・エリソンCEOが、会期中2回目の登場が予定されていたが、エリソンCEOが参加しているヨットレースのアメリカズカップが、サンフランシスコで同時刻のレース開始となったことで、基調講演をキャンセル。代わって、クリアン氏が基調講演を務めた。
クリアン氏は午前中の基調講演と同様に、Oracle Cloudの新たなサービスなどを、デモンストレーションを交えて紹介してみせた。
また、この基調講演では、米Microsoft クラウド&エンタープライズ担当コーポレートバイスプレジデントのブラッド・アンダーソン氏が登壇。Oracleのプライベートイベントにおいて、Microsoftの役員が講演を行うという歴史的なものとなった。
アンダーソン氏は、「今年6月に発表したOracleとの提携は、多くの人から驚きを持って迎えられた。ここでの提携内容は、Hyper-VとAzureの上でOracleソフトウェアを動作させること、Windows AzureでJavaをサポートすること、Azure上でのOracleライセンスの活用、Azure上でのOracle Linuxの活用できるようにすることの4点となる。今日は、Oracle Self-Service Kitが利用できるようにすることを新たなニュースとして発表する。これにより、Hyper-Vの上で、Oracleソフトウェアが活用可能になる。今後は、OracleとMicrosoftが提携した際に約束したことを実行していくことになる」など話している。