イベント
【OpenWorld 2013】ソーシャルネットワークで変わる世界に対応するためには?
マーク・ハード プレジデント基調講演、ソフトバンク孫社長もビデオで登場
(2013/9/25 00:00)
米Oracleが、米サンフランシスコで開催しているOracle Open World San Francisco 2013の2日目となる9月23日午前8時から、米Oracleのマーク・ハード プレジデントによる基調講演が行われた。
同じことを言っているのは戦略には間違いがないということ
講演の最初の話題は、前日に行われたラリー・エリソンCEOの基調講演と同様に、ヨットレースのアメリカズカップの話題からだ。「米国に優勝カップを残しておきたい。ぜひ、みなさんの声援がほしい」として、聴講者全員で「GO ORACLE TEAM USA!」とエールを送り、これをビデオに撮影し、チームに送るというイベントから講演は始まった。
ハード氏は、昨今のIT産業を取り巻く状況について説明。「IT産業の市場規模は2兆ドルだが、ほかの産業のGDPをけん引していくという役割を担っている」としながら、「全世界には、90億のデバイスが接続されており、ソーシャルネットワークの利用によって、新たな世界が訪れている。私はかつて通ったビジネススクールでは、95%の顧客満足度を得られれば完全で、それ以上高めるにはかなりの投資が必要であると言われた。その時点ではプッシュ型の仕組みであり、トラブルに対しては1対1で対応することができた」と前置き。
その上で、「しかし、いまでは、問題が解決する前に、ソーシャルでつぶやかれてしまい、場合によっては、ブランドに大きな打撃を与えるようなこともある。いまの人たちは、サービスの品質が高くなければ、ほかのところに行ってしまうという傾向がある。誰に売るかということを、より的確に選別することが必要であり、そこにビッグデータやアナリティクスが関係してくることになる」とした。
また、「アプリケーションの平均寿命は20年といわれる。逆算すれば、1993年に作られたものであり、インターネットや検索サービス、スマートフォン、ソーシャルがない時代に作られた古いアプリケーションが、企業の中核業務で使われている状況にある。多くの企業が、そこにコストをかけ続けていることになる」などと課題を指摘した。
さらに、「データ爆発と言われているように、現在、米国には300PB(ペタバイト)のデータがあり、今後も40%増の勢いで伸びると考えられている。1TB(テラバイト)の管理に7000ドルかかるといわれており、100ペタバイトに7億ドルの費用がかかる。それを解決するには、効率性を高める、企業の革新を行うことが必要になる」とし、「昨日、Oracle Database 12cのオプションとして、Oracle Database In-Memoryオプションを発表したが、100倍速くなったらどうなるだろうかということを考えてほしい。これは、コストという観点からみれば、100分の1に下がることである。Oracleは、垂直統合モデルに取り組んでいるが、これは、安く、効率的であり、管理性が高いというメリットがある」などと語った。
また、「Oracleは、R&Dに毎年50億ドルを投資している。必要に応じてM&Aも行っていく。これは、昨年と同じことを繰り返し言っているにすぎないと感じるだろう。ただ、言っていることが変わらないということは、戦略には間違いがないということを示しているものだ」などとした。
ビッグデータソリューションの強みを紹介
一方、米Oracle プロダクト部門エグゼクティブバイスプレジデントのトーマス・クリアン氏は、ビッグデータソリューションについて説明。Oracleは、ビッグデータに関して、Oracle Big Data Appliance、Oracle Exadata、Oracle Exalyticsの3つのソリューションを提供しているとし、「Oracle Big Data Applianceは、Hadoopを高速で利用できること、すぐに活用できること、データアプライアンスから1時間に15TBものデータを移行させることができるといった特徴を持つ。また、Oracle Exadataは、データを10分の1に圧縮でき、スマートスキャンによってI/Oボトルネックを解消でき、高い拡張性を持っている。また、Oracle In-Memory DMNSでは、1秒間に何10億行ものスキャンが可能となる」としたほか、「Oracle Databaseでは、SQLの活用とともに、Rの活用にも最適化されており、さらに管理はOracle Enterprise Managerで統括できる」などと、同社の技術について説明した。
この基調講演では、ビデオやゲストの登壇を通じて、多くの企業での活用事例を紹介したのが特徴だ。
今回のOracle Open World San Francisco 2013では、「カスタマイベント」という表現が初めて用いられているが、これを裏付ける内容になったといえよう。
エアバスでは、飛行機に10万センサーを搭載しており、ここから得られるデータを瞬時に分析することで、テストフライトから6日間で次のテストに持っていくことができるようになり、納期などを6分の1に短縮できるという事例を紹介。
トムソンロイターでは、Exalyticsを活用して、社内では何10億もの情報とのリレーションシップをとり、社外のユーザーに対して意志決定をしやすい環境を提供することでビジネスチャンスに変える提案を行っている事例を示してみせた。
そのほか、ビッグデータに関しては、National Cancer Instituteにおいて、1万7000の遺伝子と6000万人の情報を扱っていること、Turkcellでは、毎日15億件のイベントが発生していることのほか、NTTドコモでは、1300万人のスマートフォンユーザーに対して、毎秒7億件のイベントが発生しているなかで50%のコスト削減を達成していることなどを紹介。
ニューヨーク証券取引所では、データセンターを15カ所に持っていたが、これを5億ドルかけて、2つのデータセンターに集約し、30%の支出を削減できたとし、毎秒18万5000のアクセス、2テラバイトのデータを活用していることを示しながら、「ニューヨーク証券取引所では、すべてのITシステムをOracleによるオールインの体制で使っている。結果として、バックエンドのコストを下げることができ、フィナンシャルサービスの強化にもつなげていける」などとした。
孫社長がビデオで登場
さらにビデオメッセージでは、ソフトバンクの孫正義社長がコメント。「ソフトバンクとOracleとは、長年にわたり、パートナーシップを組んでいる。課金の仕組みや、カスタマケアなどでOracleを活用しているほか、データ分析を活用した顧客の行動、ネットワークカバレッジの分析など、あらゆるところで活用している。ネットワークカバレッジでは、競争に苦しんできたが、Oracleとのパートナーシップで、質も、量も改善できた。このノウハウは、これから先も活用していきたい」とし、「クラウドは人類で最大の資産になる。クラウドを活用して、未発表のものも提供していきたい。Oracleとのパートナーシップはもっと重要になるだろう」と述べた。
ハード氏は、これを受けて、「孫社長が、未発表のことに関しても、Oracleとの連携によるクラウド活用で取り組んでいくという発言したが、これについては、私自身もワクワクする」などとした。
さらにハード氏は、なぜOracleを選ぶのかという質問を自らに投げかけ、「エンド・トゥ・エンドのソリューションを提供していること、インフラの最適化に時間をかける必要がないこと、そして、既存のOracleへの投資を活用できる点にある」などと、Oracleの特徴を示しながら、講演を締めくくった。