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日本オラクル、クラウド・パートナー・プログラムを本格展開へ

日本オラクル アライアンス統括の渡部洋史執行役員

 日本オラクル株式会社は22日(米国時間)、今後、日本におけるクラウド・パートナー・プログラムを本格的に開始する考えを明らかにした。9月22日から米国サンフランシスコで開催されているOracle Open World San Francisco 2013(Open World)の記者会見で、アライアンス統括の渡部洋史執行役員が言及した。

 渡部執行役員は、「ごく近い時期に、10~15社の規模でスタートすることになる。それと同時にクラウド活用に関するリファレンスを発表し、クラウド・パートナー・プログラムへの参加を呼びかけていきたい」とした。

 また、「日本では多くのパートナー企業が、自社のソリューションを持っており、これらのソリューションとどう連携させるかが、日本におけるクラウドパートナービジネス拡大の鍵になる」などとも述べた。

200社ではまだ十分ではない、いっそうの拡大を

米Oracle パートナーエンゲージメント担当のJoel Borellisグループバイスプレジデント
200のスペシャライズドパートナー、2200の認定インプリメンテーションスペシャリストなどがいるという

 クラウド・パートナー・プログラムは、現在、全世界で200社以上が参加しているものの、「200社という規模は、まだ数字の面でも十分ではないと考えている。クラウドの専門的知識を持ったパートナーを追加し、Oracle RightNow Cloud Serviceなどのソリューションの強化、アプリケーションの強化を図り、クラウドビジネスをグローバルで加速したい」(米Oracle パートナーエンゲージメント担当のJoel Borellisグループバイスプレジデント)とした。

 また、Oracke ストラテジックアライアンス担当のAndy Baileyシニアバイスプレジデントは、「クラウドパートナーの参加が急速に広がっている。これは、オラクルのパートナープログラムによって、クラウドソリューションを販売することが容易になってきていることも要因のひとつ。Oracle Fusion/Cloud Applicationsにおいては、世界中で200のスペシャライズドパートナーがおり、2200の認定インプリメンテーションスペシャリストがいる。そして、3万人のセールスおよびプリセールススペシャリストがいる」などとした

 さらに、Oracle PartnerNetworkへの参加企業が2割以上増加していること、パートナーへ支払われるリベートが12%増加していることなどを公開し、パートナービジネスが増加していることを示した。

 現在、全世界で2万5000社がOracle PartnerNetworkへ登録しており、「昨年だけで6000社が増加している」(Borellisグループバイスプレジデント)としている。

 同社では、Oracle Exalytics Ready、Oracle Exalytics Optimizedの2つの新たなパートナー向けプログラムを開始することも明らかにした。

 一方、日本では、今年度のパートナー支援先の強化として、「業種別協業の強化」、「クラウド・パートナー・プログラムの推進」、「Engineered Systemsビジネスの拡大」、「Oracle on Oracleビジネスの開拓」、「ISVアプリケーションの拡販支援」、「地域ごとのパートナー支援」の6点を重点課題に掲げている。

 渡部執行役員は、「中でも、Engineered Systemsビジネスの拡大は重要に鍵になる。前年度は富士通がこの分野で大きな実績をあげている。そのほかにも、たくさんのパートナーに協力してもらい、貢献してもらった。また、パートナーのグローバル展開支援にも取り組んでいく。日本で開発されたソリューションをオラクルのプラットフォームを通じて、世界展開を進めていきたい」などと語った。

 Oracle on Oracleビジネスは、オラクルのプラットフォームの上で、オラクルの製品を利用するといった提案で、今年6月から全世界でパートナープログラムを開始している。日本でもパートナーを通じたOracle on Oracleビジネスの拡大を目指すことになる。

 パートナーを対象に展開しているスペシャライゼーションと呼ぶ専門資格については、「Mobile」、「Middleware」、「EPM/BI」、「Applications」、「Systems」、「業種別」の6つのカテゴリーにおいて84種類の日本語スペシャライセージョンを用意。現在、57社287個が国内で認定されている。

 また、全世界には5000以上のスペシャライズパートナーがおり、3万件のスペシャライゼーションが認定されている。「日本では、2013年度にスペシャライゼーションの認定数を増加させたことが大きな取り組みであった。今後も拡大していくことになる」(日本オラクルの渡部執行役員)とした。

Oracle Open World San Francisco 2013ではOracle Excellence Awardの日本の受賞パートナー企業が発表された
米Oracleのマーク・ハード プレジデント

 なお、22日(米国時間)に行われたOpen Worldでは、Oracle PartnerNetworkを対象にした基調講演が行われ、Oracleのマーク・ハード プレジデントが登壇。「クラウドビジネスをOracle1社で加速させるのは難しい。パートナー各社に協力をしてもらいたい。SaaS領域であっても、コンサルティング領域であっても、協力をしてもらいたい。それに対する支援を行っていく」としたほか、「当社は、コンサルティングに関する売上高が減少しているが、これは、この分野をパートナーに移管しているためであり、健全な成長を遂げている」と語った。

 また、「Engineered Systemsは40%が新たな顧客であり、これは、ビジネスパートナーにとっても成長の機会につながっている。企業のニーズが高まっている他社のマイグレーションビジネスは、ぜひパートナーに担当してもらいたい」などと語った。さらに、「2年前には欧州に投資し、昨年は東欧や南米への投資を加速している。今年は、アジアへの投資をかなり積極化していく考えである」などとも述べている。

大河原 克行