日立がVMwareのvCDCプログラムへ参加、クラウド分野での提携を拡大

ハイブリッドクラウドサービスを2013年度に提供へ


日立 執行役常務 情報・通信システム社 CSOの渡部眞也氏と、米VMware CEOのパット・ゲルシンガー氏

 株式会社日立製作所(以下、日立)と米VMwareは5日、グローバル規模での戦略提携で合意したと発表した。これに伴い日立では、VMwareの「VMware vCloud Datacenter Services(vCDC)」プログラムに参加。自社のクラウドソリューション「Harmonious Cloud」のサービスメニューに、「VMware vCloud Datacenter Service」を追加して、2013年より高信頼なハイブリッドクラウドサービスを提供するという。なお、同プログラムに参加するのは全世界で11社目、国内ではソフトバンクに次ぐ2社目になる。

 日立では2004年以来、サーバー仮想化の分野からVMwareとの協業を進めており、それを順次クラウド、ビッグデータ、データセンター全体へと拡大してきた。特にデータセンター分野では、日立のサービスの中でVMwareの製品、技術を積極的に採用しており、4000名弱のVMware技術者を抱えているという。

 今回の提携ではまず、vCDCプログラムに日立が参加し、企業のプライベートクラウドと、vCDCに参加する他社の認定パブリッククラウドサービスとのシームレスな連携を行えるように取り組んでいく。日立では、12月に「日立-VMwareコンピテンスセンター」(横浜市)を設置し、同プログラムに準拠したハイブリッドクラウドサービスの開発を行うとのことで、2013年度の早いうちにサービスを提供する考え。まずは国内市場に向けてサービスを提供するが、グローバルに展開する企業も多いことから、次のステップでは国外でのサービス提供も目指すとした。

 日立 執行役常務 情報・通信システム社 CSOの渡部眞也氏は、「今回の提携に伴う新サービスにより、お客さまのプライベートクラウドや他社のクラウドサービスと、より高度な可搬性、相互運用性を実現する。もちろん、まずは当社のサービスとプライベートクラウドとの連携からだが、さまざまなクラウドとの連携ニーズがあり、今回の取り組みでそうしたところに応えられると考えている」と、提携の背景を説明している。


日立がvCDCパートナーとして参画する企業のプライベートクラウドとさまざまな認定パブリッククラウドが連携するハイブリッドクラウドサービスを提供する

 また、サポートサービス「日立サポート360」の中で、基幹システム向けにラインアップしている「プレミアム」サービスのメニューに、VMware vSphereなどを追加。さらに、前述のコンピテンシーセンターを活用して、両社の技術を統合したITプラットフォーム製品・サービスの開発を加速するほか、国内で締結していたVMware製品に関する包括的なライセンス契約をグローバルに拡大し、自社グループのグローバルのITシステムで横断的に活用するとのこと。

 「テクノロジー連携の分野を強化し、仮想化をデータセンターの領域へより広げていくために、R&Dに踏み込んで関係を拡充。この取り組みを通じて、製品を強化していく。当社のクラウドサービスはミッションクリティカル性が強みであり、自治体向けや大規模なクラウドサービスを手掛けてきた実績を持つ。クラウドがよりミッションクリティカルな分野、特に社会インフラ分野などで利用されてきているが、プレミアムサポートによってこうした利用に対応する」(渡部氏)。


ミッションクリティカルサポートを強化従来より提供しているVMware仮想化環境でのハードウェア管理に加えて、データセンターレベルのさまざまなソリューション提供に向けて技術連携を行う

 なお、VMwareのパット・ゲルシンガーCEOはこの提携について、「質に定評があり、グローバルに展開している日立との協業をうれしく思う。また日本は世界で3番目の経済大国であり、その市場において日立と提携できる意義は大きい」とコメントした。

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