富士通、2011年度上期に夕食宅配クラウドサービス提供へ


富士通株式外は 流通ビジネス本部 小売りビジネス推進統括部 統括部長 滝口勉 氏

 富士通株式会社は2月28日、3月8日から開催される「第27回流通情報システム総合展 リテールテック
JAPAN 2011」を前に、富士通のリテールビジネスへの取り組みに関する記者説明会を開催。2011年度上期には夕食宅配クラウドサービスを開始する予定を明らかにした。

 富士通 流通ビジネス本部 小売りビジネス推進統括部 統括部長 滝口勉 氏は、今後の流通業のキーワードとしては、低価格化の加速/プライベートブランド商品の拡充、M&Aや系列化の加速、食の安全へのニーズ、ミニスーパー出店など業態のフォーマット変換の加速、高齢化や健康・環境への関心などを挙げた。

 このうち高齢化については、高齢化で宅配サービスへの需要が高まっていることを受け、夕食宅配クラウドサービスを2011年度上期にサービス提供開始予定であるとした。生協の基幹業務システムとの連携を標準装備し、弁当1個あたり単価による課金利用形態で提供する予定だという。

 リテールビジネスで求められるシステム化における5つのキーワードとして(1)基幹MD(マーチャンダイジング)システムの刷新、(2)ネットビジネスの効率化、(3)クラウドの有効利用によるコスト低減、(4)取引先との戦略的連携、(5)消費者のライフスタイル分析の5つを挙げた。

 これらのニーズに対して富士通では、「計器飛行型MD」をキーワードに、計器が並ぶ航空機のパイロット席のように、ポータル画面で各種情報が一目で確認でき、アラートによってリアルタイムにアクションが起こせるシステムを次世代基幹・MDソリューションのコンセプトとしていると説明。

 また、「流通業のITの投資トレンドは平均すると売上の0.45%」であるとして、市場全体が縮小傾向にある中で、「新規の戦略投資をするには、既存ITのコストを下げるしかない。運用コストを落とし、その分で新規のIT投資をする形になる」として、初期コスト負担の軽いクラウドサービスを活用した『持たないICT』の導入を提案していく方針を述べた。同時に、クラウドサービスの導入提案にあたっては、「既存のシステムに比べ、3割はコストダウンしなければならないと考えている」と述べた。

 グローバル展開については、富士通ではグローバルリテールビジネスを推進していくとして、現状リテールビジネスの売り上げを100とした場合、国内とグローバルは45:55の比率だが、これを40:60に、グローバルの売り上げを引き上げたいとした。

 なお、富士通では3月8日から東京ビッグサイトで開催される「第27回流通情報システム総合展 リテールテックJAPAN 2011」に出展。百貨点、量販店、フードサービス、専門店、クラウド、POSソリューション、グローバルビジネスへの取り組みなど、同社のソリューションを展示する。

小売業のシステム全体像今後のシステム化に求められる要件情報化設計の考え方
次世代基幹・MDソリューションのコンセプト夕食宅配クラウドサービス求められるシステム化5つのキーワード
関連情報