EMC、「CLARiX」「Celerra」を徹底効率化する3つの新機能

新管理ツールやVMware VAAI対応も発表


 EMCジャパン株式会社は10日、ミッドレンジストレージ「CLARiX」と「Cellera」の強化を発表した。ポイントはデータ保存を効率化する3つの新機能と、新たな管理ツールの提供、ならびにVMwareとの親和性向上だ。

CLARiX CX4-120Celerra NS-120

データ保存を最適化する3つの新機能

徹底効率化を実現する3つの新機能

 3つの新機能は、ミッドレンジストレージのデータ保存を効率化するもの。具体的に(1)ストレージ階層化技術「FAST」の新版、(2)ハイエンドストレージ以上のキャッシュ容量を実現する「FAST Cache」、(3)データ容量を大幅に削減する「ブロック・データ圧縮機能」を提供する。

 FAST新版では、LUN単位でデータ再配置する従来のFASTを改善し、1GB単位のより粒度の細かいデータ再配置を実現した。これにより、LUN単位の場合に必要となるアプリケーションの設計変更を不要にし、処理時間も大幅に削減している。

 また、このFASTの効果を最大限に引き出すためにはキャッシュ機能が必要だ。従来のDRAMキャッシュではキャッシュ容量に限界があり、価格も高いという課題があった。FAST Cacheでは、キャッシュにフラッシュドライブを使用することで、これらを一挙に解決。最大2TBという大容量キャッシュを実現し、性能も大幅に向上する。

 プロダクト・ソリューションズ統括部 シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャの雨堤政昭氏によれば、この機能をONにするだけで、データベースのユーザー数・トランザクション量を2倍に引き上げ、仮想デスクトップの起動時間を半分、応答時間を4分の1に削減できるという。このため「性能不足の際に、上位機種への買い換えが不要になる」(雨堤氏)とアピールしている。

 そして、ほぼすべての環境で透過的に使用できて、データ・フットプリントを最大50%削減するのが、3つ目のデータ・ブロック圧縮機能だ。

 新機能を備えたCLARiXとCelerraは、7月以降に提供する予定。既存ユーザーはソフトアップグレードと追加購入で利用できる。

SANとNASを共通管理する新ツール

EMC Unisphereの画面。複数システムの状況をひと目で把握でき、故障個所もビジュアルに確認できる

 加えて、CLARiXとCelerraを一元管理できる新管理ツール「EMC Unisphere」を提供する。ブロックベース(SAN)のCLARiXと、ファイルベース(NAS)のCelerraでは、これまで別々の管理ツールが提供されていた。これを統合し、複数システムの状況をひと目で把握可能にしたのが、新管理ツールだ。今後、CLARiXとCelerraの標準管理ツールとして提供される。


VMwareとの親和性を向上

 VMware管理者は、EMCのプラグインを使用して、VMwareの「vCenter」管理コンソール内から、CLARiXとCelerraを管理できる。今回は両ストレージに「VMware vStorage APIs for Array Integration(VAAI)」のサポートが追加されたため、従来サーバー側で行っていたストレージ関連処理をストレージにオフロードできるようになった。これにより、仮想サーバーのパフォーマンスやサーバー統合率を向上できる。

vCenterからCLARiXとCelerraを管理VAAIをサポート。従来サーバー側で行っていた処理をストレージ側にオフロードすることで、VMware環境のパフォーマンスを向上

EMCクラウド戦略に欠かせないミッドレンジストレージの効率化

代表取締役社長の諸星俊男氏

 EMCジャパンでは、一般的に「ハイブリッドクラウド」と呼ばれる、内部/外部クラウドを連携させた環境を「プライベートクラウド」と定義し、その実現を目指している。「そこで重要になるのが、ミッドレンジ分野のストレージだ」と代表取締役社長の諸星俊男氏。

 「ある調査によると、7割弱のユーザーはストレージ容量を50%未満しか使っておらず、さらに30%のデータが未使用データと報告されている。将来のプライベートクラウド実現にあたっては、さらなるストレージの効率化を、もっとも伸びが著しいミッドレンジの分野で実現していかなければならない。今回の新機能にはそういった意味がある」と今回の強化価値をアピールしている。

 なお、米国ではデルへのOEM製品も含め、圧倒的なシェアを誇るEMCストレージだが、日本では、特にミッドレンジストレージ分野では、苦戦しているのが現状。この理由を諸星社長は「もともとハイエンドストレージから入った当社には、どうしても大規模向けで高価というイメージがある。それがミッドレンジ分野の苦戦につながっているのだが、実は性能でも価格競争力でも他社に引けを取らないし、むしろ上回るパフォーマンスを持っている。このことをきちんと市場に伝えていくのが、今後の注力点」と話し、ミッドレンジストレージ市場への意気込みをのぞかせた。


関連情報