仮想環境の共有ストレージ管理も「vCenter」で-EMCが無償プラグイン


テクノロジー・ソリューションズ本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 テクノロジー・コンサルタントの三保尚澄氏
Celerraプラグインの概要。vCenterで仮想化環境の共有ストレージ管理を可能にする

 EMCジャパン株式会社(以下、EMC)は3月31日、NAS製品「Celerra」の新機能として「VMware環境向けEMC Celerraプラグイン(以下、Celerraプラグイン)」を発表した。VMware環境の共有ストレージ管理を効率化するもの。Celerraの新規・既存ユーザー向けに、同日よりWebから無償でダウンロード提供する。

 Celerraプラグインは、VMwareの管理ツール「vCenter」で、仮想化環境における共有ストレージの管理も可能にするもの。従来、共有ストレージの管理には「Celerra Manager」が提供されているが、管理者が異なることも多く、フレキシブルな管理が難しかった。Celerraプラグインを使えば、vCenterにアクセスする「vSphere Client」から直接、ストレージ容量の追加や拡張、仮想マシンの複製が可能となる。「仮想化とストレージの管理者間に組織の壁があっても、仮想化本来のメリットであるインフラの柔軟性を実現する」(テクノロジー・ソリューションズ本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 テクノロジー・コンサルタントの三保尚澄氏)という考え方だ。

 ストレージ容量の追加・拡張(プロビジョン)では、vSphere Client上でデータストアを作成し、ESXサーバーやクラスタへ自動マウントしてくれる。

vSphere ClientにCelerraのメニューが追加される「Provision」を選ぶとデータストア作成ダイアログが開くデータストア名と容量を指定するだけで、あっという間に作成される

データストアの容量を拡張することも可能拡張後の容量を指定こうして作成・変更したデータストアを仮想マシン作成時に選択するわけだが、1つのツールですべて完結するのがありがたい

 一度作成したデータストアの容量変更も自由自在。仮想マシンの複製(クローン)では、「フルクローン」のほか、Celerraのスナップショット機能による差分のみの「Fastクローン」に対応する。VMwareにもクローン機能が存在するが、「それを使うとサーバーのリソースを費やすことになる。そうではなくストレージレイヤで複製を作ることで、仮想サーバーは仮想サーバーとしての役割に専念できる。処理の高速化にもつながり、約半分に時間短縮できる」(三保氏)という。

クローン作成も右クリックメニューから対象を選んで、クローン名と数を指定差分を取るFastクローンならすぐさま完了。フルクローンでも仮想サーバー上で実行するより圧倒的に早さ

 このほか、仮想マシンの圧縮も可能。vSphere Client上で仮想サーバーを選んで、vmdkファイル単位で圧縮できるため、簡単に負荷の低いサーバーを効率化し、データストアの容量不足を解消できる。「ある仮想マシンを1カ月後まで取っておきたいという場合も、圧縮・重複除外して対応できる」(同氏)としている。

 最新版のvSphere 4.0には「可用性」「セキュリティ」「拡張性」「ネットワーク」「ストレージ」などに関するさまざまな機能が盛り込まれている。さらに各ベンダーとの統合を進めるのがVMwareの戦略だ。今回はストレージに関して、「容量の効率化」「I/O処理の効率化」「運用管理の効率化」のための密な連携を実現している。

 テクノロジー・ソリューションズ本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 マネージャの中野逸子氏は「VMwareのタスクをストレージアレイにオフロードする、vStorage API for Array Integration(VAAI)として紹介しているが、着実に連携・統合は進んでいる。将来的には、非常に深いレベルでVAAIの統合が果たされ、どこで何が処理を行っているのか意識しないで済む“Invisibility”の連携・統合が実現できるだろう」と、将来の目標を語った。




(川島 弘之)

2010/3/31 15:30