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Dataiku Japan、AIプラットフォームの製品戦略やAIエージェントの活用トレンドなどを発表
年次イベント「Dataiku Summit TOKYO 2025」に合わせて説明会を開催
2025年7月10日 13:15
Dataiku Japan株式会社は、年次イベント「Dataiku Summit TOKYO 2025」を7月10日に開催する。イベントの開催に先駆け、7月9日、AIプラットフォーム「The Universal AI Platform」のテクノロジービジョンや製品戦略、AIエージェントの活用トレンド、同社製品のユースケースおよびエコシステムなどについて記者説明会が行われた。
年次イベント「Dataiku Summit TOKYO 2025」では、「From Chaos to Control -カオスからコントロールへ-」をテーマに、各社のAIリーダーによる実践的なセッションを通じて、AIエージェント活用、生成AIガバナンス、および全社的なAI戦略構築まで、実際のビジネス変革のストーリーを共有するとともに、実践できるインサイトを届ける。
Dataiku Japan 取締役社長 カントリーマネージャーの佐藤豊氏は、「昨年開催した年次イベントの参加者は約200人だったが、今年は多くの事前申し込みがあり500人満員となった。現在、AI領域はカオス状態にあり、これをどうコントロールしていくかがAI活用の課題となっている。その中で、レスポンシブルAIやエシカルAIなど信頼できるAIが世界から求められており、ここに日本企業のチャンスがあると考え、『From Chaos to Control』を今年のテーマに設定した。当日のセッションでは、住友ゴム工業をはじめ日本航空、アシスト、日鉄ソリューションズ、NTTコムウェア、CCCMKホールディングス、ソフトバンク、ジェーシービー、三菱電機などのAIリーダーが登壇する予定で、当社の認知度が着実に高まっていることを感じている」と語った。
続いて、エンタープライズ領域における製品ビジョンについて、Dataiku Inc. 製品およびビジネスソリューション担当 VPのソフィー・ディオネ氏が説明した。「当社は現在、グローバルで750社以上の顧客企業をサポートしている。当社では、これらの顧客企業がスピーディーに、アジャイルに、かつ安全に、AIトランスフォーメーションを進めていけるよう支援することをビジョンとして掲げている。そして、アナリティクス、生成AIモデル、AIエージェントをオーケストレーションするためのプラットフォーム『The Universal AI Platform』を展開している。このプラットフォーム戦略によって、チーム規模から部門規模、エンタープライズ規模まで、企業におけるAI活用の拡大をあらゆる段階で支援していく」と述べた。
2025年に投資する重点エリアとしては、「信頼性の高い複合AIのためのエージェントオーケストレーション」、「エンタープライズ全体へのアナリティクスの組み込み」、「AIガバナンスの運用化」の3つを挙げ、「顧客企業が信頼できるAIを構築、活用できるよう、さらなるコントロール強化を支援する」との製品戦略を発表した。
「信頼性の高い複合AIのためのエージェントオーケストレーション」では、AIプラットフォームの最新アップデートで「ビジュアルエージェント」「コードエージェント」「マネージドツール」「トレースエクスプローラー」といったツールをリリース。ガバナンスの効いたエージェント構築や、エージェントのコントロール強化、エージェントをビジネスシステムと連携するためのツールを拡充し、顧客企業の生成AI戦略を支えるフル機能をそろえた。さらに今年9月には、エンタープライズ向けエージェントツール「クイックエージェント」の提供を予定しており、全社規模でのエージェント活用を推進していく。
「エンタープライズ全体へのアナリティクスの組み込み」では、AI支援によるアナリティクスの活用強化や、信頼構築のためのデータ品質管理とデータリネージュ機能、およびAI活用者向けのDataikuストーリーズによるラストマイルでのインパクト創出、シンプルなデータプロダクト配信による利便性向上といったアップデートを行っている。今後は、信頼できるデータ活用を加速するセマンティック検索、AIを活用したグラフアナリティクス機能をリリースする予定。
「AIガバナンスの運用化」では、最新アップデートによって生成AIガバナンスを強化し、AIポリシーを日々の業務実践へ落とし込み、EU AI法などの規制にシンプルに対応できる体制を整えた。今後の展開としては、プロジェクトの標準化や体系的なテスト、アラート管理などによって、急速なAIポートフォリオの拡大に対応した迅速な構築・展開を実現していく。また、エージェントのライフサイクル全体での品質保証や評価、テスト、モニタリングの機能もさらに強化していくという。
AIエージェント活用のトレンドや同社製品のユースケースについては、Dataiku Inc. プラットフォーム戦略担当VPのジェド・ドアティ氏が説明した。「日本では今、AI活用に向けた動きが加速しており、単なるチャットボットからAIエージェント、さらには複数のAIエージェントを活用するマルチAIエージェントの世界へとスピーディに移行しつつある。当社製品のユースケースも、単に生産性を上げるのではなく、ビジネスプロセスにフォーカスしたユースケースにシフトしてきている。しかし、そのためには、システム側にAIエージェントをマネージさせるアプローチが必要不可欠となる。特にマルチAIエージェントの活用にあたっては、さまざまなタイプのAIエージェントをビジネスプロセスのタイムラインの中で管理していくことが重要になる」と述べた。
具体的なユースケースとしては、LVMH、Standard Chartered銀行、ミシュランの3社の成功事例を紹介。ルイ・ヴィトンやディオールなど70以上のメゾンを抱えるLVMHでは、DataikuのAIプラットフォームを活用することで、中央レベルで最高水準のデータ&AI資産を構築し、25以上の事業部門にスケール展開している。Standard Chartered銀行では、Excelに依存した手作業プロセスから脱却することでFP&Aアナリストの生産性を向上させ、レガシーツールをセルフサービス型アナリティクスへと段階的に置き換えている。ミシュランでは、DataikuのAIプラットフォームによって工場エンジニアと製造現場の専門家へのデータ&AIの民主化を推進。R&Dエンジニア、品質技術者、データサイエンティストが迅速かつ容易にデータへアクセスできる環境を構築するとともに、ユースケースの中央管理による再利用やローカルでのセルフサービス活用を実現したという。
また、エコシステムの展開について、ドアティ氏は、「当社のAIプラットフォームは、インフラへのロックインリスクがなく、あらゆる生成AIモデルやサービスとの統合が可能となっている。さらに、新たな機能として、さまざまな業務アプリケーションを統合するためのインターフェイスを間もなく提供する予定だ。Cortex SnowflakeやSalesforce、SharePoint、ServiceNowなどの業務アプリケーションとの密接な統合によって、ビジネス価値の創造につながるAIエージェントの導入を推進していく」と、今後の計画を明らかにした。