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米Dell、本社の検証施設やコンテナ型データセンターを公開
仮想化環境でのワークステーション検証施設など
(2014/11/5 11:50)
米Dellは、テキサス州オースティンの同社本社内に設置されたコンテナ型データセンター「Dell Modular Data Center」を、アジア太平洋地域のメディアを対象に初公開した。
11月4日(米国時間)からオースティン市内で開催されるユーザー向けイベント「Dell World 2014」の開催にあわせ、アジア太平洋地域のメディアを対象に実施した説明会において、Dell Solution CenterおよびMobile Workstation Labを報道関係者に公開。その際に、Dell Modular Data Centerの現物を公開しながら、その説明に時間を割いた。
また、米Dell Precisionワークステーション担当エグゼクティブディレター兼ゼネラルマネージャーのAndy Rhodes氏は、現在、米国オースティンとアイルランドの世界2カ所に設置している、ワークステーションの仮想化環境における検証施設「Virtual WorkStation Center of Excellence」を、2015年3月~4月を目標に、日本に設置する計画を明らかにした。
設置場所を選ばずに配備できるコンテナ型データセンター
Dell Modular Data Centerは、演算部、電源部、冷却部の3つを組み合わせて容易に設置することができるコンテナ型のデータセンター。同社が以前から取り組んできた「データセンターコンテナプログラム」を進化させたものだと位置づける。
Dell本社に設置されたDell Modular Data Centerが、駐車場の一角に位置していることからもわかるように、設置する場所を選ばずにデータセンターを配備することができるのが特徴だ。
リファレンスユーザーとして、eBayが8台のDell Modular Data Centerを、社屋の2階に設置。短期間での導入を実現したほか、Microsoftは、Bing Mapのサービスにおいて課題となっていた、米国中央部での遅延を解消するためにDell Modular Data Centerを導入し、こうした問題を短期間で解決した例などがあるという。
「クレーンを持ち込めば、約半日で完成する。導入例をもとにすれば、PUEは1.043。設置コスト、運用コストの削減でも効果がある」(米Dell Dellソリューションセンター クラウド/ビッグデータソリューションアーキテクトのKris Applegate氏)とする。
演算部として、左右にそれぞれ12ラックを持ち、ここに500台のサーバーを設置し、500ペタバイトのストレージ容量を持つことができるほか、「今後のサーバーの進化を考えれば、より高密度が進み、最大5000台のサーバー、1EB(エクサバイト)の容量を実現することができるだろう」と予測する。モジュラー形式でサーバーを追加できることから拡張性においても優位性が発揮できるという。
電源部では、ACおよびDCへの対応のほか、用途に応じてバッテリーパックアップやディーゼル発電環境も用意できるという。電磁波の干渉対策なども対応が可能となっている。
「Dell Modular Data Centerの特徴は、柔軟な選択肢と拡張性を提供できることにある。この点が他社のコンテナデータセンターとは異なる」と語る。また、「Dell Modular Data Centerは、基本的にはDell製品で構成されることになるが、他社の機器も導入することができる。だが、その際にはDell製品で構成するよりも性能は劣ることになる。Dellが蓄積してきたコンテナソリューションのノウハウを生かすことで高い性能を実現する」と説明。
「コンクリートで地盤を固めたり、フェンスを作っている間に、コンピューティングモジュールを組み上げ、テストを行うことで、さらに短期間での稼働へとつなげることができる」などと語った。
仮想化環境でのワークステーション検証施設を日本にも
一方、ワークステーションの仮想化環境における検証施設「Virtual WorkStation Center of Excellence」を、2015年3月~4月を目標に、日本に設置する計画も明らかにした。
Virtual WorkStation Center of Excellenceは、米本社のDell Solution Center内およびアイルランドに設置されている施設で、顧客やISVパートナーなどが、世界中のあらゆる場所からアクセスし、仮想化環境におけるアプリケーションの性能を検証することができるものだ。
米Dell Precisionワークステーション担当エグゼクティブディレター兼ゼネラルマネージャーのAndy Rhodes氏は、「さまざまな業種において、ワークステーションの仮想化利用が検討されている。従来はデスクの下に置いていたワークステーションを持ち出して利用したいという要望や、遠隔地でも手元にワークステーションがあるのと同じパフォーマンスで利用したいといった要望が出ている。だが、仮想化環境においてこれを実現するにはいくつもの課題がある」と指摘。
その上で、「顧客にとっては、自動車の運転と、飛行機の操縦ぐらいの差がある。Virtual WorkStation Center of Excellenceは、ISVと連携してアプリケーションの検証を行う場であり、どんなアプリケーションを利用すればいいのかといったリファレンスアーキテクチャも提供できる環境を整えている」と、この施設の持つ意味を説明する。
また、「Autodesk、PTC、Siemens、Dassault SystemsといったISV、VMwareやCitrixなどとの緊密な関係を持ちながら、顧客の仮想化移行を支援できる」とし、「日本においても同様の施設を設置することで、ワークステーション環境の仮想化を促進することができ、顧客にもメリットを享受できる」と、その価値を強調した。
デル日本法人は、東京・三田の東日本支社内にDell Solution Centerを設置しており、Virtual WorkStation Center of Excellenceは、この施設のインフラを活用しながら設置することになるという。