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デル、クラウドサービスのマーケットプレイスを提供開始

日本向けは2015年半ば以降に

 米Dellは、クラウドサービスを提供する「Dell Cloud Marketplace パブリックベータ版プログラム」の提供を米国市場向けに開始した。日本市場向けには、2015年半ば以降にも提供することになるという。

 「Dell Cloud Marketplace」は、同社サイトのdell.comにおいて公開され、Amazon Web Services(AWS)やGoogleクラウドプラットフォーム、Joyentなどのパブリッククラウドサービスを活用。2015年には、Delphix、Docker、Pertino といった主要なクラウドソリューションとの連携により、各社のソリューションをDell Cloud Marketplaceから提供する。ユーザーは、最適なパブリッククラウドサービスにこれらのソリューションを登録できるようになるという。

Dell Cloud Marketplace パブリックベータ版プログラムの概要
中堅・中小企業向けに最適なサービスだと位置づける

 データマネジメントのDelphixとの提携では、ハイブリッドクラウド環境におけるシームレスなデータ配信を可能にすることができ、データ管理とデータポータビリティに対する懸念事項を解消。データリフレッシュ、リカバリー、統合を自動化し、データの複製を最小限に抑えながらアップデートを行うことで、クラウド内のアプリケーションの試験と開発環境をサポート。IT管理者や開発チームは、マルチパブリッククラウド環境や、ハイブリッドクラウド環境において、よりシンプルな管理と高いパフォーマンスを享受できるという。

 また、アプリケーション開発のDockerとの連携では、DockerコンテナおよびDockerizedアプリケーションを利用することで、複数のクラウドプラットフォームにわたって、アプリケーションの構築・試験・導入を行えるため、開発者やIT管理者は、ニーズに合わせて適切なクラウドを自由に組み合わせ、利用できるようになるという。これにより、開発者はアプリケーションの開発により重点を置くことが可能とした。

 Dell Cloud MarketplaceにDocker Hubを取り入れることで、開発者とシステム管理者は、Docker Hubで入手可能な、4万5000以上のコンテナベースのアプリケーションが利用できるようになるほか、ワンクリックで多くのDell-Curatedに簡単にアクセスできるようになる。

 さらに、クラウドネットワーキングのPertinoとの連携では、Pertino Cloud Network Engineサービスを提供。あらゆるクラウド間でセキュアな環境を維持しながら、いつでもユーザーがアクセスして、情報を共有できる仮想プライベートクラウド(VPC)ネットワークの構築を可能にするという。ここでは、ハードウェアやネットワークに関する専門知識がなくても、VPCネットワーク上でインスタンスおよびコンテナの追加や移動ができるようになる。

 一方、Dell Cloud Marketplaceによって使用されたあらゆるクラウドサービスの請求をDellが一元化。請求、支払い、予算をシンプル化するとともに、Dellのサポートのもとに、クラウドサービスへと移行することができる点も大きな特徴となる。

 さらに、「Foglight」によるアプリケーションパフォーマンス監視(APM:application performance monitoring)をSaaSで提供。開発者によるアプリケーションパフォーマンスの向上を支援。APM SaaSを通して、開発者とIT管理者のクラウド体験を加速化するとともに、作業をシンプル化できるとした。

 Foglight APM SaaSでは、開発者によるクラウドベースのアプリケーションの改善を支援。ビジネスにとってマイナスの影響を及ぼす前にアプリケーションのパフォーマンスを監視して問題を解決できるという。ユーザーは煩わしい設定をすることなく、数分でリアルタイムモニタリングにアクセスでき、開発者やWeb管理者、アプリケーション管理者、DevOpsチームに対して詳細な洞察を提供するとのこと。

 Dell Foglight APM SaaSは、現時点では英語版のみを提供。2014年末までの期間限定で、全機能を搭載した製品を無償で提供する。

 同社では、「中堅・中小企業におけるクラウドコンピューティングの促進が見込まれるなかで、開発者およびIT管理者がそれぞれに持つ課題を解決する形でサービスを提供できるのが『Dell Cloud Marketplace パブリックベータ版プログラム』。従業員100人以下の小規模企業、100人以上の中規模企業、1万人以上の中堅企業にとって、最適なサービスになると考えている。さらに、開発者やIT管理者が、クラウドを通じて提供する各種サービスを比較、購入、利用、管理することが可能になる」(米Dell Softwareのソフトウェア戦略担当、ナムディ・オークウェイ バイスプレジデント)とした。

 開発者が期待するクラウドの俊敏性と機能を、ベンダーに依存しないセルフサービスのポータルとして提供。一方で、IT管理者に対しては、どのクラウドサービスが企業が求めるニーズに最適であるかを検討するためのツールを提供。「Dell Cloud Manager」により、サービスとソリューションの可視化と包括的な管理を可能にするという。

 「顧客のクラウドニーズに応える便利で強力なワンストップショップになる」と位置づけた。

 また、DellのPartnerDirectプログラムに参加しているプラチナパートナーを対象にDell Cloud Marketplaceを提供する。パートナーはこれを活用して、既存のデータセンター環境のなかから、顧客のサービスを統合および管理できるソリューションを提供できるという。

 米Dellが11月5日(現地時間)から、米テキサス州オースティンで開催している「Dell World 2014」の会場において取材に応じた、Dell Softwareのジョン・スウェンソン プレジデントは、「Cloud Market Placeは、現時点ではパブリックベータ版としているが、実際に提供されている製品そのものは正式版である。すでに50社のユーザー企業が、数百のサービスを利用している。今後、製品の品ぞろえに取り組み、来年半ばには正式版としての提供を開始する。日本市場への提供も順次進めていく」とした。

 日本市場向けのサービス提供に関しては、「日本においては、IaaSを提供している日本のクラウドサービス事業者をどう巻き込むかという点が課題となる。また、日本語化するという点でも少し時間がかかる。優先順位を決めて、どの市場から導入するかを決めていきたい」と述べた。

米Dell Softwareのジョン・スウェンソン プレジデント
Dell World 2014の展示会場においてもDell Cloud Marketplaceのコーナーを設けていた

大河原 克行