特別企画

米Dell、エンタープライズソリューション部門の本社ラボ施設を公開

 米Dellは、米国テキサス州オースティンになる本社ラボ施設の様子を、報道関係者に公開した。これらのラボ施設は、エンタープライズソリューション部門が、DCS(Dell Center Solutions)やDSS(Datacenter Scalable Solutions)の展開を通じて、具体的なユーザーニーズに対応するための拠点となっており、システム設計のほか、各種検証作業やコンフィグレーション、チューニングなどを実施。同社のエンジニアド・ソリューションの構築において、熱、音響、グリーンエネルギーなどに関する検証作業などを実施することで、ユーザーに最適化した製品提供を行っているという。本稿では、この本社ラボ施設の様子を紹介する。

ラボが入る建物の様子。なぜかここにはDellのロゴが見あたらない
建物の入り口の様子。ロゴの後ろがグリーンの背景となっているのは珍しい

 Dell本社は、オースティン市内から車で約20分のラウンドロックにある。広大な敷地に点在するオフィスのなかで、今回、公開されたのはPS2およびPS4と呼ばれる建物に入る、5つのラボだ。

 ひとつめは、Engineered Solutions Labである。ここは、Global Solutions Labとも呼ばれ、インドやドイツなどにも同様の拠点を持ち、これらの拠点と連動しながら、設計、検証、ソリューション構築などの作業を行うことになる。

 ここでの取り組みは、同社が打ち出しているインテグレーテッドソリューション「Dell Blueprint」にのっとったものとなる。Dell Blueprintでは、サーバーやストレージをその時々にあわせてシステムを構築するのではなく、インフラやOS、アプリケーションなどをワークロードにあわせて垂直に統合。これを標準モデルとして、ユーザーニーズにあわせた構成にコンフィグレーションし、実証・検証した上で、ユーザーに提供するというものだ。

 今回の訪問では、SAP HANAのコンバージドインフラストラクチャ、ゲノム解析などに用いるHPC、Microsoft Azureによるプライベートクラウドシステム構築の様子を公開した。
 共通しているのは、Dell Blueprintによる標準モデルを前提としながらも、顧客の要望に応じて、最適化したチューニングを行っているという点。「どんな用途で活用するのかといったことをユーザーからヒアリングし、それに最適化した組み合わせを提案し、チューニングすることになる。例えばHPCでは、ゲノム解析に求められる仕様と、自動車開発のシミュレーションに最適な仕様とは大きく異なる。高い性能が求められるHPCだから、最上位のCPUを使用すればいいというものでもなく、同様に最先端の技術を活用すればいいというものでもない。最適なコンポーネントの組み合わせを探り出し、最適なコスト構造で提案することを優先している」とする。

 インメモリを活用するSAP HANAにおいても、Azureを活用したプライベートクラウドにおいても、この姿勢は同じだという。

Engineered Solutions Labの内部の様子
SAP HANAのインテグレーションシステム。顧客の用途にあわせてチューニングを行う
ゲノム解析などに用いるHPC。世界8位の性能を持つ同社技術を活用。1人に4日間かかっていた解析を4時間にまで短縮
こちらはPower Edge FC430を活用したHPC。1日に160人のゲノム解析を可能にするという
Microsoft Azureによるプライベートクラウドシステム。3日間でシステム構築を可能にしている

(大河原 克行)