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信州大が富士通スパコン導入、“世界中に十分な水を届ける”研究開発に

 国立大学法人信州大学が、新たに構築する造水・水循環システムの研究開発拠点に富士通株式会社のスーパーコンピュータを導入することを決定。富士通が13日、発表した。

 同システムは、PCサーバー「PRIMERGY RX200 S8」によるPCクラスタ(計算ノード数16基)、および「Supercomputer PRIMEHPC FX10」(計算ノード数12基)で構成される。「PRIMERGY RX200 S8」PCクラスタの理論演算性能は6.758TFLOPS、総メモリ容量が4TB。「PRIMEHPC FX10」の理論演算性能は2.5TFLOPS、総メモリ容量は384GB。2014年7月に稼動する予定。また、「PRIMEHPC FX10」で利用するアプリケーションは「京」との互換性があるため、将来シミュレーション規模が拡大した際には、「京」によるシミュレーションを合わせて行えるという。

 信州大は同システムを利用して、世界中の人々に十分な水を提供するため、ナノカーボンなどを使った革新的な造水・水循環システムの研究開発を推進する。

スパコンシミュレーションによる造水・水循環システムのろ過工程のイメージ

 背景には、近い将来、世界人口の増加に伴って、豊かな生活環境を形成・維持するために必要な生活用水、工業用水、農業用水の確保が課題になるという懸念がある。その解決を目指して、信州大を中心に提案した「革新的ナノカーボンなどを用いた造水・水循環システム」の研究開発構想が、2013年3月に文科省の「地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」に、2013年10月に文科省と科学技術振興機構の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」に採択された。これを受けて現在、信州大長野(工学)キャンパス内に大規模研究施設の建設が進められている。

 同研究施設では、水資源を有効活用するためのナノカーボンなどの基盤技術革新と、それらを利用した造水・水循環利用のためのシステム化技術の構想などをオールジャパン体制で行うという。これにより、海水や油を含む水など、多様な水源から必要な水を作り出して循環させ、あらゆる人々に十分に供給することで、地球規模の持続可能性への貢献を目指すとしている。

川島 弘之