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ダイキンと日立、工場の設備故障診断を支援するAIエージェントの試験運用を開始
2025年4月23日 06:30
ダイキン工業株式会社(以下、ダイキン)と株式会社日立製作所(以下、日立)は22日、ダイキンの業務用空調機器を生産する堺製作所臨海工場(大阪府堺市)において、工場の設備故障診断を支援するAIエージェント(以下、設備故障診断AIエージェント)の実用化に向けた試験運用を、4月に開始したと発表した。
ダイキンと日立がそれぞれ長年培ってきた現場のOTナレッジと、日立の先進的なITを融合させた取り組みとなり、タブレット端末などを手にした保全技術者が、生産設備の点検を行う過程で、ポンプやバルブなどの故障を発見した際に、設備故障診断AIエージェントが、その原因と対策を保全技術者に提示する。
具体的な仕組みとしては、まず、ダイキンが蓄積してきた各種の生産設備やユーティリティ設備といった工場設備の図面を、ナレッジグラフとして生成AIが読み取れる形に変換する。そして、そのナレッジグラフおよび保全記録などの「OTデータ」と、STAMPなどに基づく、日立独自の設備故障原因分析プロセスである「OTスキル」を生成AIに学習させることで、ダイキンの一般的な保全技術者と同等以上の故障診断を実現する。
なお、事前に実施した実証実験では、設備故障診断AIエージェントが10秒以内に、90%以上の精度で、設備故障の原因と対策を回答できることが確認されたという。
今後、ダイキンと日立は、試験運用を2025年9月までに完了し、設備故障診断AIエージェントを実用化する予定。そして、設備故障診断AIエージェントを国内外のダイキン生産拠点に展開していくことで、設備保全の暗黙知を組織の知として共有し、グローバルでの品質確保や技術伝承、さらにはフロントラインワーカーの生産性向上を目指す。
日立は、設備故障診断AIエージェントをLumadaソリューションとして製造業全般に展開するとともに、設備保全以外の分野においても、OTナレッジとITの融合したアプリケーションを提供していく。また、「AIエージェント開発・運用・環境提供サービス」といった、OTナレッジを活用したAIエージェントを迅速に開発・提供するサービスも含めて、フロントラインワーカーの業務効率向上を支援していくとしている。