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日立、最適な製造プロセスの探索を支援する「製造プロセス改善ソリューション」を開発
2025年1月24日 09:00
株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立ハイテクは23日、最適な製造プロセス探索を支援する「製造プロセス改善ソリューション」を新たに開発し、産業分野のDX加速に向けてインフォマティクス事業を強化すると発表した。
これまで日立と日立ハイテクは、研究開発の領域においてマテリアルズインフォマティクス(以下、MI)関連のソリューションを顧客に提供し、研究開発の高効率化に貢献してきており、今回のソリューションの提供により、研究開発だけでなく製造プロセスの最適化を支援するとしている。
材料開発には、研究開発者が開発した試作品を、大規模なスケールでの製造にスケールアップするフェーズがある。従来は、プロセス開発エンジニアなどが経験や知見を頼りに試行錯誤し、材料の特性を最大限引き出すための最適な製造プロセスを探索していた。
ソリューションでは、日立グループの専門コンサルタントが、さまざまな分野の製造プロセス情報を蓄積した独自データベースや生成AIを用いて、高効率な製造プロセス案や課題解決案などを提案する。
日立は、特許などの膨大なオープンデータや、RAGなどの生成AI関連技術と、日立ハイテクの解析・分析装置事業で培ってきた独自の知見などを組み合わせて、製造プロセス情報を蓄積したデータベースを構築しており、そのデータベースを活用して、最適な製造プロセスの探索が可能な生成AIを構築している。
日立グループの専門コンサルタントが独自データベースや生成AIを使いこなすことで、さまざまな分野の製造プロセスに関する知見なども取り入れ、個別最適をした製造プロセスの提案が可能になる。これにより、新たな視点で顧客の製造プロセスを検討し、最適なプロセスの探索や高度化、歩留まり改善や高効率化に貢献するとともに、プロセス探索に関する人的負担を軽減する。
また、顧客自身でインフォマティクスを活用し、各種パラメーターの最適値の探索が可能なシステムも提供する。MIの技術・知見を応用したインフォマティクスにより、各プロセスの条件設定など各種パラメーターに関する最適値の探索を支援する機能を、SaaSとして提供する。
インフォマティクスは、さまざまな数値データや画像データを蓄積した上で行う。例えば、電子顕微鏡などで撮影した画像データの場合は、画像解析により特徴量を抽出して数値化を行い、さらに、材料の配合条件やプロセス条件などの数値データを用いて、インフォマティクスにより最適な条件探索を行える。
これにより、高効率な製造プロセスの確立を支援することで、スケールアップにあたり課題となる歩留まりの迅速な改善や、ロスコストの削減に貢献する。
ソリューションは、2025年4月から試験導入可能な半導体・電池・素材メーカーなどの顧客と実証を行った上で、日立ハイテクが提供を開始する予定。