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日立、製造業の属人的な業務ノウハウをデジタル化する情報一元管理プラットフォーム「WIGARES」を提供

 株式会社日立製作所(以下、日立)は13日、製造業における属人的な業務ノウハウをデジタル化するとともに、既存システムに散在するデータを統合的に管理して、業務遂行に必要な一連の情報を適切なタイミングでユーザーに自動提供する情報一元管理プラットフォーム「WIGARES(ウィガレス)」を販売開始した。

 WIGARESは、複数のシステムやファイルサーバー内に散在する情報に対して、日立が開発した「構造化情報一元管理技術(以下、SIMT)」を活用することで、識別子(構造化ID)を付与して構造化し、集約して蓄積、共有、再利用ができるナレッジベースを構築する。さらに、それらの情報同士の関係性(関係リンク)を業務ベースで定義することにより、複数システムにまたがる複雑な業務ノウハウのデジタル化を可能にする。

「WIGARES」の概念図

 業務オペレーションで取り扱うDCSやMES、設備管理システム、予兆検知システム、ファイルサーバーなどのシステムが持つ各データ(計装の信号情報、アラーム・イベント情報、CSVや表ファイルのレコード、文書ファイルなど)に、「構造化ID」と呼ばれる識別子を付与することで、データの意味合いを定義する。

 合わせて、この「構造化ID」を業務シーンに結び付けて定義する「関係リンク」により、業務ノウハウをデジタル化することを可能にする。「構造化ID」と「関係リンク」が定義されることで、ユーザーは「業務Xを行うためには業務情報A・B・Cが必要で、A→B→Cの順番でデータを参照し、業務を遂行する必要がある」といった迅速な通知と、それらのデータをWIGARESから自動で取得できる。また、「関係リンク」が登録されていない事象に対して業務を行う場合は、WIGARES上の検索機能を使い、「構造化ID」が付与されている任意のデータを検索できる。

 加えて、「自己学習」機能により、検索結果から自動で「関係リンク」を定義できるため、次に同一業務を行う際には、検索することなく必要な情報を参照できる。

 日立では、2021年12月から国内の大手製造業において、WIGARESの実証実験を行っており、その結果、設備トラブル発生の兆候を捉えた際に、処置判断に必要となるマニュアル、設計図書、保守情報などのデータが格納されている各システムから自動で取得し、それらデータの参照手順とともにユーザーへプッシュ通知するといった、高い実用性を確認したという。

 今後、日立はWIGARESをLumadaソリューションとして国内の製造業に幅広く提供するとともに、クラウド対応や異常発生時の自動運転制御などの機能を拡充していく予定。また、日立のデジタルソリューションとWIGARESを連携させることで、CPS(Cyber Physical System)の構築によるプラント操業自動化の実現を目指し、これにより顧客の事業価値の向上およびレジリエンス(企業の事業継続性)の追求を通して、持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。