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Salesforce、エンタープライズ向け自立型AIエージェント構築プラットフォーム「Agentforce 2.0」を発表

 米Salesforceは現地時間17日、自立型AIエージェント構築のためのプラットフォーム「Agentforce」について、最新版となる「Agentforce 2.0」を発表した。

 Agentforce 2.0は、エンタープライズ向けとして初のデジタル労働力を生み出すプラットフォームで、業務フローの中で信頼できる自律型AIエージェントをチームへ拡張するAIシステムだと説明。新バージョンでは、AIエージェントのSlackへの展開、迅速なカスタマイズを可能にする事前作成済みスキルの新たなライブラリ、エージェンティック推論能力と検索拡張生成(RAG)の強化などを発表した。これにより、企業は複雑な複数ステップのタスクをより高い精度と正確性で処理できるカスタマイズされたAIエージェントを活用し、労働力を拡大できるとしている。

 Salesforceでは、あらゆる企業は利用可能なリソースよりも多くの仕事を抱えており、顧客対応品質の低下やタスクの滞留につながっていると説明。企業はAIに頼ろうとしているが、汎用的な回答を提供する不十分なソリューションを許容できずにおり、また、Copilotのような既存のAIソリューションは、求人応募に対する個別対応のガイダンスや製品を推奨してリードを育成するなど、複雑な要求に対して正確で信頼性の高い回答を提供することが困難だと指摘する。

 こうしたことから、企業はデータに基づいて推論し、ワークフローを活用して、過負荷のチームに代わってアクションを起こすことができる自律型AIエージェントという形でデジタル労働力を供給するように設計された、新しいタイプのプラットフォームを必要としており、Agentforce 2.0は、デジタル労働力を生み出すソリューションのリーダーとして、あらゆる企業が制限のない労働力を構築してビジネスを変革できるよう支援するとしている。

 また、制限のある時間やシステム連携といった課題の中で、個々のビジネスチームや部門向けにカスタマイズされたAIエージェントを構築することは困難だと説明。こうした状況に対応するため、Agentforce 2.0では、CRM、Slack、Tableau、パートナーが開発したAppExchangeにわたり、事前作成済みのAIエージェントスキルの新しいライブラリを導入した。この最新リリースでは、MuleSoftを使用してあらゆるシステムやワークフローにAgentforceを拡張することが可能になった。

 さらに、Agent Builderを強化することで、「新しいプロダクトマネージャーのオンボーディング」などの自然言語の指示により、新しいAIエージェントの要素を自動生成する機能も備えた。これにより、事前作成済みスキルとSalesforceで構築したカスタムロジックをシームレスに組み合わせることで、AIエージェントが高度な柔軟性とスピードを提供するとしている。

 Salesforceでは、企業がAIエージェントから価値を引き出すためには、従業員がすでに使用しているツールにソリューションを組み込むことが必要だと説明。Agentforce2.0は、Slackに導入可能で、顧客ごとにカスタマイズできるデジタル労働力を業務が行われるダイレクトメッセージ(DM)やチャンネルに展開できるようになる。

 Agentforce 2.0により、チームはAgentforceをSlackの会話へ簡単に導入でき、Slackユーザーは、Agentforce Hubから直接会話を開始することや、DMやチャンネルでAIエージェントを@でメンションし、業務の流れの中でデジタル労働力を活用できる。AI Agent Builderには、「canvasを作成」や「チャンネルにメッセージを送信」などの新しいSlack Actionsが備わっており、チームは既存のAIエージェントを強化したり、Slackでチームと簡単に連携できる新しいAIエージェントを作成したりできるようになる。

 また、Agentforce 2.0では、高度なニュアンスを伴う質問に対応するData Cloudの新しい機能によって強化された推論と検索が導入され、Agentforceにさらに多くのコンテキストが提供される。これにより、構造化データと非構造化データをビジネス固有のメタデータで補完し、複雑で多面的なリクエストに対してより正確な回答を提供できるとしている。

 Agentforce 2.0のリリース完全版は2025年2月に一般提供開始予定で、特定の機能は先行提供されている。日本での提供開始時期は未定。