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Salesforce、自律型AIエージェントのテストを自動化する「Agentforce Testing Center」を発表
2024年12月4日 06:30
米Salesforceは現地時間11月20日、自立型AIエージェント「Agentforce」のテストを自動化し、安全なSandbox環境でAIエージェントのプロトタイプを試作し、大規模に使用状況を透明性高く管理できるAIエージェントライフサイクル管理ツール「Agentforce Testing Center」を発表した。
Salesforceでは、AIエージェントはソフトウェアの新たな概念で、顧客や従業員の代わりに推論、行動できるインテリジェントなシステムだが、その可能性を最大限に引き出すには、AIエージェントを実際の運用環境で中断することなくテストおよび設定する必要があると説明。Agentforce Testing Centerにより、企業はテスト、導入、監視を安全かつ反復可能な方法で行うためのノーコードツールを活用して、信頼できるAIエージェントを展開できるようになるとしている。
Agentforce向けのAI生成テスト機能では、AIエージェントの推論過程を調査するPlan Tracerを備えたAgent Builderに加え、新しいAgentforce Testing Centerにより、トピックとアクションの選択を大規模にテストできる。Testing Centerは自然言語による指示を使用して、Agentforce Service Agentを利用する際に顧客が行うリクエストなど、数百の合成インタラクションを自動生成する。チームは、テストデータを使用して指示を改良し、期待したトピックがより頻繁に選択されるようにすることで、顧客体験を向上できる。
Salesforce Sandboxは、本番環境の組織のデータと構成をミラーイメージで再現したもので、Data CloudとAgentforceの両方をサポートする。組織のデータとメタデータをリスクのない環境に複製することで、開発チームは非構造化データ基盤を迅速に構築し、業務に支障をきたすことなくAgentforceのプロトタイプを厳密に作成できる。チームは、初期ユーザーグループを対象に、ユーザー受け入れテスト(UAT:User Acceptance Testing)を実施し、Agentforceが意図した通りにタスクを実行することを確認した上で、変更セット、DevOps Center、Data Cloud とAgentforceをサポートするSalesforce CLIなどの使い慣れたツールを使用して、これらの変更を本番環境に移行できる。
Data Cloud向けSandboxの一般提供により、本番環境に先立って、安全な環境でEinstein Trust Layerの完全なテストが可能になり、Agentforce Agentとプロンプトテンプレートの迅速な設定が可能になる。Einstein Trust Layerの監査証跡とフィードバックがSandbox内に保存されるため、チームはユーザーからのフィードバックに基づいてプロンプトやアクションを繰り返すことで、AIテストのクローズドループを構築できる。Agentforceが本番稼働すると、Agentforce AnalyticsとUtterance Analysisを通じて、定着率と精度に関する詳細なインサイトを取得するための新しい機能が利用できるようになる。これらは、Agentforceライフサイクルを通じて継続的に反復処理するためにData Cloud上にネイティブに構築された、新しい可観測性ソリューションとなる。
Data Cloud SandboxとAgentforceの使用量は、Digital Walletで計測されるため、顧客はAI開発ライフサイクル全体にわたる使用状況を完全に可視化できる。新しい機能強化により、どの機能がクレジットを消費しているか詳細なインサイトが得られるため、チームは規模を拡大しながら、使用状況に関する新しい傾向を発見できる。また、Digital WalletはSalesforce Platformに統合されているため、例えば使用量が特定の最小値を示すしきい値を超えた場合に、管理者へ自動的に警告できる。
Agentforce Testing Centerは、現在クローズドパイロット段階にあり、2024年12月初旬にSandboxで一般提供予定。日本市場での提供時期は未定。AgentforceとData Cloud向けSandboxサポート、Agentforce AnalyticsとUtterance Analysis、DevOps Center、Salesforce CLI、AgentforceとData Cloudの変更セットのサポートは、日本市場でも一般提供を開始している。