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スーパーコンピュータ「富岳」、HPCGとGraph500で10期連続の世界第1位を獲得

 富士通株式会社は19日、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)と富士通が共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、世界のスーパーコンピュータに関するランキングの「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」および「Graph500」において、10期連続の世界第1位を獲得したと発表した。また、「TOP500」は第6位、「HPL-MxP」は第4位となった。

 これらのランキングは、米国ジョージア州アトランタのアトランタ・ワールド・コングレス・センターおよびオンラインで開催中の、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「SC24」において、11月19日(日本時間11月20日)に発表される。

 HPCGは、産業利用などの実際のアプリケーションでよく使われる、疎な係数行列から構成される連立一次方程式を解く計算手法の共役勾配法を用いたベンチマークプログラム。HPCGの測定には、富岳の432筐体(15万8976ノード)を用いて、16.00PFLOPS(ペタフロップス)のスコアを達成し、10期連続の世界第1位を獲得した。この結果は、富岳が産業利用などにおいて実際のアプリケーションを効率よく処理し、高い性能を発揮することを証明するとしている。

 Graph500は、大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキング。理研、東京科学大学、株式会社フィックスターズ、日本電信電話株式会社(NTT)、富士通による共同研究グループは、Graph500のBFS(Breadth-First Search:幅優先探索)部門において、富岳の測定結果を大幅に向上させ、世界第1位を獲得したと発表した。富岳としては10期連続での世界第1位となり、今回達成した性能は約204TeraTEPS(テラテップス)で、世界で初めて200TeraTEPSを上回った。

 また、行列計算による連立一次方程式の解法プログラムを処理する際の実行性能を指標としたランキング「TOP500」では富岳は世界第6位、AIの計算などで活用されている単精度や半精度演算器などの能力も加味した計算性能を評価する指標の「HPL-MxP」では富岳は世界第4位となった。

 富士通は、富岳を実現したテクノロジーをもとに、高性能、省電力に加え、信頼性と使いやすさを実現するArmアーキテクチャのCPU「FUJITSU-MONAKA」の開発を進めており、2027年の「FUJITSU-MONAKA」の提供に向けて、パートナー各社との協業も推進していると説明。米Super Micro Computerや米Advanced Micro Devices(AMD)との取り組みなどにより、データセンターの消費電力削減による環境負荷軽減と、より多くの社会課題解決に貢献できるAI基盤の提供を目指すとしている。

スーパーコンピュータ「富岳」