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理研と富士通が共同開発するスパコン「富岳」、TOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500で4期連続世界第1位を獲得

スーパーコンピュータ「富岳」

 理化学研究所(理研)と富士通株式会社は16日、共同で開発しているスーパーコンピュータ「富岳」が、世界のスーパーコンピュータに関するランキングの、「TOP500」「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」「HPL-AI」「Graph500」のすべてにおいて、第2位に大きな差をつけて、第1位を獲得したと発表した。

 この結果は、「富岳」のフルスペック(432筐体、15万8976ノード)によるもので、4期連続で4冠を達成した。これらのランキングは、現在米国ミズーリ州セントルイスのアメリカズ・センターおよびオンラインで開催中の、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に関する国際会議「SC21」において、11月15日付け(日本時間11月16日)に発表される。

 「TOP500」リストでは、ランキングの指標となるLINPACK性能は442.01PFLOPS(ペタフロップス)、実行効率は82.3%。なお、2021年11月時点の「TOP500」リストのランキング世界第2位は米国の「Summit」で、測定結果は148.6PFLOPSとなっているため、「富岳」は第2位と約3倍の性能差をつけた。

 「HPCG」は、産業利用などの実際のアプリケーションでよく使用され、疎な係数行列で構成される連立一次方程式を解く計算手法である、共役勾配法を用いたベンチマークプログラム。「富岳」は、HPCGにおいて16.00PFLOPSのスコアを達成した。この結果は、「富岳」が産業利用などにおいて、実際のアプリケーションを効率よく処理し、高い性能を発揮することを証明するとしている。

 「HPL-AI」は、AIの計算などで活用される、単精度や半精度演算器などの能力も加味した計算性能を評価するベンチマークプログラム。「富岳」は、HPL-AIにおいて2.004EFLOPS(エクサフロップス)のスコアを記録した。これは、「富岳」の高い性能を証明するとともに、「富岳」がAIの計算やビッグデータ解析の研究基盤として、Society 5.0の推進に貢献し得ることを示しているとしている。

 また、理研と九州大学、株式会社フィックスターズ、富士通による共同研究グループは「富岳」のフルスペックを用いた測定結果で、大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングである「Graph500」において、世界第1位を4期連続で獲得した。

 理研と富士通では、これら4つのランキングすべてにおける4期連続での第1位獲得は、「富岳」の総合的な性能の高さを示すもので、新たな価値を生み出す超スマート社会の実現を目指すSociety 5.0において、シミュレーションによる社会的課題の解決やAI開発および情報の流通・処理に関する技術開発を加速するための情報基盤技術として、「富岳」が十分に対応可能であることを実証するものだとしている。