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スーパーコンピュータ「富岳」、HPCGとGraph500で8期連続の世界第1位を獲得

スーパーコンピュータ「富岳」

 富士通株式会社は14日、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)と富士通が共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、世界のスーパーコンピュータに関するランキングの「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」および「Graph500」において、8期連続の世界第1位を獲得したと発表した。また、「TOP500」は第4位、「HPL-MxP」は第3位となった。

 これらのランキングは、米国コロラド州デンバーのコロラドコンベンションセンターおよびオンラインで開催中の、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に関する国際会議「SC23」において、11月14日(日本時間11月15日)に発表される。

 HPCGは、産業利用などの実際のアプリケーションでよく使われる、疎な係数行列から構成される連立一次方程式を解く計算手法である、共役勾配法を用いたベンチマークプログラム。HPCGの測定には、富岳の432筐体(15万8976ノード)を用いて、16.00PFLOPS(ペタフロップス)のスコアを達成し、富岳は8期連続の世界第1位を獲得した。この結果は、富岳が産業利用などにおいて実際のアプリケーションを効率よく処理し、高い性能を発揮することを証明しているとしている。

 行列計算による連立一次方程式の解法プログラムを処理する際の実行性能を指標としたランキング「TOP500」では富岳は世界第4位、AIの計算などで活用されている単精度や半精度演算器などの能力も加味した計算性能を評価する指標の「HPL-MxP」では富岳は世界第3位となった。

 また、理研、九州大学、株式会社フィックスターズ、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、富士通による共同研究グループが、大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングである「Graph500」のBFS(Breadth-First Search:幅優先探索)部門において、世界第1位を獲得した。

 Graph500のBFS部門における第1位獲得は、富岳が科学技術計算でよく用いられる規則的な計算だけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い性能を発揮することを実証したもので、幅広い分野のアプリケーションに対応できる富岳の優れた汎用性を示すものだと説明。また、ハードウェアの性能を最大限に活用できるソフトウェアを開発した共同研究グループの技術力の高さを示すものだとしている。現在、共同研究グループでは、富岳で処理可能なグラフデータの規模を倍増させるための改良を進めており、今回の測定で得たデータを基に性能改善を加速させていくとしている。

 富士通は、富岳に採用されたテクノロジーをベースとした「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」を含むHPC技術や、組み合わせ最適化問題を高速で解く「Fujitsu Quantum-inspired Computing Digital Annealer」などの高度なコンピューティング技術やAIなどのソフトウェア技術を、専門の技術者だけでなく誰もが容易に利用できるようにクラウドサービス「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」として2022年10月から提供しており、製造業を中心に幅広い業種の顧客が検討を進めていると説明。今後も、サービスを通じて、これまで培ってきた技術を幅広く提供し、高機能な新材料の開発や輸配送の人手不足などの社会課題解決につなげるため、顧客との共創を進めていくとしている。