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ネットアップ、従来より最大2.5倍高速化したオールフラッシュストレージ「AFF Aシリーズ」の新モデル
キャパシティフラッシュモデル「AFF Cシリーズ」の新モデルも
2024年11月13日 06:15
米NetAppの日本法人であるネットアップ合同会社は13日、オールフラッシュストレージの新製品を発表した。米国での11月11日(米国時間)の発表を、あらためて日本でも発表するものだ。
ユニファイドストレージ「AFF A」シリーズとキャパシティフラッシュモデル「AFF Cシリーズ」で新機種
まず、ミッションクリティカルワークロード向けエントリーモデルのSAN・NASユニファイドストレージである「AFF Aシリーズ」において、AFF A20/A30/A50をリリースする。従来モデルよりも最大2.5倍のパフォーマンスを実現するという。
また、キャパシティフラッシュモデルの「AFF Cシリーズ」において、AFF C30/C60/C80をリリースする。2Uのスペースに最大RAW容量1.5PB、実効容量6.5PBを搭載でき、最大700PBまで無停止で拡張可能。
例えば5年前のSAS HDDでの構成と比較すると、16.5ラック相当の容量が2Uになり、ラックスペースを99%削減、消費電力を97%削減し、CO2排出量の削減にもつながるという。
9月に発表された、ミッションクリティカルワークロード向けのSAN専用ストレージである「ASA Aシリーズ」と、セカンダリストレージ向けのハイブリッドストレージである「FAS 90/70」、およびストレージOS「ONTAP」のアップデートとあわせ、ストレージ製品の80%を刷新する。
ミッションクリティカルワークロード向けのSAN専用ストレージ「ASA Aシリーズ」
記者発表会において、ネットアップの竹谷修一氏(APAC プリンシパルアーキテクト)は、9月の発表とあわせて新製品を紹介した。
まず、9月に発表された、ミッションクリティカルワークロード向けのSAN専用ストレージであるASA Aシリーズ(A1K/A90/A70)。Simple(シンプル)、Powerful(強力)、Affordable(手ごろな価格)をキーワードとして掲げている。
Affordableの面では、従来のSANストレージと比較して25~50%価格をおさえているという。
Simpleの面では、専門知識のないマーケティングのインターンがSANのセットアップを行うデモ動画が紹介された。1画面で、LUNの名前と数、容量、接続するOS、サーバーのマッピングの情報を入れるだけで、20秒でセットアップできるというデモだ。スナップショットも1クリックで取れる。
Powerfulの面では、前モデルと比較して2倍の性能向上となった。12ノード並列で最大1200万IOPSとスループット32GB/sを発揮し、恒常的に1ms未満のレイテンシを実現するという。
そして、ONTAPのミッションクリティカル向けデータ保護や、ランサムウェアリカバリー保証、データ可用性保証が提供される。
また、SAN・NASユニファイドストレージのAFF A20/A30/A50と、キャパシティフラッシュモデルのAFF C30/C60/C80についても、前述のとおり竹谷氏は紹介した。
ストレージOS「ONTAP」のAI時代に向けたアーキテクチャのビジョン
これらのハードウェアを支えるストレージOS「ONTAP」については、バージョン9.16.1が9月に発表された。SANストレージ向け新機能と、大容量化対応の新機能を含む。
9月にはまた、ONTAPの新しいアーキテクチャの方向性が発表された。これまでNetAppは創業以来20年以上、ストレージの性能を年率25%近く向上させてきた。これをAI時代に向けて継続するための2つのアーキテクチャのビジョンを竹谷氏は紹介した。
「Disaggregated Storage Architecture」では、ディスクエンクロージャとコントローラーが1対1でひもづいていたのを分散し、すべてのコントローラーノードがドライブに等しくアクセスできるようにする。これにより、AIの非常に大規模で計算負荷の高いワークロードに対応し、拡張性や動的な負荷分散、障害時の短い時間での復旧を実現するという。
また「NetApp AI Data Engine」では、ポリシーにもとづく自動分類や、データ管理などの機能によって、AIの学習におけるデータの処理を助ける。
企業のデータが入っているSANストレージをモダナイズ
これらの発表の背景となったビジョンや考えかたについて、ネットアップの神原豊彦氏(チーフテクノロジーエヴァンジェリスト)が説明した。
発表が行われた9月のNetAppの年次イベント「NetApp Insight」の基調講演では、デジタル&データドリブンで大きな収益をあげている企業の、3つの共通要素が語られたという。リーダーが戦略を明確化するという「組織」、従業員がデータの重要性を理解するという「文化」が大事であり、そのために、技術基盤であるデータアーキテクチャをモダナイズする「技術」も大事だということだ。
このデータアーキテクチャのモダナイズには3つのステップがある。現在はアプリとデータがサイロになっている状態で、そこに最初のAI実験プロジェクトが加わるのがファーストステップだ。
そしてセカンドステップでは、自分たちのデータをAIと結びつけるためにデータサイロを解消する。そして、サードステップでは、AIが単独のアプリとして存在するのでなく、すべてのアプリケーションを支える基盤になり、そのためにインテリジェントなデータインフラストラクチャが構築されるという。
神原氏は、このファーストステップとセカンドステップの間にギャップがあり、縦割りのデータから組織横断にするのが成功のポイントだと語った。
そして、企業のデータは現在SANストレージに入っており、全部更改するのは現実的でない、と神原氏は述べ、これがNetAppがSANストレージをモダナイズしてAIの時代に備える理由だと語った。
Intelligent Data Infrastructure Experience Centerを強化
そのほか、日本での施策について、ネットアップの平松貢氏(専務執行役員 ソリューション技術本部長)が説明した。
ネットアップでは今年度、オフィス内に「Intelligent Data Infrastructure Experience Center」を開設した。ここでは、ワークショップやブリーフィング、ラボでの検証が行われている。
ここに、今回の発表にあわせて2つを追加する。
1つめは生成AIについて検証する「Private GenAI Technical Workshop」だ。セキュリティを保ちながら生成AIを活用するためのリファレンスアーキテクチャをNetAppが持っている、と平松氏は言う。それを半日のワークショップでリファレンスアーキテクチャを理解できるよう、NetAppのコンサルタントから、実務の経験を含めて学ぶという。
2つめはPoCラボの強化だ。SANの環境のAIに向けたロードマップについて、顧客と話しながら、要件にあわせて構築してPoCを行うという。現在準備中で、年内リリース予定。