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ネットアップ、コスト効率を重視した新オールフラッシュストレージ「NetApp AFF Cシリーズ」を解説

 NetAppは、データセンター向けに、低コスト・大容量オールフラッシュストレージ製品群「NetApp AFF Cシリーズ」3製品と、オールフラッシュシステム「AFF Aシリーズ」のエントリーレベル新製品「NetApp AFF A150」を、3月下旬に販売開始すると発表した(本誌記事)。

 これらの新製品について米NetAppのジョージ・パンボリス氏(シニアディレクター、ONTAP ハードウェア プロダクトマネージメント)が解説する記者説明会が、3月10日に開催された。

米NetAppのジョージ・パンボリス氏(シニアディレクター、ONTAP ハードウェア プロダクトマネージメント)

ハイブリッド型FASシリーズとAFF Aシリーズの間を埋めるティア1ストレージ「NetApp AFF Cシリーズ」

 パンボリス氏はAFF(All Flash FAS)シリーズの製品として「NetApp AFF Cシリーズ」が新しく登場した背景として、レイテンシが4~10ミリ秒であるハイブリッドフラッシュ型の「NetApp FASシリーズ」から、レイテンシは1ミリ秒以下だが高価なパフォーマンスフラッシュの「NetApp AFF Aシリーズ」への移行を考えたときに、両者の間にギャップがあると説明。そしてその間を埋めるオールフラッシュストレージ製品として、レイテンシ2~4ミリ秒でAシリーズよりは価格をおさえたCシリーズが登場した。

 Cシリーズの基本的なハードウェアはAシリーズと同じだと、パンボリス氏は語った。ただし、AシリーズがフラッシュメモリにTLCを採用しているのに対して、CシリーズではQLCを採用している。

ハイブリッド型FASシリーズとAFF Aシリーズのギャップ
間を埋めるものとしてCシリーズが登場

 Cシリーズには、C250、C400、C800の3モデルがある。同様にQLCを搭載するオールフラッシュのFAS 500fの最小容量が384TBで大きすぎるという顧客の声もあったことから、Cシリーズでは8ドライブの122TBからとしたという。最大物理容量は2.2PBで、ストレージ容量削減技術によりデータが4分の1に圧縮されるとすると最大有効容量は8.8PBとなる。

 さらに、最大24ノードで1つのクラスターを構成できる。2台でHA(高可用性)ペア構成をとるため、クラスター全体では単体の容量×12となる。なお、同じクラスターにAシリーズ、Cシリーズ、FASシリーズを混在させることもできる。

CシリーズはC250、C400、C800の3モデルからなる

 Cシリーズのメインターゲットとしてパンボリス氏はHDDからの乗り換えを挙げた。ドライブ単体ではHDDのほうがQLCより安価だが、フロアスペースや電力の削減を考えるとCシリーズのほうがコスト効率が高い、と氏は述べた。

 また、「ニアラインストレージはさらに安価で、そのお客さまがCシリーズに移行することまでは想定していないが、中には移行を考えていると表明しているお客さまもいる」ともパンボリス氏は語った。

ハードディスクと比較したコスト効果

 ストレージOSのONTAPも、CシリーズではQLCに最適化したものになっている。ONTAPの機能はAシリーズもCシリーズも共通だが、Cシリーズではライセンスが変更された「ONTAP One」が標準搭載される。ONTAP Oneでは利用可能なすべてのソフトウェアが含まれ、例えばAシリーズではオプションで提供されていた、インラインデータ圧縮、重複排除、コンパクションの機能が最初からオンになっているという。また、データ保護機能やアンチランサムウェア機能も含まれる。それによる価格については、「オプションを足した価格ではなく、価格努力をしている」とパンボリス氏は説明した。

 そのほか、アンチランサムウェア機能や、パブリッククラウド上のNetAppとのクラウドコネクト機能など、ONTAPの機能も、従来通り備わっている。

ONTAPシリーズの機能
Cシリーズでは「ONTAP One」を標準搭載

 用途としては、前述の通りAFF AシリーズとFASシリーズの間のものとなる。FASシリーズは、レイテンシより容量が主要な要件である「ティア2」ワークロードとして、テスト/開発用サンドボックスのコピーや、バックアップの高速リカバリー、データ階層化などを対象にしていた。

 それに対してAFF Cシリーズではアプリケーションなどが利用する「ティア1」ワークロードに対応する。AFF Aシリーズとのすみ分けとしては、「例えば証券会社のレイテンシに厳しいアプリケーションや、OLTPのワークロードなどにはAシリーズをお勧めする。そこまでレイテンシに厳しくない、通常のデータベースなどであればCシリーズをお勧めすることもある。遅延の要件に応じてお選びいただける」(パンボリス氏)とのことだった。

 ちなみに、10年続いたベゼルデザインを、6月から新しいものに変えることもパンボリス氏は紹介した。

Cシリーズはティア1ワークロードに対応
ベゼルデザインを6月から変更

Aシリーズのエントリー製品「AFF A150」

 Cシリーズ3製品と同時に、Aシリーズのエントリー製品となる「AFF A150」も発表された。従来の「AFF C190」の後継製品にあたる。ちなみに、従来のC190はA150に入れ替わるが、新しいCシリーズとの混同を避けるため、C190の名称が「A190」となるという。

 旧C190では内蔵ドライブのみで容量のオプションが1種類しかないという制約があり、顧客から不満があったという。それに対してA150では、容量のオプションを内蔵960GB、2.8TB、7.6TBに増やし、最大2基の拡張シェルフも設けた。

 またA150ではONTAP 9.12.1を採用するが、9.12.1のリリースが未定のため、バックポートサポートで9.11.1と9.10.1を予定している。

Aシリーズのエントリー製品「NetApp AFF A150」も発表

新しいコントローラやクラウドにアップグレードできるプログラム「NetApp Advance」

 2月の発表の中から、パンボリス氏はストレージ保証プログラム「NetApp Advance」についても説明した。

 NetApp Advanceの中のプログラムとして、まず「NetApp Storage Lifecycle Program」がある。例えば3年契約の場合、従来は3年たったときに新しく購入する予算が必要だった。それに対してStorage Lifecycle Programでは、3年契約を更新する際に、追加の差額費用のみでより新しいコントローラにアップグレードできるオプションを提供する。

 「あるいは、3年後にクラウドに移行するかもしれない」とパンボリス氏。そこでNetApp Advanceの中の「NetApp Cloud Advantage Program」では、コントローラを下取りして、NetAppクラウドソリューションに移行できる。

ストレージ保証プログラム「NetApp Advance」