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日立、Oracle DBとOCIを活用した生成AIの協創プロジェクトをオラクルと実施

 株式会社日立製作所(以下、日立)は30日、日本オラクル株式会社(以下、オラクル)と、Oracle DatabaseおよびOracle Cloud Infrastructure(OCI)を活用した生成AIの協創プロジェクトを実施したと発表した。

 協創プロジェクトでは、企業内のあらゆる業務データを基に回答する「生成AIエージェント」を、Oracle Database 23aiとOCI上に実装し、複雑な質問に対して高い回答精度を実現した。また、LLMに外部情報の検索を組み合わせることで回答精度を向上させるRAG(Retrieval-Augmented Generation)のように、非構造データ(テキストデータ)をベクトル検索する生成AIでの問い合わせだけでなく、表などの構造データを格納した業務データベースに対しても、SQL検索可能な生成AIエージェントを実現した。

 プロジェクトは、若手のデータサイエンティストやクラウドソリューションエンジニアを中心にユースケースの検討から実装まで進め、3カ月でプロジェクトを完了した。

協創プロジェクトを推進したオラクルと日立の若手メンバー

 日立とオラクルでは、商用のOracle Database 23aiに新たに生成AI用のベクトル検索機能が追加されたことを受け、基幹システムでの採用が多いOracle Databaseの導入を検討するため、プロジェクトを開始したと説明。プロジェクトでは、従来のベクトル検索のみのRAGアーキテクチャに加え、ユーザーの質問から自動的にSQL文を生成し、リレーショナルデータベースから情報をSQL検索できる機能を実装した。これにより、ユーザーからの質問に対してエージェントAIが最適な検索方法を選択するため、ユーザーは意識することなく簡単に情報を入手できる。

問い合わせに対する検索手法の選択フロー
ユーザーと生成AIエージェントの問い合わせ対応イメージ

 ユースケースとして、全国に工場や店舗を持つ家電企業の在庫管理を対象にし、実際の業務データを活用して検証を行った。これらの結果、Oracle Database、OCIでのRAG構成の生成AIエージェントを実現し、複雑な質問を含めた回答精度として82%の精度が得られた。さらに、業務データベースや非構造な業務データを組み合わせ、従来のRAGでは実現できない複雑な問い合わせ対応が可能になった。

 日立とオラクルは、今後も協創関係を深め、生成AIと企業内の業務データを活用したさまざまな課題解決に取り組んでいくとしている。