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クリックテック、信頼性の高いAI基盤の大規模な導入を支援する「Qlik Talend Cloud」を提供

 クリックテック・ジャパン株式会社は8月7日、データの信頼性とアクセシビリティを向上させ、大規模なAI価値創造を実現するための包括的な統合ソリューション「Qlik Talend Cloud」を提供開始したと発表した。同日には、「Qlik Talend Cloud」をリリースする背景や製品概要について記者説明会が行われた。

写真左から:クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏、Qlik米国本社 副社長 兼 データ事業本部長のドリュー・クラーク氏

 「Qlik Talend Cloud」は、米国で6月3日~5日に開催された年次イベント「Qlik Connect」の中で発表されたデータ統合部門の新製品となる。企業の責任あるAI導入を促進するように設計されており、ノーコードからプロコードまで、AIによって強化されたデータ統合機能を提供する。また、企業があらゆるレベルでデータの整合性を維持し、大規模なAI導入を加速できるよう支援する。

 新製品のリリースにあたり、Qlik米国本社 副社長 兼 データ事業本部長のドリュー・クラーク氏は、AI市場における2024年下半期のトレンドについて、「まず、ストレージマネジメントでは、ポイントソリューションからレイクハウスパラダイムへとシフトが進んでいる。また、AIへの投資では、生成AIのためのLLM(大規模言語モデル)とRAG(検索拡張生成AI)に期待が高まっており、予算をシフトする動きも出始めている。また、プロダクトの面では、データと人をつなげる新しいメッシュの概念を検討していくことが必要になる。データパイプラインに関しては、生成AIに対してデータを送る新たなパイプラインができつつある。そして、今後のAI活用において信頼できるデータの重要性がさらに高まると見ている」と解説した。

Qlik米国本社 副社長 兼 データ事業本部長のドリュー・クラーク氏

 同社が実施した調査によると、世界の経営層の98%が、今後3~5年の間にAI基盤モデルが組織の戦略において重要な役割を果たすと確信していると回答した一方で、現時点で明確なAI戦略を持っているとの回答は39%にとどまり、生成AIを活用してデータから成果を生み出せている企業は少ない実態が明らかになったという。データから成果への橋渡しに重要なポイントとして、クラーク氏は、(1)データの移動・変換、(2)データの信頼性と説明可能性の向上、(3)利用者の接続性、(4)AIを活用した解析・予測・回答、(5)確信を持った行動――の5つを挙げ、「この5つのポイントを効果的に実施することができれば、データを成果へとつなげて、企業の持つアドバンテージやビジネス上の価値を見出すことが可能になる」との考えを示した。

 こうした状況を踏まえて今回、最新のAIを同社の信頼できるデータ基盤と組み合わせることで、企業がAIを大規模に活用し、データを戦略的資産に変換できるよう支援する統合ソリューション「Qlik Talend Cloud」を提供開始するという。

2024年エンドツーエンド製品のマッピング

 「Qlik Talend Cloud」の主な特徴としては、データエンジニアやデータサイエンティストがAIを活用したデータパイプラインを展開できるよう、データ統合と品質機能の統合パッケージを提供。データの信頼性を強化することで、企業のAI導入にともなうリスクを低減する。

「Qlik Talend Cloud」の製品概要

 Connector Factoryの大幅なAI強化により接続性を拡張し、400を超えるSaaSデータソースとの接続を実現している。また、Qlikの分析機能との統合によって、構造化および非構造化の生データをエンドツーエンドでビジネス成果に結びつけ、価値創造の迅速化を支援する。さらに、特定のクラウドや技術に依存しない柔軟な導入が可能なため、技術的負担を削減し、今後のAI導入の可能性を広げることができる。

 このほか、すべてのユーザープロファイルに対応。最適化されたローコード/プロコードオプションを提供することで、ビジネスユーザーとITスペシャリストのそれぞれに対応し、生産性を向上させる。また、複雑なデータセットを、整理されたデータ製品に変換し、データの品質とガバナンスの向上を実現する。

 クラーク氏は、「Qlik Talend Cloud」を活用するメリットについて、「AIレディなデータパイプラインを作成し、あらゆるAI/MLのプロジェクトに、あらゆる形式のデータを供給することが可能となる。また、『Trust Score for AI』によってモデルを改善し、AIが利用するデータの品質を向上する。そして、AIによる生産性向上とともに、AIを使うための生産性向上を実現し、業務の成果を改善することができる」と強調した。

 日本市場での展開について、クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏は、「データ統合の領域は、日本市場では大きなビジネスチャンスがあるととらえている。日本のIT導入は、各業務部門の自動化からスタートした歴史があり、その結果、レガシーシステムが乱立し、サイロ化してしまった。このため、ほかの国に比べてシステム統合のニーズが非常に大きく、グローバルでも日本市場への期待が高まっている。今回、『Qlik Talend Cloud』を提供開始することでグローバルと同等のフルラインアップをそろえ、日本市場での製品戦略、パートナー戦略をさらに推進していく」と意欲を語った。

クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏

 「Qlik Talend Cloud」の製品ラインアップは、「Starter」「Standard」「Premium」「Enterprise」の4つのエディションを用意している。各エディションの主な機能としては、「Starter」ではSaaSデータの移動に対応、「Standard」ではデータベースへのリアルタイムレプリケーション(ELT)に対応、「Premium」ではデータ変換、データ品質、APIによる統合に対応、「Enterprise」ではSAP、メインフレーム、データ製品に対応している。

「Qlik Talend Cloud」の市場セグメント、製品エディション、ユースケース