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クリックテック、2023年度のグローバルでの製品戦略を発表 日本市場ではパートナー戦略を強化

 クリックテック・ジャパン株式会社は7日、2022年度のビジネス概況および2023年度のグローバルでの製品戦略に関する記者説明会を開催した。また説明会では、大日本印刷(以下、DNP)におけるQlik製品の導入事例も紹介した。

 まず、クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏が、同社のビジネス概況について、「先行き不透明なVUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)時代に突入する中で、企業では、より確かなアクションや行動が求められるようになり、データドリブン経営の重要性がさらに高まってきている。これに対して当社は、データドリブン経営のあるべき姿を実現する仕組みとして、アクティブインテリジェンスプラットフォーム『Qlik Cloud』の訴求・提案に注力している。これにより、企業内外に存在する広範なデータをリアルタイムに統合・管理し、AIによる自動分析および可視化、さらには実際のアクションにまでつなげることが可能となる」と述べた。

クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏

 「このアクティブインテリジェンスのビジョンを実現するためには、当社だけでなく、パートナー企業の存在が必要不可欠となる。特に日本市場に向けては昨年から、販売パートナーが『Qlik Cloud』のビジョンと顧客との長期的な関係を実現できるように、パートナープログラムを大幅に進化させている。国内の販売パートナー各社と、お互いのリソース、ターゲットマーケット、ターゲットソリューション、ターゲットメッセージを共有しながら、強力なパートナーエコシステムの構築を進めている」と、国内でのパートナー戦略を強化していると述べた。

「Qlik Cloud」の製品ポートフォリオ

 次に、グローバルでの製品戦略について、米Qlik 最高製品責任者(CPO)のジェームズ・フィッシャー氏が説明した。「当社のプロダクトビジョンは、『SaaS主義』『データ主義』『顧客主義』の3つを基本理念としており、このビジョンをもとに、データ統合と分析のためのプラットフォーム『Qlik Cloud』を展開している。『Qlik Cloud』は、ネイティブなクラウドファーストのアーキテクチャで構築されているが、クラウド上のみならず、顧客のあらゆるデータソースやOSで稼働することができる。また、当社の製品チームは、市場調査やカスタマーフィードバックを原動力とし、クラス最高のイノベーションパイプラインを構築することに情熱を注いでいる」という。

米Qlik 最高製品責任者(CPO)のジェームズ・フィッシャー氏

 重点投資分野としては、「データ統合」「分析」「基盤サービス」の3つを挙げた。「データ統合」では、Integration Platform as a Service(iPaaS)向けのデータ統合機能を提供し、自動データ移動と高度な変換を備えたリアルタイムのエンタープライズデータファブリックを実現する。「分析」では、AIや機械学習を利用して最適なインサイトを発見し、強力なビジュアライゼーションで提示する分析機能を、スケーラビリティとパフォーマンスの最適なサポートとともに提供していく。「基盤サービス」では、データパイプラインの接続性と自動化を促進し、クラウドへの移行を可能にするよう設計された、データ統合と分析の両ユーザーのためのソリューションを提供していく方針。

 このうち、データ統合分野における最新の取り組みとして、数百種にのぼるSaaSアプリケーションおよびデータソースに対するデータアクセス・取り込み機能を継続的に拡張する戦略「Connector Factory」を、3月8日に発表した。Qlikでは、すでに250種を超える既存コネクターを利用しているが、「Connector Factory」によって、2023年中にはQlik Cloudデータ統合のコネクターがさらに100種増えることになるという。新しいコネクターは、今後2四半期中に最初の提供を予定しており、NetSuite、Workday、SAP SuccessFactors、Salesforce、Epic、Cerner、OSIsoft、ADP、SAP Ariba、HubSpotなど最も一般的な30種のエンタープライズアプリケーションに対応する。

 2023年度の製品ロードマップについては、「今年もデータ統合、分析、基盤サービスの各分野において、すべての製品ポートフォリオに対して投資を続けていく。例えば、データ分析のライフサイクル全体でAIやデータインテグレーションを活用できるような機能を提供する。また、オンプレミスのユーザーにも、クラウドと同等のソリューションを使えるようにすることも検討している。そして、パートナー企業とともに日本市場でのビジネスをさらに拡大していく」との考えを示した。

2023年度の製品ロードマップ

 最後に、DNPの鶴田博則氏がQlik製品の導入事例を紹介した。「当社では、営業、業務、生産の3領域で、DXによるさまざまな改革に取り組んでいる。Qlik製品については、2009年から販売パートナーとして『Qlik View』の取り扱いを開始し、2015年からデータ分析プラットフォーム『Qlik Sense』の販売を開始した。そして、DXの気運が高まってきた2019年に『Qlik Sense』の自社利用を検討開始し、2021年から社内での本利用をスタートした。現在では、3500人以上のユーザーが『Qlik Sense』を利用している」と、Qlik製品の導入経緯について説明する。

大日本印刷の鶴田博則氏

 Qlik製品の社内展開にあたっては、「テーマ共有会」「ハンズオンセミナー」「オフィスアワー」などさまざまな施策を実施し、全社的なデータ活用を進めているという。導入効果については、「バックオフィス業務では、タレントマネジメントの領域において、各担当のスキルセットを可視化し、人員配置やスキルアップの教育計画に生かしている。製造分野では、製造過程における素材のロス解消に効果が出ている。システム運用では、データ分析に着手するまでの時間を大幅に短縮できたことで、攻めの保守を実施できるようになった」としている。

 今後の展開としては、データドリブン経営の加速に向けて、「経営トップ向けのダッシュボードの構築」や「分析の部門・サービス横断」を進めていく。また、社内活用のさらなる高度化に向けて、「テーマ共有会などの定期実施」や「DNPグループ企業への提供」に取り組んでいく計画。