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日本IBM、ビジネス向けAIの基盤モデル「Granite」日本語版を提供

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は27日、AIおよびデータのプラットフォームであるIBM watsonxで、生成タスク用に設計されたIBM独自の基盤モデルである「Graniteモデル」シリーズの一つとして、日本語性能を向上した「Granite日本語版モデル(granite-8b-japanese)」を、2月29日(米国時間)に提供開始すると発表した。

 Graniteモデルは、生成タスク用に設計されたモデルで、インターネット、学術、コード、法務、財務の5つの領域から得たビジネスに関連するデータセットで学習を行い、IBMがビジネス用途向けにキュレーションしている。

 また、好ましくないコンテンツを除去するための綿密な検査、社内外のモデルとのベンチマーク評価も行っており、watsonx.dataとwatsonx.governanceとの連携により、リスクを軽減し、モデル出力が責任ある形で展開できるように設計されている。さらに、Graniteモデルの学習に使用されたデータソースを公開することで、顧客がより安心してAIの適用を進められるようにしている。

 今回、すでに提供開始している英語版Graniteモデルと同じ設計思想で、IBM Researchが新たに日本語、英語、コードのデータセットで学習し、エンタープライズグレードの日本語能力を備えた日本市場向けGraniteモデルを開発した。日本語に特化した言語処理を導入することで、長い日本語の文章を効率的に処理し、より高速な推論を実現する。また、Granite日本語版モデルは80億のパラメーターモデルで、高い精度をより低いインフラストラクチャー要件で実現できるとしている。

 IBMは、ビジネスでAIを導入するうえで、業種や業務、ビジネス領域、ユースケースに応じて適材適所にモデルを選択することが重要であるとして、watsonx.aiスタジオでは、ビジネスに特化したIBM独自の基盤モデルのほかに、ユーザーのユースケースを想定して厳選したオープンソースモデルを用意し、顧客に多様な選択肢を提供していると説明。1月からは、日本市場向けに、株式会社ELYZAが公開した日本語LLMモデルである「ELYZA-japanese-Llama-2-7b」も利用可能となっており、今回、Granite日本語版モデルを提供開始することで、日本の顧客は自社のニーズに最適な日本語基盤モデルを選択し、AI活用を加速できるとしている。

 日本IBMは、日本市場に特化した基盤モデルを提供し、社内の生成AIの専門家チームが有する専門知識を活用して、ビジネスユースケースにあわせたモデルのチューニングや運用の支援を行うことで、日本の顧客が自社の競争力をAIで増幅する「AI価値創造企業」を目指せるよう支援するとしている。