ニュース

CTCとMRI、APNを活用した分散型データセンターの実現に向けた検証を実施

 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は9日、株式会社三菱総合研究所(以下、MRI)と共同で、次世代通信基盤「オール光ネットワーク(APN:All Photonics Network)」と分散型データベース「TiDB」を組み合わせた分散型データセンターの実現に向けた検証を実施したと発表した。

 APNによる分散型データセンターの実用化は、複数の拠点でデータを効率的に処理・保存できるため、災害時における迅速なデータ復旧や環境負荷の軽減に貢献するだけでなく、通信・金融・医療など、リアルタイムで大容量の処理が求められる分野においても安定したサービス提供を可能にすると期待されている。

 検証では、APNを利用し、70km圏内の接続を想定した2つの仮想データセンターと3つのリージョンを構築してデータ分散処理の動作を検証した。仮想データセンターに置く分散型データベースには、高い可用性と拡張性を備えたオープンソースの分散型SQLデータベースのTiDBを選択した。TiDBは、データを小さな単位に分割して複数のデータベース間で複製し、更新時には全てのデータベース間で整合性を保ちながら自動的に同期する点を特徴とする。

 検証期間は2025年10月22日~10月28日。CTCは、検証用機器の調達、インフラの設計・構築、分散型データベース(TiDB)の設計・構築、および検証プランの策定と実施を担当した。MRIは総務省からの委託を受け、オール光ネットワークの簡易実証基盤を構築するとともに、ユースケース創出に向けた分散型データベース構想の検証をCTCに依頼し、今回の取り組みの実現に至った。

 検証の結果、低遅延通信のAPN環境においてTiDBが正常に動作し、3つのリージョン間でデータベースの更新データが遅延なく同期されることを確認した。

 また、冗長化・可用性の観点では、TiDBの冗長構成により、1つのリージョン(リージョンA)に障害が発生した場合でも、残りのリージョン(リージョンB、C)でサービスを継続できることを確認した。リージョンAの障害発生時には、TiDBの内部処理により、リージョンBとCのクエリ実行が一時的に中断されるが、その中断時間は数秒程度であることを確認した。

 今回の成果を踏まえ、次年度はより本格的な実証環境にて実際のダークファイバーを活用した長距離伝送の検証や、実運用を想定したシナリオに基づく技術評価を実施する予定だ。

 今後も2社は、分散型データセンターの実現に向けて、段階的に技術課題の解決に取り組みながら、将来的な商用サービスの展開を視野に入れて検証を進めるとしている。

今回の簡易実証基盤上での検証イメージ
APN通信を使用した分散型DCの期待効果