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IBM、「watsonx.ai」上でMistral AIの基盤モデル「Mistral Large」を提供

 米IBMは現地時間18日、AI開発者向けの次世代エンタープライズスタジオ(ツール・機能群)「watsonx.ai」上で、仏Mistral AIの基盤モデル「Mistral Large」が利用可能になったと発表した。

 当初、SaaSとして提供するMistral Largeの追加は、watsonx.aiでアクセス可能なモデルのコレクションを拡大するもので、そのコレクションには、オープンコードモデル、言語モデル、時系列や地理空間などの科学的モデルで構成される、基盤モデルのIBM Graniteファミリーも含まれる。Mistral AIの商用モデルがIBMのプラットフォームで利用できるようになったことで、IBMはオープンなマルチモデル戦略をさらに拡大し、企業がイノベーションを起こし、適応し、スケールできるよう支援するとしている。

 IBMはまた、ビジネスイノベーションを責任を持って推進するというコミットメントに基づき、上限付きの知的財産補償を通じて、Mistral Largeの保護を顧客に提供すると説明。これは、IBMが補償の対象をサードパーティーの基盤モデルに拡大する、初めての取り組みになるという。

 IBMとMistral AIは、データ制御を優先したwatsonx.ai上で、オープンソースモデルと商用モデルの両方を、また小規模で超効率的なモデルも含めたアクセスを企業に提供することで、イノベーションとコラボレーションの促進を続けていると説明。このアプローチは、企業のAIソリューションの質を高めるために極めて重要だとしている。

 さらに、Mistral Largeがwatsonxプラットフォーム上に追加されたことで、企業はデータストア、プロンプトラボ、モデルチューニング、本番監視、ガバナンス機能など、エンタープライズ対応の追加製品の恩恵を受けられると説明。watsonxの顧客は、プラットフォームのロックインに制約されることなく、オンプレミスまたはパブリッククラウドプロバイダーなど、選択した環境にwatsonx.aiで利用可能なモデルを導入できるとしている。

 watsonxを活用する顧客は、推論と多言語能力を必要とする、複雑な企業タスクを処理するために最適化された、Mistral AIの強力なモデルの恩恵を受けられると説明。具体的な機能としては、長いチャットインタラクションや大規模なドキュメント処理をサポートするRAG特化や、ユーザー定義関数やAPIなどの外部ツールへの接続を可能にするFunction Callingなどを挙げている。

 コードの生成、レビュー、コメント、JSON形式で結果を出力する機能により、開発者はより自然にモデルと対話し、構造化された形式で情報を抽出できると説明。多言語対応では、設計上、英語に加えてフランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語で高いパフォーマンスを提供するとともに。その他数十の言語をサポートする。また、責任あるAIとして、追加レイヤーを利用できるガードレール機能が組み込まれているとしている。

 IBMでは、IBM、Mistral AI、watsonxプラットフォームの組み合わせは、欧州で活動する組織がガバナンス機能を強化しながら、基盤モデルの利点を享受するための選択肢を提供し、責任あるAIの構築に対するIBMのコミットメントを再確認するものだとしている。