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日本IBM、日立およびAWSと地域金融機関の価値向上と地域振興の実現に向けたDX領域での共創検討で合意

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は2日、地域金融機関の課題解決による価値向上と地域創生の実現に向けた、DX推進に関する共創検討について、株式会社日立製作所(以下、日立)とアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWS)と共に覚書を締結したと発表した。

 これまで3社は、クラウドからアプリケーション構築までさまざまなサービスを多くの企業に提供し、地域金融機関のDXを推進してきたと説明。今回の共創検討では、3社が連携し、デジタルシフトによる経営資源の最適化や、データ利活用による新たなサービスの提供など、地域金融機関における課題を解決することにより、地域社会の活性化や発展を実現させる新たな価値創出を目指すとしている。

 3社は、地域金融機関においてもテクノロジーや顧客ニーズの変化に対応するため、データ利活用やデジタルシフトなどの迅速なDX推進が求められる一方、ITシステムを提供する複数の企業による、個別最適化されたシステムから、シームレスに連携した全体最適化されたシステム構成に変更することは容易ではなく、地域金融機関にとって利用者のニーズに応じた迅速なサービス拡大が課題となっていたと説明。

 さらに、地域金融機関では、「顧客体験の向上」「データ利活用」「AI技術活用」といったDXの活用を推進し、地域社会への持続可能な発展に貢献することが求められており、システムを提供する企業間の連携による、地域金融機関の全体最適化を実現するシステム構築が急務となっているとしている。

 今回の共創検討では、ITシステム・サービスにおける日本IBMの先端技術や金融ビジネスにおけるノウハウや知見、日立が有する金融業界のみならず社会インフラの構築で多くの実績をもつシステム構築力、さらに、柔軟性が高く、幅広く奥深いクラウドサービスをグローバルで提供するAWSが、それぞれの強みを生かし、相互連携を行う。これら3社の連携を通じて、デジタルシフトによる経営資源の最適化や、データ利活用を推進する新たなサービスの提供に取り組み、地域金融機関に対してより多様な価値提供と地域社会の課題解決に向けた検討を推進する。

 日本IBMは、2020年にオープン・ソーシング戦略フレームワークを発表以降、「金融サービス向けデジタルサービス・プラットフォーム(以下、DSP)」を中心に、地域金融機関の顧客の支援を推進している。DSPは、「モバイル・バンキング・アプリの接続基盤」や「生成AI活用基盤」「マルチチャネルやマルチクラウドを実現する基盤」といった金融ビジネスのDXを加速化するプラットフォームとして、30社を超える金融機関に活用されている。

「オープン・ソーシング戦略フレームワーク」と「DSP」

 今回の取り組みを通じて、IBMのDSPを中心としたエコシステムに、日立が提供する融資業務などの各種DXソリューションが加わり、AWSを活用して相互に接続させることで、地域金融機関の勘定系システムや周辺システムにおける、連携の簡素化や効率化を図れると説明。例えば、融資の申し込み受付時には、これまでは申込者のさまざまな情報の収集に複数のシステムを横断する必要があり、人的リソースや時間の確保も要していたが、システム連携によりオンラインで確認できるようになることで、業務生産性の改善を見込めるとしている。

 日本IBMは今後、各社の持つ強みを生かして相互に連携することで、個別業務だけでなく生成AIやデータの活用といった、全社横断的な業務へも拡大していくと説明。ユースケースの多様化を目指すとともに、オープンで柔軟なソリューションの提供、およびベンダーの垣根を越えた取り組みを推進することで、地域金融機関のDX化を支援していくとしている。

 日立は今後、各社と連携をより強化し、まずは融資をはじめとするデジタルトラスト領域からDX化を推進し、地域金融機関への価値の最大化に向けた施策に取り組んでいくと説明。また、将来的には地域金融機関へのDX実現を通じて、行政機関とも連携範囲を広げ、地方のデジタル構想の実現への寄与に向けて貢献していくとしている。