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バッファロー、法人向けネットワーク事業戦略を説明 Wi-Fi 6アクセスポイントのエントリーモデルも発表

 株式会社バッファローは26日、法人向け事業戦略および新製品に関する発表会を開催した。発表会では、法人向け事業のビジネス状況や今後の戦略について説明するとともに、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応無線LANアクセスポイントのエントリーモデル「WAPS-AX4」を、8月上旬から順次販売開始すると発表した。

写真左から:バッファロー 常務取締役の石丸正弥氏、同 常務取締役の横井一紀氏、同 事業本部 法人マーケティング部長の富山強氏

 バッファローでは昨年、営業体制を刷新しており、現在は全国13拠点に4部/6課/6支店/18営業所/3出張所を配し、主要拠点にはフィールドエンジニアを配置することで全国の顧客へのサポート体制を強化している。また、販売支援・技術情報などを提供することで、販売パートナーがより安心して商品を扱えるよう支援する「VARパートナープログラム」も、現在のパートナー登録者数は約1万1000名、登録事業所数は約4200社にまで達し、サポート面・営業対応・情報提供面ともに高い評価を得ているという。

 バッファロー 常務取締役の横井一紀氏は、法人向け販売・サポート体制の強化について、「技術サポート面では、この1年でフィールドエンジニアを約1.5倍に増員し、強化している。また、販売店の社員向けに多様な技術研修プログラムを展開し、研修プログラムのバリエーションは53本に拡大した。営業人数は、直近5年で約2倍に増員しており、昨年度は販売店で行う内覧会や展示会を100件以上実施した。さらに、2020年9月から開始した管理支援サービス『法人ポータル』の累計登録台数も約20.5万台に達している。今後も、法人ビジネスにおける多様なニーズを強力にバックアップし、企業DXを支援していく」と述べた。

バッファロー 常務取締役の横井一紀氏

 「こうした取り組みによって、法人向け商品カテゴリのビジネスは年々成長している。2018年3月期の売上高を100として指数化すると、2021年3月期は119、2023年3月期には125まで拡大した」と、法人向けネットワーク商品の売上は引き続き成長傾向を維持しているとアピールした。

法人向けネットワーク商品のラインアップ

 続いて、バッファロー 常務取締役の石丸正弥氏が、法人向け事業戦略について説明した。「当社では、法人向けネットワーク商品として、中小規模向けにとどまらず、SOHOや大規模・エンタープライズ向けにもラインアップの拡充を図っている。また、『つなぐ技術』で幅広い法人顧客のビジネスをサポートし、当社ならではの支援を行っている。特に、最長5年の長期保証と最長7年の保守を提供することで、長期の『安定稼働』の実現を目標としている」とし、安定稼働を実現するための3つのポイントを挙げた。

バッファロー 常務取締役の石丸正弥氏

 1つ目は、「商品の部品選定・評価基準」。販売前から部品選定・品質評価に徹底した基準を設定したモノづくりを実践。自社エンジニアが直接顧客の声を聞くことで、必要十分なソリューションに焦点を当て、必要以上のコストがかからないよう、機能の取捨選択を行う「引き算の開発」によって導入負荷を軽減する。

 2つ目は、安定稼働を支える「管理・運用負荷の軽減」。稼働中のユーザーの管理・運用負荷軽減のため、遠隔地からの機器の監視や、メンテナンス用の簡易操作が行えるリモート管理サービス「キキ Navi」を無料で提供している。「キキ Navi」は、クラウドゼロタッチにより現場での設定作業なしで運用を開始でき、稼働状況の把握・共有、遠隔簡易操作、設定情報の保存などが可能となる。また、有料でクラウドバックアップ機能も用意している。今年3月時点で、「キキ Navi」の累計登録法人数は7100社に達している。

「キキ Navi」の画面イメージ

 3つ目は、「稼働後も安心のサポート」。稼働後の安心に向けたサポート展開として、長期保証・保守に対応したサポートパックの充実や、万一のためのデータ復旧サービスを提供している。サポートパックでは、物理障害/論理障害を問わずバッファローの正規データ復旧サービスを年に1回まで無償で受けることができる。データ復旧サービスの累計受付件数は、今年3月時点で6万台を突破しているという。

 法人向けの商品展開としては、ネットワークで企業DXを支援するため、「BCP対策」(事業継続リスクへの対応)、「人手・IT人材不足」(作業・管理の負担軽減)、「ハイブリッドワーク・業務デジタル化のインフラ構築」の3つの軸を中心にラインアップの拡充を図っている。そして今回、Wi-Fi 6対応無線LANアクセスポイントの新製品として、SOHO・小規模ユーザー向けエントリーモデル「WAPS-AX4」を8月上旬から順次出荷、発売することを発表した。

Wi-Fi 6対応無線LANアクセスポイントのエントリーモデル「WAPS-AX4」

 バッファロー 事業本部 法人マーケティング部長の富山強氏は、新製品を発売する背景について、「当社の独自調査によると、現在、中小企業の約80%弱が業務効率化への期待からWi-Fiを導入しているものの、そのうちの20%強は10年以上前にWi-Fiを導入したままであることがわかった。また、古いWi-Fi機種を使い続けていることで、速度や電波エリアに不満をもっていることもあり、業務効率化への課題があることが明らかになった。こうした企業は通信の安定化、端末数の増加、セキュリティ強化を目的に今後の追加導入やリプレースの意向が高い傾向にあることができた。そこで今回、SOHO・小規模ユーザー向けにWi-Fi 6対応無線LANアクセスポイントのエントリーモデル『WAPS-AX4』をリリースする」と説明した。

バッファロー 事業本部 法人マーケティング部長の富山強氏

 「WAPS-AX4」は、高速Wi-Fi規格のWi-Fi 6に対応し、5GHzが最大1201Mbps(理論値)、2.4GHzが最大573Mbps(理論値)の高速通信が可能。有線LANポートはPoE受電対応(IEEE 802.3af)可能な1GbEポートを搭載しており、この1台で最大128台の多台数同時接続が可能となる。

 アンテナ内蔵で薄く、文庫本ほどのコンパクトサイズ(W110×H150×D35mm、突起物除く本体のみ)のため、天井の低いホテルや小規模なオフィスでも圧迫感を与えることなく設置できる。配線とポートを隠し、設置後のイタズラや誤操作を防ぐためのセキュリティーカバーを同梱している。セキュリティカバーは分離型のため、利用環境に応じてネジ1本で簡単に着脱させることが可能。従来品(WAPS-1266)の取り付け金具を流用できるため、壁掛け金具やLANケーブルを交換しなくても、従来品からのリプレイスを容易に行える。

 また「ゲストポート機能」を搭載しているため、来訪者のパソコンやスマートフォンのWi-Fi通信向けに社内ネットワークからは分離・独立した来客専用のWi-Fi環境を用意することが可能。これにより、社内ネットワークとの通信は隔離された状態でインターネットだけを利用できる。さらに、長期保証(標準3年+Web登録による2年延長)、動作環境温度の45℃対応も実現した。

 このほか、リモート管理サービス「キキ Navi」に対応する「キキ Navi クラウドゼロタッチ」専用型番「WAPS-AX4/Z」(受注生産品)も同時発売する。製品の開梱や通電をせずに一度に大量の機器を「キキ Navi」に一括登録でき、「キキ Navi」上で事前に設定した機器設定情報を導入先で機器をインターネットにつなぐだけで自動反映できるようになるため、1台ずつ設定作業する手間を省き、現場での設定作業が不要になる。

 価格は、「WAPS-AX4」「WAPS-AX4/Z」ともに3万8280円。

 今後の製品展開として、富山氏は、「今年5月に発売したVPNルーター『VR-U500X』『VR-U300W』向けに、新たにUTM機能に対応するオプションライセンスパックを今冬販売開始する予定だ。これにより、『VR-U500X』『VR-U300W』のユーザーは、アンチスパムやアンチウイルスに有効なUTM機能を利用することが可能となる」と、ユーザーに利便性の高いサービスを引き続き強化していく考えを示した。