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日立、統合システム運用管理「JP1」「JP1 Cloud Service」の最新版を提供、オブザーバビリティやクラウドネイティブ対応を強化

 株式会社日立製作所(以下、日立)は29日、統合システム運用管理「JP1」の最新版である「JP1 Version13」を6月30日に販売開始すると発表した。JP1 Version13の新機能が利用できるSaaS型運用管理基盤「JP1 Cloud Service」の最新版は、9月29日に販売開始する。

 JP1 Version13では、ITシステム全体の健全性を可視化するオブザーバビリティを強化した。具体的には、基幹システムからクラウドネイティブなシステムまでの稼働に関わる情報を収集し、顧客のITシステム全体の状態が、業務サービスにどのように影響するかを一目で把握できるダッシュボードを提供する。状況に応じた対処の自動化を可能とする機能なども備え、問題発生時でも専門的なスキルを必要とせず、どの業務サービスに影響するかを即座に特定して、問題への迅速な初動対応を可能とする。

 また、オンプレミスと各種クラウドにまたがった業務サービスを自動化する際のクラウドサービスとの連携を容易にしたことで、ハイブリッド/マルチクラウド環境での新たな業務サービスの立ち上げやサービスの改善を迅速化する。

 これらにより、クラウドネイティブ技術の普及や基幹システムのモダナイズによって、オンプレミスとクラウドの混在で構成の複雑化・大規模化が進む企業のITシステムを、一元的に運用管理することで、ビジネス環境の変化への適応を容易とし、ビジネスのレジリエンスとアジリティの向上に貢献する。

統合システム運用管理「JP1」のオブザーバビリティ強化の概要

 マイクロサービスやコンテナなど、クラウドネイティブ技術の活用が進むにつれてシステムが複雑になり、変化するシステム全体の状態把握や障害時の対応が難しくなっているといった課題に対して、システム全体の監視などを担う統合管理製品の「JP1/Integrated Management 3」において、従来の「JP1/Integrated Management 2」よりも、クラウドネイティブなシステムの稼働に関わる情報の収集、業務サービス視点でシステムの健全性を可視化するダッシュボードなどを提供し、オブザーバビリティを強化する。

 また、従来の特長である、各種運用ツールが発するイベント(状態変化のメッセージ)管理やパフォーマンス管理、構成情報、業務連携などの関係性の把握と、状況に応じた対処の自動化により、迅速な回復を支援する。さらに、障害時の対応だけでなく、定期的なサービス稼働率の分析によるシステム改善も可能で、レジリエンスの向上に貢献する。

 SaaS版のJP1 Cloud Serviceでは、新サービス「JP1 Cloud Service/System Management」で、JP1/Integrated Management 3と同じ機能を利用できる。また、新サービス「JP1 Cloud Service/Notification Management」により、障害検知時にビジネスチャットなどの各種手段で運用チームへ迅速に通報できるほか、「JP1 Cloud Service/Operations Integration(Ops I)」で障害チケット管理や対応要員のスキルに応じた適切な作業割り当てを行い、定型化された障害の復旧作業を自動化コード(Playbook)で管理・実行するなど、障害対応の初動から復旧作業までの一連の運用業務を迅速かつ確実に行うことも可能となる。

 各種クラウドサービスとの連携では、JP1のジョブ管理において、GUI上でAmazon Web Services(AWS)およびMicrosoft Azure(以下、Azure)の各種クラウドサービスとの連携を行うための情報を容易に設定でき、業務部品として活用できる新製品「JP1/Automatic Job Management System 3 for CSA」をラインアップに追加した。

 これにより、クラウドサービスを使って開発した業務プロセスの実行順序やスケジュールなどの自動化が容易になり、クラウドサービスに仕様変更があっても、GUI上から迅速に対応できる。また、SAP S/4 HANA CloudなどのSaaS型業務サービスと連携した自動化も実現。オンプレミスや各種クラウドにまたがる業務サービスの立ち上げや業務プロセスの改善を迅速化し、ビジネスのアジリティ向上に貢献する。これらの機能は、SaaS型の新サービス「JP1 Cloud Service/Job Management」でも利用できる。

 JP1 V13の価格(税別)は、複雑化したITシステムを管理する統合オペレーション製品「JP1/Integrated Management 3-Manager」が82万9500円から、業務自動実行を行うジョブ管理製品「JP1/Automatic Job Management System 3-Manager」が33万5500円から、AWS/Azureとの連携製品「JP1/Automatic Job Management System 3 for CSA」が43万円から、SAP S/4 HANA Cloudとの連携製品「JP1/Automatic Job Management System 3 for EAP」が217万8000円から。

 JP1 Cloud Serviceの価格(税別)は、統合管理プラットフォーム「System Management」が月額24万5000円から、システム異常の発生をビジネスチャットなどで通知する「Notification Management」が月額8万8000円から、ジョブ管理を行うプラットフォーム「Job Management」が月額15万3000円から、ジョブ運用データを分析する「Job Analysis」が月額6万6000円から、運用業務の標準化、および障害チケット管理や要員管理など問題解決の迅速化を支援するプラットフォーム「Operations Integration」が月額49万5000円から。