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日立、統合システム運用管理「JP1 Cloud Service」で生成AIを用いた運用効率化・自動化に関する実証実験を実施

 株式会社日立製作所(以下、日立)は1日、統合システム運用管理「JP1」のSaaS版である「JP1 Cloud Service」において、生成AIを用いた運用効率化・自動化に関する実証実験を開始すると発表した。

 具体的には、生成AIを対話形式で容易に利用できる生成AIアシスタント(開発中の機能)を用いて、運用オペレーターがシステム監視中に発生する各種イベント(メッセージ)への対応を効率化することを想定し、生成AIの応答内容の正確性などを検証する。

JP1 Cloud Serviceの生成AIアシスタントによる運用効率化・自動化(将来像)

 日立では、企業のIT部門において、急速なビジネス環境の変化に対応するため、IT人材をシステム維持から新サービス開発へシフトする動きが活発化している一方で、システム環境がマルチクラウドの利用などにより複雑化しており、ビジネス継続に必要なシステム異常の早期発見と迅速な回復を担う運用チームは負荷が増加していると説明。こうした状況の解決策として、急速に発展する生成AIを活用した運用効率化・自動化に期待が高まっているが、生成AIの出力には誤りが含まれる可能性があり、運用品質に関わる業務を適切に支援できるかという実用化の課題が存在するという。

 実証では、ITシステム環境全体を監視するオペレーターが、運用監視中に発生する各種イベント(メッセージ)への対応方法を、生成AIアシスタントを利用して調べるケースを想定し、生成AIによる応答の正確性などを検証する。

 実証期間は2月1日~3月29日(予定)。実証環境は、開発中の「JP1 Cloud Serviceシステム管理」と、接続する生成AI環境として「Azure OpenAI Service」「Amazon Bedrock」を準備。実証に利用する入力データは、日立のマネージドサービス部門のシステム運用業務を想定した運用マニュアルなどのドキュメント類、および疑似的に発生させる運用イベントなどの運用管理データを利用する。

 実証内容としては、生成AIアシスタントがオペレーターに代わって、発生した障害イベントに応じた質問文を自動作成する。作成された質問文に対し、生成AIが運用マニュアルや公開技術情報を元に応答する。さらに、その応答内容(対処方法)に誤りがないかなどを、専門家が評価する。

 日立は、今回の実証を第一弾とし、生成AIを用いた運用効率化・自動化の適用範囲を拡大し、IT部門の変革に貢献することを目指すと説明。また、今回の実証で得られる結果をもとに、運用オペレーターの障害対応を支援する生成AIアシスタントの質問応答機能を、2024年4月を目標に提供を予定する。さらに、クラウドシステム運用の改善とその成熟度を向上するマネージドサービス「Hitachi Application Reliability Centers(HARC)サービス」に携わるSREエンジニアと連携して、クラウド運用の自動化のためのコード生成といった、先進的なユースケースの実用化にも取り組んでいくとしている。