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ネットアップ、2027年度のテーマは「Data Impact Acceleration Initiative」 AI活用を成果へつなぐ3つの方針を発表

 ネットアップは、2027年度(2026年5月~2027年4月)事業戦略について説明。同社の斉藤千春社長は、「2027年度は、『Data Impact Acceleration Initiative』をテーマに取り組む。2027年度は『躍進』の年に位置づけており、国内市場シェアで、ぶっちぎりのナンバーワンを目指す。昨年よりも確度を高めたぶっちぎりになる」などと述べた。

2027年度のテーマ
ネットアップ 代表執行役員社長の斉藤千春氏

 また、「躍進」の狙いとして、「AIによって、お客さまが躍進し、パートナーが進化したビジネスによって躍進し、さらに、データプラットフォーム市場を大きく成長させた結果として、ネットアップのビジネスがより大きな成長を遂げる1年にしたい。それに向けて、全社的なイニシアティブを、新たに『Data Impact Acceleration Initiative』とした。データをインテリジェンスに、インテリジェンスを成果に結びつけることを目指す。これらの取り組みを通じて日本を元気にしたい」と語った。

 具体的には、3つの方針を掲げた。

3つのキーポイント

 ひとつめは、「面で届ける、業界で効かせる」であり、「Regional & Industry Value Expansion」をキーワードに打ち出す。

 ネットアップ 専務執行役員 コーポレート営業統括本部統括本部長の齋藤智恵美氏は、「面とは、産業、地域、技術を指し、それぞれの軸で展開し、それらを組み合わせる。自動車、製造、金融、情報通信、官公庁といった各業界で得た知見を整理し、業界ごとの課題解決につながるソリューションを展開。人材や地域パートナーの強みのほか、電力状況といった地域ごとの特性に応じた現実解でプロジェクトを支援する。そして、サイバーレジリエンスやクラウドとのシームレスな連携、AIレディなデータ基盤の実現、世界規模のパートナーエコシステムというネットアップの強みを生かして、伴走型アプローチでAIによる成果創出を目指す。全国共通の知見を生かしながら、パートナーとの連携により、地域ごとの条件に合わせた最適な提案を進める。産業を理解し、地域に寄り添い、技術で支える」とした。

ネットアップ 専務執行役員 コーポレート営業統括本部統括本部長の齋藤智恵美氏

 すでに、製造業ではAIによる品質改善や予兆保全、デジタルツインに向けた活用実績があるほか、通信業界ではAIデータセンターや金融基盤、大規模AIインフラの活用が本格化。官公庁では、サイバーセキュリティや災害対策を含めたデータ保護に向けた取り組みが進んでいるという。

 また、政府機関や防衛分野では米国、自動車分野ではドイツ、半導体分野ではアジアでの実績をもとに、各国のチームと知見を共有するなど、世界中の業界ノウハウも活用するとした。

面で届ける、業界で効かせる

 2つめは、「描いて導く、実証で支える」を切り口とし、AI Factory Journeyと呼ぶ伴走型アプローチを推進するという。

 AI Factory Business Workshopにより、データから成果を生み出すロードマップを策定。AI Factory Labで構想を現実につなぐための技術検証を行い、AI導入を加速する。

 「AIの導入を目的にするのではなく、どのデータを活用し、どのプロセスを変革し、どのような事業価値を創出できるのかを整理し、課題と目標を明確化する。多くのお客さまとのプロジェクトによって得られた知見をもとに、これらを設計原則として体系化。常設のラボを整備して、デモシナリオやPoCシナリオを用意した。ラボを通じて、構想を実現可能なアーキテクチャーに落とし込むことになる。AI Factory Journeyは、描くだけやPoCだけで終わらせず、成果が出るところまで伴走する」とした。

描いて導く、実証で支える

 そして、3つめは、「共に創り、共に伸ばす」とし、AI Value Co-Creation Allianceに取り組むという。

 「AI時代の成果創出は、1社単独ではなく、複数の強みを合わせることが必要である。これまでのネットアップは、ストレージ製品を中心とした販売モデルで成長してきたが、AI時代は、お客さまのビジネス課題を理解し、AI活用シナリオをともに設計し、成果創出まで伴走する仕組みへと転換する。お客さま、パートナー、ネットアップが一体になる必要がある。特に、日本のパートナー企業は豊富な業務知識と、高品質な運用サービスを持っている。この強みを『INTELLIGENT DATA INFRASTRUCTURE』として、さらに強化したい。再販から共創へ、製品から成果へ、個別案件から再現可能なビジネスモデルへと転換していく」と述べた。

共に創り、共に伸ばす

2026年度の成果

 一方、2026年度の成果についても説明。斉藤社長は、「2026年は、『INTELLIGENT DATA INFRASTRUCTURE』による価値提供を、市場に対して本格的に展開できた1年であった」と総括した。

 また、グローバルでは、ネットアップ史上最高の業績を達成。売上高は、前年比5%増の69億ドル、営業利益率は30.2%、純利益は16億ドルになった。オールフラッシュストレージハードウェアは前年比11%増の42億ドル、KeystoneのSTaaS(Storage as a services)サブスクリプションサービスは前年比34%増の3億ドル、クラウドストレージサービスは前年比30%増の5億4000万ドルの売り上げを達成したことを報告した。

グローバル ビジネス成果

 日本での売上高は、前年比40%増に近い成長を達成。「カスタマーサクセス」、「伴走型アプローチ」、「データインフラベンダー」の3点を事業戦略のキーポイントとして展開した成果が出ているという。

 保守サポートサービスにおける顧客満足度は0.3ポイント増加し、5点中4.84ポイントとなったことや、CBC(カスタマーブリーフィングセンター)およびVIPミーティングの実施回数が2.5倍に増加したことなども、2026年度の成果に挙げた。

 「お客さまのビジネスの成長を支援したり、お客さまやパートナーに対する伴走型アプローチを開始したりしたほか、単なるストレージベンダーから、データ基盤パートナーとして信頼していただくための取り組みを強化した。95%以上のお客さまが次の更新時にもネットアップを継続して利用するという結果が出ている。また、お客さまに対しては、製品説明や機能中心のアプローチではなく、お客さまの課題や将来構想を、ともに考える活動に軸足を移した。独自調査によると、ネットアップをデータ基盤のパートナーであると回答したお客さまが、1年間で63%も増えた。市場での認識が大きく変化し、データ活用を支えるパートナーとして認識されている。データ基盤において伴走型アプローチを行うことは、容易ではない挑戦であった。だからこそ、多くの実践によって、独自の知見を積み重ねることができた。今後は、これを設計原則として体系化し、多くのお客さまに提供していくことになる」と述べた。

 また、STaaSに関しては、日本でミネベアミツミが採用するといった事例が出ていることも紹介した。「2025年後半から、メモリやSSDの供給制限が業界全体に大きな影響を及ぼしている。その結果、STaaSに関する注目が高まっている。ONTAPをそのまま利用できること、日本品質の運用サービスと組み合わせて利用できる点が受けている」とした。

お客さまがAIによって利益を創出するための支援をしたい

 ネットアップでは、2026年から2030年までを、「今後の勝者を決める極めて重要な転換点」と位置づける。

 「AIエージェントの活用によって、企業の競争力そのものが変わっていく時代に入っている。だが、AIの整備が重要なのではなく、AIを活用できるデータ環境をいかに整備するかが重要になる。AI競争の本質は、データ競争であると考えている」とし、従来型ストレージのモダナイゼーションや、AI向けデータプラットフォームが、「AI時代の競争力を支える最も重要な基盤である」とする。

 また、「インターネットが社会を変えたときに、価値を生み出すことができた企業は、インターネットを導入した企業ではなく、インターネットを活用して新たな利益構造を作り上げた企業である。AIも同じである。経営者に求められているのは、AIにいくら投資するかではなく、AIで利益をいくら生み出すかである。AIを『実行』する段階ではなく、AIにより『実効』を得る段階に入っている。私はこれを『AI ROI』競争と呼んでいる。AIによって、新たなビジネスモデルを構築し、新たな利益構造を生み出すことが求められるなかで、企業経営者は、AI戦略の責任者にならなくてはならない」と述べた。

 その上で、「ネットアップは、AIそのものを売りたいのではない。お客さまがAIによって利益を創出するための支援をしたい。そのために必要なのは、AI活用を支えるデータ環境である。それが、『INTELLIGENT DATA INFRASTRUCTURE』である。ネットアップの製品群は、それに向けて進化をしている。この数カ月で16の新製品および新機能を発表した。AI時代に向けたポートフォリオを強化した」と述べた。

この数カ月で16の新製品および新機能を発表

 従来型ストレージのモダナイゼーションでは、仮想環境を取り巻く変化に合わせて、NutanixやRed Hat OpenShift Virtualizationとの連携を強化。また、AI向けデータプラットフォームでは、Google Cloudとの戦略的提携を拡大し、GeminiをはじめとするAIサービスと連携。Google Distributed Cloudを活用したソブリンクラウドの提案を強化していることを示した。

 今回の説明会では、ソフトバンク 執行役員 共通プラットフォーム開発本部 本部長のアシック・カーン氏が登壇し、ネットアップのストレージを、同社データセンターに数十PB規模で導入している実績を紹介。「プライベートクラウドやエンタープライズクラウドとして活用できる環境を実現している。データセンターへのランサムウェア攻撃では、ストレージがロックされてしまう危険性があるが、こうした課題に対して、ネットアップが対応している。データセンターにおいては、セキュリティへの対応とAIへの対応がこれからの課題になる」とし、「ソフトバンクは、全国の分散基盤を一体制御する統合オーケストレーターを目指している。高性能GPUを即時利用できる環境を用意しており、AI計算基盤を、日本の企業に対して、柔軟に提供したい」と述べた。

 同社では、国内全体で11万基のGPUを活用したAIデータセンターを整備しており、中でも、苫小牧AIデータセンターでは50MW規模で整備し、2026年度から外販を開始。堺AIデータセンターでは140MWの規模で稼働させ、2027年度には外販を開始する予定だ。

ソフトバンク 執行役員 共通プラットフォーム開発本部 本部長のアシック・カーン氏