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「テクノロジーを前に進められる能力を持っている」――レノボISG幹部が語る、フルスタックと水冷技術の強み
2026年7月29日 06:15
レノボで、サーバーやストレージをはじめとしたエンタープライズ向けソリューション事業を統括するインフラストラクチャソリューショングループ(ISG)のアシュリー・ゴラクプルワラ グループプレジデントが来日し、合同取材に応じた。
ゴラクプルワラ グループプレジデントは、「レノボのISGにとって、日本は重要な市場である。今後も、パートナーシップを強化し、エコシステムを通じて、日本でAI戦略を推進していくことになる」と発言した。
日本においては、ニデックとの協業により、同社のCDUと組み合わせたAIデータセンター向け水冷ソリューションの共同提案、水冷インフラの検証センターであるNeptuneラボの設置、産学金によるAIスタートアップ支援を推進する関西AI Labの設立といった活動について言及。2026年6月に開催されたInterop Tokyo 2026では、AIインフラソリューションを出展し、高い評価を得たことにも触れた。
また、「レノボが得意とする液冷技術のNeptuneは、電力料金が高い日本においては最適な技術である。日本は、冷却システムをしっかり考えないと未来がないだろう。レノボがグローバルで培ってきたAIに関する知見を日本にも展開していきたい」と語った。
さらに、「レノボグループではAIへの投資を加速しており、それに向けてデバイスやソフトウェアを強化している。また、社内のあらゆる部門でAIを活用している。AIに最初に触れる機会がスマートフォンという消費者は多いが、レノボはPCやサーバー、ハイパースケーラー向けデータセンターまで幅広い領域でAIをカバーしている。レノボは、PCベンダーではなく、テクノロジープロバイダーである。消費者が求めるソリューションを一気通貫で提供できる」と位置づけた。
レノボグループは、2025年度(2025年4月~2026年3月)業績において売上高が前年比20%増の831億ドルとなり、過去最高を達成。中でも、ISGの売上高は前年比32%増と大きく成長し、192億ドルに達した。営業利益は、前年度の赤字から黒字に転換し、7300万ドルを計上している。
ゴラクプルワラ グループプレジデントは、「レノボならではのAIサーバーの強みを提供するとともに、世界のあらゆる地域に提供できる環境を整えており、お客さまのAIの旅路を支援することができる」と胸を張った。
ISGの売上高は、2015年度には46億ドルであったことに比べると、この10年で4.2倍へと大きく拡大している。
なお、ISGは、2014年度に買収したIBMのIAサーバー(IBM System X)事業がベースになっている。「この11年間にわたって、クラウド分野にビジネスを広げ、レノボのスケールを活用することで生産体制を強化し、R&Dにも投資を行い、液冷システムを進化させてきた。HPCの領域にも踏み出し、ここ数年は、AIサーバーでも高い実績を持つ。10年間の投資が、現在につながっている」と振り返る。
2017年度からは、自らの製造インフラを活用して、CSP(クラウドサービスプロバイダー)などからの要望に柔軟に応える「ODM+」を開始し、2019年度からは自社設計、自社生産の体制を確立。さらに2021年度からは液冷技術のNeptuneを本格展開し、現在は第6世代のNeptuneへと進化している。45℃の温水でも冷却を可能としているほか、蒸留水などの純水を使用できるため、省エネルギー化や、環境配慮にも貢献できるのが特徴だ。
そして、2025年度からはエンタープライズAIソリューションを発表。AIに適したインフラストラクチャの構築を支援する体制を整えたほか、Lenovo XClarityにより、サーバー管理、監視、自動化の一元化も可能にしている。
レノボグループでは、世界18カ所に研究拠点を持ち、ISGでは、中国・北京、米国・ノースカロライナ(ラーレイ)、台湾・台北、インド・バンガロールに研究開発拠点を置いている。また、北米や欧州、アジア太平洋地域など、世界11カ国で31の製造拠点を持ち、グローバルに展開できる生産網を確立。先週には、ノースカロライナに新たなフラッグシップAI工場を建設したことにも触れた。
一方、ゴラクプルワラ グループプレジデントは、「AIは新たな転換期を迎えている」と指摘。「AIは、エージェント型へとシフトし、AI推論が重視されるようになる一方、急速に進展するAIの需要に、リソースの供給が間に合っていない状況が生まれている。また、AIはあらゆるところに実装され、あらゆるシーンで活用されるようになり、それがますます進展することになる」と語る。
レノボでは、先ごろ開催されたFIFAワールドカップ2026で、初の公式テクノロジーパートナーとして大会をサポート。AIを活用して試合運営を支えたほか、FIFA AI Proの提供により、参加した48チームのすべてがAIを活用したエンタープライズ向けナレッジアシスタントを用いて、試合分析と試合準備を行っている。
「レノボは、FIFAワールドカップ2026のテクノロジーパートナーとして、AIを活用した新たなショーケースを示すことができた」と、成果に自信を見せた。
また、AIを取り巻く変化について、「データに対する保持、アクセス、保護が課題となっており、AIは企業データが存在する場所で稼働するようになってきた。それとともに、AIは、クラウドやデータセンターだけでなく、エッジやデバイス全体に広がり、ワークフローやアプリケーション、エンタープライズをつなぎ、フルスタックの統合が行われている。その一方で、ガバナンスやセキュリティ、トレーサビリティが重視され、同時に、AIの導入形態が性能とコストを左右するようになり、投資に対するリターンを求めるために、トークンエコノミクスに対する関心が高まっている」と述べた。
その上で、「レノボには、堅牢なスタックがあり、さまざまな顧客のAIニーズに対応することができる。安心してAIを活用できる環境を提供できる」と強調。
レノボ ISGが、エッジからクラウド、AIファクトリーまでのフルスタックでのハイブリッドAI環境を提供できること、強靭なサプライチェーンによる世界最高水準のオペレーションを実現していること、NVIDIAとの協業をはじめ、AIインフラ全体を支える強固なAIエコシステムを持っていること、Neptuneによる液冷技術とラックスケールAIを提供できることなどを示しながら、「AIインフラ市場は、2030年には、1兆ドルの規模が想定されている。供給をはるかに上回る需要がある。それに応えるためには、AI GIGAファクトリーの建設だけでなく、変化に追随する体制を持つことも重要である。レノボは、持続可能で収益性が高い成長を、すべての人に提供していく」と述べた。
レノボ ISGでは、エンタープライズインフラ市場では、「挑戦者」という姿勢を打ち出してきた。現在も、サーバー市場における世界シェアは3位であり、デル・テクノロジーズやHPEを追う立場にある。
合同取材に同席したレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長の張 磊(チョウ・ライ)氏は、「日本において、挑戦者という立場は変わらない。だが、それはシェアや順位をもとにした話ではなく、前に向かって攻めていくという姿勢を示したものである。レノボは、Neptuneをはじめとして最先端の技術を持っているが、これを持っているだけでは意味がない。技術を活用し、消費者に使ってもらうことに挑戦をしていく」とコメント。
レノボ アジア太平洋地域 最高商務責任者(CCO)のスミア・バティア氏は、「今は3番手の位置にいるが、近いうちに2番手になる」としながら、「挑戦者という言葉には、現状を打破するという意味がある。現状維持に満足しないという姿勢を示したものだ。AIは、半年前といまでは環境がまったく変わり、半年後にはさらに状況が変わることになり、それに立ち向かっていく必要がある。私たちが挑戦者であるだけでなく、お客さまや、パートナーにも挑戦者になってもらわなくてはならない。組織は、破壊するディスラプターになるか、ディスラプトされるかのどちらかに分類される。そして、ディスラプターであっても、挑戦し続けなくては、誰かによってディスラプトされてしまう。だからこそ、ISGは挑戦者であり続ける」と述べた。
また、ゴラクプルワラ グループプレジデントは、「レノボのISGが、デル・テクノロジーズやHPE、Supermicroと差別化できる点は、世界を網羅する大規模な製造企業であること、強靭なサプライチェーンを持っていること、パートナーネットワークを通じた販売を行っていることなどである。さらに、モバイルデバイスからPC、ワークステーション、エンタープライズ、データセンター、クラウドのすべてを一気通貫でカバーしている企業である点も特徴だ。これは他社にないユニークな部分である。この体制を持つことで、さまざまなインサイトを得ることができ、消費者はAIをどう利用しているのか、大企業はAIに対してどんな要求があるのかがわかる。それをもとにして、AIのケイパビリティをシームレスに提供できる」と述べた。
さらには、「テクノロジーを前に進められる能力を持っている点も、レノボの強みである。エッジからクラウドに至るまでのすべての領域に対して、テクノロジーによる影響を及ぼすことができる。AIに関するシステム開発に強みを持っているのは、ISGのベースとなったIBMのサーバー事業が、メインフレームの開発を原点としていることが見逃せない。ここに原点があるからこそ、理解できるものがある。そして、レノボは、この市場において、最も早い成長を遂げている企業である」などと話している。










