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NECがCelonisのプロセスマイニング製品を導入、データに基づく社内業務システム改善サイクルの確立を支援

 Celonis株式会社は9日、日本電気株式会社(以下、NEC)が、Celonisのプロセスマイニングソリューションを導入したと発表した。

 NECでは、社内のDXを推進する中で、業務システムの変革に取り組み、これまでにも業務システムの整理・削減によるコスト削減や生産性向上を進めてきたが、業務プロセスの改善活動が、業務部門へのヒアリングやリクエストに基づく個別課題に対しての机上での施策立案・効果分析にとどまっていたため、業務プロセス全体の問題特定ができておらず、改善目標やKPI設定が難しいといった課題を抱えていたという。

 またNECでは、オンプレミス環境やクラウド環境で稼働する多種多様な業務システムを運用しており、そうした既存の業務システムからデータを迅速に取り込んで業務プロセスを可視化・分析し、データに基づいた業務改善サイクルを確立するために、プロセスマイニングソリューションの導入を検討した。

 同社ではプロセスマイニングソリューションの適用対象を、O2C(Order-to-Cash)や調達からサプライチェーンまで、多岐にわたる広い範囲で活用することとし、自社内で活用しているシステムやアプリケーションとの連携性、および業務プロセスを可視化するまでの迅速性を特に重視して検証した結果、Celonisのソリューションが選定された。

 その理由としては、Celonisのソリューションは、SAPやServiceNow、Salesforceなどさまざまなシステムと容易に連携するためのコネクタ(API)が標準で豊富に用意されている点、プロセスの可視化・分析のみならず、改善アクションまでを単一プラットフォーム上で実現できる点を挙げたほか、技術的な課題解決に対するサポートがCelonisによって提供されることも決め手になったとのこと。

 NECでは従来、例えば調達の領域においては、各申請案件がワークフローのどこで遅延しているかを把握するために、システム運用担当者が手作業でデータ抽出・加工した上で分析する必要があったが、システム運用担当者への負担が大きいのみならず、分析に時間がかかり、各申請案件の担当者がタイムリーにフォローができないなどの事象が発生していた。そこで、処理遅延の未然防止、運用フォローの工数削減を狙い、プロセスマイニングソリューションを適用するスコープとしている。

 そして、2022年5月から約2カ月をかけて基幹システムの実データをCelonisに取り込み、PoV(価値実証)を行った結果、Celonisにより提供されるプラットフォーム上で業務プロセス改善サイクル(可視化‐分析‐改善)が実現できる有効性を確認し、正式に導入を決定した。

 それから約1カ月半で適用プロセスの選定、Celonisの導入設計・開発・実装・テストを実施し、2022年10月からCelonisの本番運用を開始している。

 なお導入後は、Celonisの動的なレポートとして可視化された業務プロセスの問題点や改善提案をベースに議論を重ね、改善活動につなげるPDCAサイクルの活性化を実現。調達領域のプロセスへの適用においては、業務部門による手作業のデータ抽出作業やフォローなどの負荷を大幅に軽減できたため、年間で700時間を超える作業時間の削減や大幅な運用コストの削減効果を見込んでいる。

 今後は、グループ会社を含めCelonisの適用領域を拡大していく方針で、CelonisをO2C、調達、サプライチェーン領域からさらに他の業務プロセスへと拡大していくことで、各業務プロセスにおける問題点や課題の解決と、継続的かつ効率的な改善活動の実現を目指す。また既存の業務プロセスだけでなく、新規システム導入時における業務プロセスの定着状況確認、問題点の検出・改善のために活用することも検討している。