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日立システムズ、セキュリティ業務の実態把握とオペレーション標準化を目的に「Celonis EMS」を導入

 Celonis株式会社は11日、株式会社日立システムズが自社プラットフォームサービス専用SOCの運用における、業務実態の把握およびオペレーション標準化を目的に、業務実行管理システム「Celonis EMS」を3月に導入したと発表した。

 日立システムズでは2021年、顧客に提供するサービスのうち日立システムズが運用管理を担当するサービス基盤のセキュリティ強化を目的として、自社プラットフォーム専用SOCを立ち上げた。日立システムズは、SOCにおけるインシデント対応管理基盤としてServiceNowを導入し、ログ監視業務で活用している。

 ServiceNowをインシデント対応管理基盤とした本番運用開始にあたっては、業務改善プロセスを現場に定着させ、業務オペレーションを磨きあげることを狙いに、プロセスマイニングソリューションの適用を決定。勘や経験に頼らずに、ファクトベースで定量的かつ網羅的に業務実態を把握し、業務オペレーションの標準化を実現した。

 日立システムズでは、SAP S/4HANAで運用している販売系システム、保守部門が利用する自社スクラッチ開発のフィールド系システムなどの業務プロセスを可視化・分析・最適化するため、2019年にCelonis EMSを導入し、活用していた。

 2022年1月、日立システムズは自社プラットフォーム専用SOCのインシデント対応管理基盤の本番運用を開始したが、本番稼働後の早い段階で実際のオペレーションの標準化、均一化が重要と考えたと説明。「自らITを使いこなすユーザーこそが最良のITベンダーとなり得る」という考え方のもと、実際に自社導入して価値を認めたサービスを顧客に提供するという取り組みを推進している同社は、すでに社内システムで導入実績のあるCelonis EMS の活用を決定し、2022年1月から3月までの、セキュリティインシデント対応管理業務のデータを対象に、Celonis EMSによる業務プロセスの可視化・分析を進めることにしたという。

 Celonis EMSには、業務システムとの連携テンプレートが豊富に用意されており、ServiceNow用テンプレート、連携ドキュメントも提供されているため、スムーズな導入につながったとしている。

 た日立システムズは、ServiceNow上で稼働するSOCのインシデント対応管理基盤にCelonis EMSを導入し、2022年4月から約3カ月かけて業務プロセスの可視化・分析を進め、分析結果に基づく運用手順やシステムの改善策を検討した。2022年7月からは、その改善策を実際に適用した業務プロセスに切り替え、11月以降に改善後の状況を改めて分析し、さらなる改善策の検討に着手した。

 2023年5月現在、最初の改善サイクルを回したことにより、手戻りの件数が月30件から9件に改善され、これによってインシデント対応時間が1日あたり33分間削減されたという。また、Celonis EMSのコンフォーマンスチェックで、設計業務プロセスに対して実態の業務がどの程度適合しているかを確認したところ、当初の75%から90%へ向上した。

 例外プロセスの排除により、業務の効率向上、品質向上が期待でき、さらに個人別のインシデント対応時間と対応内容を可視化することで、業務品質に対するメンバーの意識が高まるという効果も得られた。メンバーからも「気づいていなかった改善ポイントが見えるようになった」「プロセス分析機能が優れており、プロセス見直しやシステム改善、業務ルール改訂など、取るべき手段を適切に選択することができた」といった意見が多数挙がり、確かな手応えが得られているという。

 日立システムズは、Celonis EMSによる業務プロセスの可視化・分析と継続的な業務プロセス改善サイクルの確立に向けた取り組みを進めており、最初のステップとして自社プラットフォーム専用SOCのログ監視業務の品質維持向上を目指す。その後は、Celonis EMSとServiceNowとの連携事例・ノウハウについて、顧客向けSOCサービスの業務プロセス改善への適用を検討している。

 さらに、同社の事業部門にもフィードバックすることで、顧客が既に運用しているServiceNowの業務プラットフォームに対し、Celonis EMS導入による改善を提案するといった外販ビジネスも推進していく計画としている。

 Celonisは、現場に役立つ新機能を継続的にリリースするなど、常に進化を続けているCelonis EMSの最新機能を日立システムズが使いこなせるよう支援し、同社の業務実行能力の最大化に貢献していくとしている。