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KDDI、Celonisのプロセスマイニング製品で通信設備の故障対応業務を効率化

 Celonis株式会社は27日、KDDI株式会社が、Celonisのプロセスマイニングソリューションを採用したと発表した。KDDIでは、通信設備の故障対応業務の効率化実現に向け、業務プロセスを可視化するため、Celonisのソリューションを活用しているという。

 大手通信事業者であるKDDIは、日本全国にある通信施設を常時監視しており、設備に障害が発生した際には、業務委託先のパートナー各社が全国数万カ所にもおよぶ基地局へ即座に駆け付け、機器の交換などの故障対応を行う体制を整備している。

 しかし、長年にわたって通信事業を展開するなかで、故障対応業務のプロセスが次第に複雑化し、一部に非効率な部分も見られるようになってきたため、業務プロセスをしっかりと可視化し、変更個所に気付ける仕組みを導入する必要があると判断。そのための仕組みとして、Celonisのプロセスマイニングソリューションの導入を検討した。

 初めに、あらかじめ改善しやすいシステムを設計し、向かうべき方向性を決めておけば現場力を引き出して最大化できると考え、それを実現するために「誰でも業務が行えるようにプロセスをリードする仕組み」として、BPM(Business Process Management)を導入した。また一部業務を自動化するためにRPAの活用も決めたが、これらの実行結果を収集・分析・改善するために、プロセスマイニングの仕組みを取り入れている。

 なお、プロセスマイニング製品の選定にあたっては複数のソリューションを比較しているが、グローバルで豊富な実績を持つこと、データの収集・加工・蓄積・分析・活用が1つのプラットフォームに包含されていること、キャリアクラスのデータ量にも対応でき、分析から次の改善につなげる機能が用意されていたことを評価し、Celonisの採用を決めた。

 KDDIはまず2019年に、Celonisのプロセスマイニングを利用する上での留意点を明確化し、2020年から、業務改善を目的とした本格的なシステム開発を段階的に開始した。そして現在は、エンドユーザーが自らダッシュボードを作成し、業務そのものをデータドリブンで見るところまで発展しているという。さらに、故障交換時の業務効率化が進むなど、Celonisを適用したすべての業務領域において、エビデンスに基づいた改善が進んでいるとのこと。

 現在では、業務で扱うすべてのデータをCelonisに取り込んでいるため、運用現場のメンバーや業務委託先のパートナーにヒアリングすることなく、情報をリアルタイムに集約し、課題に素早くたどり着けるようになったことも大きな効果を生んでいるほか、現場のメンバー自らがダッシュボードを作成するようにしたことで、業務をデータで分析して課題を見つけ、改善することの大切さを理解し発信するといった、業務全体を意識した改善が着実に進行しているとしている。

 さらには、素早く的確な業務改善を実現するためにエビデンスベースで現状を把握することの重要性が社内に広く認知され、データドリブンで業務改善に取り組む風土もはぐくまれつつあるとのことだ。

 なお、業務プロセスをエビデンスベースで可視化し改善につなげていくことは、故障対応業務に限らずさまざまな領域に適用できることから、KDDIでは、Celonisのさらなる適用領域の拡大を検討しており、さまざまな業務において、業務改善・効率化に役立てていく予定である。