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NECの2022年度第3四半期連結業績は増収増益、ネットワークを除きすべてのセグメントで増益に
2023年1月31日 00:00
日本電気株式会社(以下、NEC)は30日、2022年度第3四半期累計(2022年4~12月)の連結業績を発表した。
売上収益は前年同期比8.2%増の2兆2692億円、営業利益は同20.8%増の570億円、調整後営業利益は同9.8%増の834億円、税引前利益は同17.4%増の576億円、当期純利益は同5.8%増の263億円となった。
また第3四半期(2022年10~12月)の業績は、売上収益が前年同期比14.1%増の8139億円、営業利益は同179.3%増の432億円、調整後営業利益は同155.4%増の522億円、税引前利益は同143.8%増の335億円、当期純利益は同193.1%増の224億円。
NECの藤川修執行役員常務兼CFOは、「第3四半期累計で増収増益となり、調整後営業利益も前年比増益に転換した。またネットワークセグメントを除き、すべてのセグメントで増益になった。第3四半期累計までの進捗は、計画に対してオントラックできている」と総括した。
為替については115億円のプラス効果。部材不足は前年同期のマイナス影響が縮小し、30億円のブラスとなった。また、知財収益として145億円を計上。「知財収益は2021年度第4四半期に続くものであり、10年未満の複数年分を一括して計上した。今後も保有する知財の収益化に注力し、利益水準の底上げを図る」と述べた。
セグメント別の業績
セグメント別業績では、社会公共事業の売上収益が前年同期比1.5%減の2861億円、調整後営業利益は前年同期から9億円増の125億円。中堅中小企業向けや公共、医療向けが増加したものの、都市インフラ向けで前年度に大型案件があった反動で減収となった。
社会基盤事業は、売上収益が前年同期比8.5%増の4497億円、調整後営業利益は前年同期から73億円増の381億円。宇宙・防衛向けが増加したのに加えて、不採算案件の抑制によって増益となった。子会社の日本航空電子工業も増収となった。
エンタープライズ事業は、売上収益が前年同期比4.3%増の4315億円、調整後営業利益は前年同期から77億円増の421億円。製造業向けや流通・サービス業向けが増収に貢献したほか、事業譲渡益の計上によって増益になった。
ネットワークサービス事業は、売上収益が前年同期比3.1%増の3610億円、調整後営業利益は前年同期から164億円減のマイナス6億円の赤字となった。売上収益はグローバル5Gの海外売上高の拡大と、第3四半期にネットワークサービス事業における知財収益として100億円を計上したことで増収となったが、第3四半期において、在庫評価を含む資産クリーンアップによって、50億円の一過性費用を計上。5G事業の拡大に向けた戦略的費用の増加などによって大幅な減益となった。
グローバルは、売上収益が前年同期比19.3%増の4228億円、調整後営業利益は前年同期から34億円増の215億円。サービスプロバイダソリューション事業やDG/DF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)領域、海洋事業が増加した。
その他事業は、売上収益が前年同期比16.4%増の3181億円、調整後営業利益は前年同期から57億円増の71億円となった。
第3四半期累計の受注状況
第3四半期累計の全社受注状況は、変動が大きい海洋事業を除くと前年同期比14%増となっており、特にITサービスは企業向けの旺盛な需要が牽引し、受注実績は同10%増となった。
「ITサービスは、2021年度下期から受注の好調ぶりが続いており、4月以降、一度も前年割れをしていない。エンタープライズの受注に続き、2022年度に入ってからは公共、医療、中小企業へと広がっている。好調な受注実績だった前年度下期を、さらに上回る受注水準となっている力強さがある。さらに、商品供給が回復してきたため、受注が積みあがるだけでなく、これが実績へとつながっている。ITサービスが好調に回転しはじめている」と述べた。
セグメント別の受注状況は、社会公共では都市インフラや中堅中小企業向けが好調ぶりを継続して、前年同期比15%増。社会基盤(JAE除く)は防衛向けが増加して同8%増。前年度に宇宙関連の大型案件があったことを除くと同18%増という高い伸びをみせている。エンタープライズ(NECファシリティーズ除く)は、旺盛なIT需要を受けて好調を継続して同11%増。ネットワークサービスは、5G需要が拡大して同7%増。グローバル(海洋事業を除く)は、Netcrackerによる大型案件が牽引して同20%増となっている。
通期業績見通しは据え置き
一方、2022年度(2022年4月~2023年3月)通期業績見通しは据え置き、売上収益は前年比3.8%増の3兆1300億円、調整後営業利益は同8.2%増の1850億円、調整後当期純利益は同31.2%減の1150億円とした。
国内ITサービスについては、第3四半期までの受注が旺盛であり、「好調な受注環境を背景にして、売上収益および調整後営業利益ともに、年間予想からの改善を狙える状況にある」と意欲をみせた。
また、ネットワークサービスでは、「グローバル5Gの売上収益が、第4四半期偏重の国内向け事業が貢献し、年間予想を達成する見込みである」としたほか、「グローバル5Gの調整後営業損益は第3四半期までに計上した一過性費用や、戦略的費用の増加といった悪化要因があり、年間予想の達成には不透明な部分があるが、国内を中心とした売上拡大により、挽回(ばんかい)を目指す。第3四半期までに完了したかった国内案件を、第4四半期に刈り取ることも貢献する。これは利益率の高い案件であり、目標達成はあきらめていない」などとした。さらに、「Open RAN市場の立ち上がりには時間がかかる見通しのなかで、2023年度以降に向けて最適な企業構造を実現するための施策も検討していく」と述べた。
「全社の年間予想の達成には、グローバル5Gでの損益挽回などが必要であり、依然としてリスクはあるが、好調なITサービス領域などのアップサイドを取り込むことでカバーし、調整後営業利益1850億円の達成を目指す」と意気込みをみせた。
2023年4月1日付で組織改革を実施
一方、中期経営計画の達成に向けて、2023年4月1日付で組織改革を実施することも明らかにした。
DG/DF領域のビジネスユニット化と、国内外の通信事業者向け事業の一元化、ヘルスケア・ライフサイエンス領域の事業部門化により、中期経営計画の重点成長領域をBUおよび部門化する。また、NEC Digital Platformの責任組織を一元化し、コアDX基盤の提供力を強化する。さらに、官公庁向けや地方自治体向けのIT事業を一元化することで、国内の行政デジタル化を支援。航空宇宙・防衛向け事業のビジネスユニット化により、ナショナルセキュリティ対応の強化を図る。
また、指名委員会等設置会社に移行することを発表。2023年6月に開催予定の定時株主総会での承認を得ることになる。
取締役会の過半数を独立社外取締役とし、社内5人、社外7人の構成を予定。多様な経験を持つ社外取締役を拡充する考えを示した。また、経営意思決定の迅速化に向けて、経営と監督の役割分担による経営スピードの向上と、CxO機能の強化を図る。
「現在、5年間の中期経営計画を推進しており、過去2年間は、計画達成に向けた準備をしっかりと行うために、必要となる変更を行ってきた。2022年4月には、組織の大括り化やマネジメントレイヤーの縮減、アジェンダ型組織の導入などの改革を進め、よりスピーディーに動けるような環境を作ってきた。今回の組織改革は、中期経営計画達成に向けて、組織の最適化を完了させるものであり、実行、実現のための組織に進化させる。成長領域の責任組織を明確化し、DXを支えるプラットフォームの提供力や、市場拡大する日本の行政デジタル化、ナショナルセキュリティ領域への対応力を強化することが狙いである。中期経営計画の達成を第1の目標として、残りの3年間できちっと結果を出す」とし、「指名委員会等設置会社への移行と、組織の最適化により、超長期的な企業価値の持続的向上に向けた経営基盤の改革を進める」と位置づけた。