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NEC、ロボットや車両の遠隔制御などユーザー端末単位で5Gネットワークを動的に制御するRAN自動最適化技術を開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)は16日、5Gを利用するユーザー端末の状況に応じて、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)を動的に制御することで、ロボットや車両の遠隔制御といったアプリケーションの生産性を向上させる、RAN自動最適化技術を開発したと発表した。

 5G、AI、IoTなどの技術をロボットや車両の遠隔制御で活用する場合、各ロボット・車両の状態監視と制御指示からなる双方向の通信を一定時間内で完了させる必要があるが、通信遅延が要件を超えると安全のため稼働を一時停止し、復旧後に再稼働するといったことを繰り返すため、稼働率や生産性が低下するといった課題があり、無線品質の低下による再送遅延や、無線回線の混雑によるキューイング遅延(輻輳遅延)といった通信遅延の発生が、導入を妨げる障壁となっていたという。

 これに対し従来は、高機能なネットワーク装置を導入し、周波数資源を十分に用意して符号化や通信経路の冗長性を高め、RANパラメーターを用途に応じて事前チューニングするなどして安定した通信環境を実現していたが、これらの方法ではDXの進展で多様化するアプリケーションに広く対応することが難しく、導入に時間・コストを要することも課題となるという。

NECが開発したRAN自動最適化技術の概要

 NECが今回開発したRAN自動最適化技術は、ロボットや車両などのユーザー端末単位で通信要件や無線品質の変動を分析するAIと、その分析結果に基づきユーザー端末単位でRANパラメーターを動的に制御するAIで構成される。これらのAIは、ロボットや車両などの過去の稼働実績を学習しており、通信遅延の要件を超過する確率を予測しながら、変調符号化方式、無線資源割り当て、最大許容遅延などのRANパラメーターを最適に制御する。通常の5Gネットワークでは、RANパラメーターをネットワーク全体で固定して設定するのに対し、開発した技術はユーザー端末単位で動的に制御することで、アプリケーションの生産性を向上する。

 アプリケーションの通信要件に応じてRANパラメーターを動的に制御でき、多様なアプリケーションが混在する環境においても全体最適化が可能。O-RAN Allianceの標準仕様に準拠した、RANを高度に制御するRAN Intelligent Controller(RIC)に搭載できるため、導入や既存設備への追加も容易に行える。

 この技術を、工場や倉庫で稼働する複数の自律走行ロボットを遠隔制御するシステムに適用したシミュレーションを行った結果、技術を活用しない場合と比較して、ロボットの停止回数を50分の1以下に削減できることが確認できたという。

 NECは、2024年度内に技術を用いた実証実験を行う予定で、その後も開発を進め、O-RAN Allianceの標準仕様に準拠したRICに搭載し、2025年度内に実用化することを目指すとしている。