ニュース

理研と富士通が共同開発するスパコン「富岳」、HPCGとGraph500で6期連続世界第1位を獲得

スーパーコンピュータ「富岳」

 富士通株式会社は15日、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)と共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、世界のスーパーコンピュータに関するランキングの「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」および「Graph500」において、6期連続の世界第1位を獲得したと発表した。

 この結果は、「富岳」のフルスペック(432筐体、15万8976ノード)によるもので、ランキングは現在米国テキサス州ダラスのケイ・ベイリー・ハッチソン・コンベンション・センター・ダラスおよびオンラインで開催中の、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に関する国際会議「SC22」において、11月14日付け(日本時間11月15日)で発表される。

 「HPCG」は、産業利用などの実際のアプリケーションでよく使用され、疎な係数行列で構成される連立一次方程式を解く計算手法である、共役勾配法を用いたベンチマークプログラム。「富岳」は、HPCGにおいて16.00PFLOPS(ペタフロップス)のスコアを達成し、6期連続の世界第1位となった。この結果は、「富岳」が産業利用などにおいて、実際のアプリケーションを効率よく処理し、高い性能を発揮することを証明するとしている。

 「TOP500」リストでは、ランキングの指標となるLINPACK性能は442.01PFLOPS、実行効率は82.3%で、世界第2位となった。なお、2022年11月時点の「TOP500」リストのランキング世界第1位は米国の「Frontier」で、測定結果は1102PFLOPSとなる。

 「HPL-AI」は、AIの計算などで活用される、単精度や半精度演算器などの能力も加味した計算性能を評価するベンチマークプログラム。「富岳」は、HPL-AIにおいて2.004EFLOPS(エクサフロップス)のスコアを記録し、世界第3位となった。なお、2022年11月時点の「HPL-AI」のランキング第1位は米国の「Frontier」で、測定結果は7.9EFLOPSとなる。

 また、理研と九州大学、株式会社フィックスターズ、富士通による共同研究グループは「富岳」のフルスペックを用いた測定結果で、大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングである「Graph500」のBFS部門において、世界第1位を6期連続で獲得した。

 理研と富士通では、「HPCG」における6期連続の第1位獲得および「TOP500」の第2位と「HPL-AI」の第3位の性能は、引き続き「富岳」の世界最高の総合的な性能を示すもので、新たな価値を生み出す超スマート社会の実現を目指すSociety 5.0において、シミュレーションによる社会的課題の解決やAI開発および情報の流通・処理に関する技術開発を加速するためのHPCインフラの役割を、「富岳」が十分に発揮できることを実証するものだとしている。

 また、富士通は、「富岳」に採用されたテクノロジーをベースとした「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」を含むHPC技術や、組み合わせ最適化問題を高速で解く「Fujitsu Quantum-inspired Computing Digital Annealer」などの高度なコンピューティング技術やAIなどのソフトウェア技術を、専門の技術者だけでなく誰もが容易に利用できるようにクラウドサービス「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」として、10月25日に日本国内で提供を開始している。富士通は今後も、同サービスを通じて、これまで培ってきた技術を幅広く提供し、高機能な新材料の開発や、感染症対策、輸配送の人手不足などの社会課題解決につながるよう、顧客との共創を進め、取り組みを加速していくとしている。