ニュース

富士通とセールスフォース・ジャパンがヘルスケア領域で協業、保険会社向けデジタルソリューションを開発

 富士通株式会社と株式会社セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce Japan)は21日、ヘルスケア領域における新たなソリューション創出に向けた協業に合意したと発表した。

 協業では、富士通が強みとする医療や健康データをトラストに取り扱うノウハウやコンピューティング技術と、Salesforceが強みとするCRMの実績とノウハウを生かし、推進していくとしている。

 協業の第1弾として、両社は保険会社向けデジタルソリューションの提供に向けた共同開発に取り組む。同ソリューションは、保険会社や医療機関の協力のもと、医療や健康情報からAIが予測した疾病の可能性などのデータをもとに、個人ごとの疾病のリスク評価を最適化した保険商品の開発を支援するもので、2023年度の実用化を目指す。

 これにより、保険会社が加入希望者に最適な保険商品を提供できるだけでなく、パーソナルデータを活用することで、予防から診断、治療、予後までをこれまでの平均値に基づくモデルから、きめ細やかにトータルでカバーした新しい保険モデルを創出できるようにする。また、新たな保険商品の開発期間の短縮やシステム構築投資の適正化を可能とする。

 両社はソリューションの提供を通じて、保険会社の新たな商品モデルの確立を支援し、パーソナライズ化された保険商品を広く普及させることで、個人の長寿命化に伴う多様な疾病に対する健康不安や、先進医療による治療費の増大・老後期間の生活費など経済的不安の解消と、社会課題解決に貢献するとしている。

 協業において富士通は、医療機関などと連携し、電子カルテ上の医療データを本人同意に基づきトラストに活用可能にする仕組みの実現と、高度なコンピューティング技術とAIなどのソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群である「Fujitsu Computing as a Service (CaaS)」を活用し、特定疾病の予兆を検知する独自分析、パーソナライズ化されたヘルスケアサービスの開発を行う。

 Salesforce Japanは、患者のさまざまな医療データを包括的に統合し、一元管理して分析することで、ぺイシェントジャーニー(病気を発症してから受診や服薬など治療を受けている期間の患者の行動や感情などの過程)を可視化し、パーソナライズした医療体験を提供する、患者中心のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する製品群を活用する。具体的には、患者中心のDXの軸となる、医療業界に特化したCRM「Health Cloud」、外部データの統合を担う「MuleSoft」、患者データの分析を担う「Tableau」などを活用する。

 富士通とSalesforceは、2010年よりグローバルで包括的協業を開始しており、今回のヘルスケア領域でのソリューション創出に向けた協業の取り組みを通じ、さらなる関係強化とビジネス拡大を目指していくとしている。