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VAIO、PCで血管・心拍の情報を非接触測定する「VAIO ウェルネスケア」を発表
2026年秋以降に発売するVAIOの新製品に標準搭載へ
2026年8月10日 10:00
VAIO株式会社は、PCを活用して血管情報や心拍情報を非接触でAIセンシングできる世界初の技術を開発した。「VAIO ウェルネスケア」の名称で、2026年秋以降に発売するVAIOの新製品に標準搭載する。なお、8月10日からは、個人を対象にした先行プレビュー版をダウンロードで提供する。
VAIO 開発本部プロダクトセンター担当部長の鈴木一也氏は、「VAIOが、生産性ツールにとどまらず、生活支援ツールへと進化する。人とPCとの関係が、道具から、相棒へ変わることになる」と位置づけた。
「VAIO ウェルネスケア」は、一部モデルを対象にした限定的なアプリケーションではなく、法人向け・個人向けを含むVAIOシリーズ全体で展開する。
企業における健康経営の高まりに合わせて、社員が利用する健康アプリやウェアラブルデバイスの導入を検討する企業が増えているが、全社員への導入が難しいといった課題がある。
VAIOでは、企業において毎日利用するPCを活用。VAIOに内蔵したカメラを利用して、非接触で血管情報および心拍情報を一括で収集し、日々の状況を把握。「いつも利用するPCこそが、生活アクティビティの変化に気づかせ、日々の状態をやさしく振り返ることができるデバイスになる」とする。
在宅勤務やリモートワークなど多様な働き方が増えたことで、一人で働く時間が増加。さらに、核家族化や一人暮らしなどにより、周囲が変化に気づきにくい状況が生まれている。また、企業側では人的資本経営の拡大によって健康経営が注目され、社員の健康に対する関心が高まる一方、個人においても、コロナ禍を経て自身の健康状態への関心や、健康寿命への意識が高まっている。
「仕事や学習、情報収集など、日常で長く接するデバイスがPCである。日常のPC利用のなかで自然に測定・記録でき、無理なく続けられることで、日々の細かな変化に気がつけるようになる」とする。
「VAIO ウェルネスケア」は、ノジマからのアイデアをもとに開発をスタートしたものだという。
「測定を開始する」ボタンを押すと、内蔵カメラが起動し、測定を開始する。顔をカメラの正面に向けて静止すると、最短3秒で測定が完了する。アプリケーションのホーム画面では、計測履歴を表示したり、計測結果をもとにした1週間のトレンドを表示したりする。
「VAIO ウェルネスケアは、測るアプリではなく、毎日の変化を蓄積し変化に対する気づきのきっかけを作るアプリである。アクティビティケアが日常の習慣になり、気づきにくい小さな変化を振り返ることができる」と語る。
測定するのは、血管の負荷を数値化した「血管情報」と、心臓からの血流の速さを数値化した「心拍情報」だ。
計測では、内蔵カメラとファームウェア、アプリケーションが連動。顔表面の微細な色の変化を解析し、数値化することで実現しているという。通常起動に加えて、ユーザーが設定した時間やログイン時の自動起動により、日々の測定を無理なく継続できる仕組みを備えている。
また、測定開始前の条件チェックや補正フェーズ、測定フェーズ、AIによる顔認識を、CPUおよびNPUによる並列処理で高速に行い、非接触で高速に測定する。
VAIO 開発本部ITソリューションセンターの安藤徹次氏は、「顔認識や顔追従といったAI処理はNPUが担当し、画像処理はCPUが行い、それぞれが並列に実行することで、全体の処理時間を短縮している。また、カメラ側には、美肌モードをはじめとしたきれいな画質を実現する機能を搭載しているが、これが微細な顔色の変化をとらえにくくしてしまう。そこで、VAIO ウェルネスケアによる測定時には、画質補正を無効化し、測定精度を向上させている。さらに、内蔵カメラのセンサーが小さかったり、レンズが暗かったりするため、測定の成功率が上がらないという課題があったため、これもカメラデバイスやアプリケーションの作り込みによって克服した」としている。
なお、測定したこれらの情報は、カメラから取得したデータに基づき、統計学的処理により構築したモデルから推定した値であり、医学的に確立されたものではないという。また、生活環境改善や業務環境改善を目的としたものであり、疾病の診断や治療、予防などの医療目的での使用はできない。
VAIO ウェルネスケアは、2026年秋以降に正式リリースを行い、法人向けPCにも標準搭載。将来的には、クラウド管理とダブルヘルス展開を進めるという。
クラウド管理では、有償ソリューションとしての展開も視野に入れており、会社単位や部署単位での一括管理ができるようにする考えだ。また、ダブルヘルス展開では、ユーザーの健康管理とともに、PC本体の健康管理を組み合わせて、よりよい生産性や、創造性を発揮できる環境を作り上げるという。
VAIOの鈴木氏は、「VAIO ウェルネスケアは、ユーザーの状態をセンシングする機能の第一歩となる。これまでにも、VAIO User Sensingとして、利用シーンや周囲の状況を理解する取り組みを行ってきた。この2つが組み合わさることで、VAIOはユーザーの状態と、周囲の状況を深く理解できるようになる。VAIOは、AIエージェント時代において、ユーザーのコンテキスト情報を活用することで、それぞれの人に合わせた支援を行えるようになる。VAIO ウェルネスケアは、人を理解する未来のAIエッジ端末へと進化する布石になる。VAIOがユーザーをよく知る相棒になり、先回りしたサービスや支援を実現することになる」と、VAIOの将来につながる進化に位置づけた。
VAIOでは、8月10日を、「VAIOの日」に制定している。「バ(8)イ(1)オ(0)」の語呂合わせから定めたもので、2026年2月に、一般社団法人日本記念日協会から認可を得ており、今年が初めてのVAIOの日を迎える。
今回の「VAIO ウェルネスケア」は、VAIOの日にあわせて発表した技術だ。
VAIOの親会社であるノジマの野島廣司社長は、2026年4月に行われた記者会見のなかで、「8月10日はVAIOの日である。この日に、世の中にない初めてのPCを出す」と宣言していた。
「VAIO ウェルネスケア」が、野島社長が宣言した「世界初」にあたることになりそうだ。
法人事業の成長と「驚き」への再挑戦
一方、VAIO開発本部プロダクトセンターの黒崎大輔センター長は、VAIOの法人向け事業が大きく成長していることをアピールした。
VAIOがソニーから独立して12年を経過。2025年1月からは、ノジマ傘下で事業を拡大している。
「この12年間で、コンシューマ向け市場中心から法人向け市場中心へと軸足を移した。品質や信頼性、細やかな使い勝手といったスペックだけではない価値を追求し、それが法人ユーザーから高い評価を得ており、事業基盤の拡大にもつながっている」と語る。
2015年度には35%だった法人向けPCの構成比は、2025年度には85%にまで拡大。法人向けPCの販売台数は約7倍に増加している。
また、2026年度第1四半期(2026年4月~6月)のVAIOの売上高は前年同期比2.9%増の163億4300万円となり、国内パソコン市場全体が、Windows 10のEOSに伴う特需の反動で、出荷台数が前年同期比23.1%減と大きく減少し、出荷金額も同4.7%減と前年割れするなかで、前年実績を上回る力強さを見せている。
だが、法人向けPC事業に集中したために課題も出始めていたという。
「法人向けPCで必要とされる『信頼』においては高く評価されてきた。だが、その一方で、法人向けPCとしての進化を追求するなかで、『驚きのある体験』や『大胆な挑戦』は控えめになってきた。VAIOは、『驚き』を期待される存在ではなくなってきたのではないか、このままこの状態を続けると、お客さまの期待とのギャップが広がっていくのではないかという不安があった。法人のお客さまも、ワクワクする提案をVAIOに期待しているのではないかと考えた」
VAIOは、ノジマチームの1社として、「スピード」、「ユニーク」、「クオリティ」を重視する経営へとシフト。「失敗を恐れずに挑戦することを大切にするノジマチームの考え方に後押しされ、VAIOは大きく舵を切ろうとしている。いま、その節目を迎えており、新たなVAIOに向かって踏み出す決意をしている。これまで築き上げてきた『信頼』を維持しながら、再び、『驚き』がある新しい体験の創出に挑戦する」と語る。
VAIOの進化は、「信頼される道具であり続けること」と、「新しい体験に挑戦すること」を両立するものになると語る。
VAIOが、新たな体験を追求する姿勢を明確にした背景にあるのは、AIの登場だ。
黒崎氏、「AIによって、新たなコンピューティングの使い方が生まれることになる。また、AIと対話するインターフェイスとしても、PCには新たな役割が生まれる。PCにとっても、新たな体験進化の時代が訪れている。その進化にVAIOは挑戦していく。今回の『VAIO ウェルネスケア』はその第一歩になる」と述べた。







