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富士通、「Fujitsu CaaS」にセキュアなデータ流通を実現する機能を追加

 富士通株式会社は17日、高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service(以下、CaaS)」の新たなサービス機能として、セキュアなデータ流通と活用を実現するIDYX(IDentitY eXchange)技術やCDL(Chain Data Lineage)技術を搭載した、トラスト機能群「Fujitsu Computing as a Service Data e-TRUST(以下、Data e-TRUST)」の日本国内での先行提供を、10月13日に開始したと発表した。

 Fujitsu CaaSは、「富岳」の技術を適用したスーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX1000」や、組み合わせ最適化問題を高速に解く「デジタルアニーラ」、AIなどのコンピューティング技術とクラウド型で提供するとともに、その上で動作するソフトウェアやサービス基盤、コンサルティングやチューニングを提供するサービス。

 新たに提供を開始したData e-TRUSTは、CaaSプラットフォーム上で、異なるサービス間や、個人や企業間の安心安全なデータ流通と活用を実現するAPI群を提供。複数の企業などに分散している個人のIDや属性情報などを安全に企業・個人間で流通できるようにするIDYX技術や、データやモノの流通過程や加工処理を起源にまでさかのぼって追跡できるCDL技術により、流通するデータの発行元や所有権、真正性の証明と合わせて、データ取引の証跡を改ざん不能な形で管理できるようにする。

 個人や企業ごとに秘匿化された分散データベース(DB)間で、連携したいデータの項目をきめ細かく制御するとともに、個人情報のやり取りに関しては、ユーザー本人による同意を取得した上でデータ送信を行うことにより、個人や企業をまたがるセキュアでオンデマンドな分散データ連携を実現する。さらに、個人や企業が、自らの多様なデータを自己管理した上で複数の企業・サービスに渡すことで、きめ細かく流通先やプライバシーを制御でき、データのオーナーシップや情報開示のガバナンスを強化できる。

 活用するデータが正しい情報であり、かつ改ざんされていないことを保証するIDYX(IDentitY eXchange)技術により、デジタル情報に対するさまざまな電子証明書の発行と活用を可能にし、デジタル取引でやり取りされる情報の真正性を担保する。これにより、個人のスキルや経歴、企業の実績などのチェックによる認証プロセスの強化や、顧客情報の相互連携による契約手続きなどのワンストップ化、電子ドキュメントやデジタルコンテンツの著作権や所有権の管理といった、デジタル上での情報の正しさを担保したいさまざまな認証のシーンに対応できる。

 また、ブロックチェーンを拡張し、個人や企業をまたがった一連の取引履歴を柔軟かつスケーラブルに一元管理可能にするCDL技術により、個人や企業がやり取りする取引や活動の証跡をひも付けて、改ざん不能な形で管理できる。これにより、さまざまなデジタル取引履歴を、各事業活動の健全性や社会貢献のエビデンスとして活用可能になる。例えば、CO2排出量に関わるカーボンフットプリントや消費者行動データの連携など、サプライチェーンやバリューチェーンを高度に可視化して管理できる。

 富士通は第一弾として2022年10月から、化学業界でDXを推進する長瀬産業向けに、Data e-TRUSTの先行提供を開始した。サプライチェーンにおける煩雑で複雑な化学品ドキュメントの配布管理における業界課題を解決する新たなクラウドサービスとして、長瀬産業が提供する「DocuValue」にサービスを適用し、利用企業の配布情報の秘匿化管理と企業間でのセキュアな情報連携の仕組みを実現した。

 富士通は今後も、Data e-TRUSTの機能拡充に合わせて、長瀬産業のサービスの価値を継続的に向上させ、ビジネスパートナーとして長瀬産業のDXとビジネスの拡大に貢献するとしている。