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富士通、医療分野のデータ活用に向けたクラウド型プラットフォーム「Healthy Living Platform」を販売

 富士通株式会社は28日、医療分野における診療データや健康データの利活用に向けた新たなクラウド型のプラットフォーム「Healthy Living Platform」を開発し、日本国内において、医療機関や製薬企業向けに販売開始したと発表した。

 Healthy Living Platformは、各医療機関が持つ電子カルテシステムの診療データをプラットフォームに集約する際には、次世代医療情報標準規格HL7 FHIRの日本国内における実装ガイドであるJP Core(FHIR JP Core 実装ガイドV1.1.1)に準拠した形式に自動変換した上で、クラウド環境に保存する。医療機関ごとに異なるデータ規格を統一することで、データ活用を容易にする。

 電子カルテシステムの診療データだけでなく、個人が持つバイタルデータや歩数、消費カロリーなどもデータポータビリティサービスにより集約できるほか、今後、健診データなども取り込めるようにしていく予定。幅広いデータを集約することで、医療機関での診療業務および臨床研究や、製薬企業での新薬開発で、より高度な分析や活用が可能になる。

 プラットフォームにおけるセキュリティ対策は、厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」のほか、各省庁が定める各種ガイドラインに準拠し、Microsoft Azureを利用して安全なクラウド環境で構築する。

サービス概念図

 医療機関における活用としては、複数の医療機関の診療データや患者の健康データなどを参照し、患者の病歴や日々の体調、アレルギー、体質など、詳細な健康状態やペイシェントジャーニー全体を把握することで、適した薬剤の処方、治療方法の選択といった個別化医療を促進する。データ規格の標準化によりデータの収集や加工、クレンジングにかかる時間を短縮できるため、臨床研究や論文作成を効率化する。

 製薬企業における活用としては、治験患者から得ている臨床検査データだけでなく、実診療の匿名加工されたデータによって、医薬品の効果や副作用といった有効性および安全性の検証をより詳細かつ効率的に行うことができ、新薬開発の期間短縮や成功率向上および承認薬の適用拡大を推進する。

 さらに、富士通はこの仕組みを生かし、患者自身が診療データをスマートフォンで閲覧できるデータポータビリティサービスや、医療機関がプラットフォーム上で共有した診療データを高度に分析できるサービスなどを展開していく。

 富士通は今後、Healthy Living Platformを通じて、AIやIoTを活用した予防医療にも取り組むほか、保険会社や医療機器メーカーなどのさまざまなウェルビーイング企業と連携し、医療データの利活用により、社会に新たな価値を創出するデジタルヘルスエコシステムの実現を目指していくとしている。